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🎨📝:江戸人のコスモロジー: 小柄にみる世界観【1】
江戸時代の刀装具に小柄というものがある。
刀に興味のある方はご存じと思うが、小刀の柄の部分である。
江戸時代、この柄の部分が様々なモチーフで装飾される。
花鳥風月をテーマにしたもの、故事伝説によるもの等ひとつの美術品のジャンルを形成するほどいろいろなデザインがある。また金銀を使った豪奢なものも多い。
通常、武士が刀とセットにして持ち歩く。具体的には鍔に開いている穴に通して鞘は大刀の鞘の一部に小柄の刃が入るスリットを設けそこに納める。
鍔には、上記の様に1つないしは2つの穴がある。真ん中の穴は刀の刃の部分が入るので左右の穴のどちらかに小柄の柄が入る。2つ穴がある場合、片方は笄(こうがい)という、髪の髷(まげ)を結ったりする結髪用具が入る。片側に耳かきが付いている。
上図の様に小柄・笄・鍔(つば)は、3点セットで取引されていたこともあり、デザインも統一していた。このような3点セットを三所物(みどころもの)と呼ぶ。
刀の鍔に付随して持ち歩くため人目に付きやすい。よって装飾性が高くなり、ヒエラルキーが出来てくる。
小柄は、大きく2つのタイプに分かれる。よそ行き用と普段使いである。例えば、和服で言えば、正式な場所に出る場合、五つ紋や三つ紋など家紋の入った和服。場合によっては、黒が基調で裾に豪奢な刺繍のあるタイプものを着る。つまりドレスコードがあるわけで、普段使いなら紬(つむぎ)で十分なわけだ。今でこそ大島紬など高級品となってしまったが、その昔はくず糸で織った普段使いの庶民のお召し物であった。
よそ行きやお城に上がる場合、当然、裃(かみしも)姿で正式な装いなので小柄もお出かけ用を使う。そのようなタイプのものを「家彫り」(いえぼり)と呼び、黒の土台に金や銀を使った落ち着いたデザインのものが多い。
一方で、例えば浴衣など普段着で帯刀するときは、普段使いの小柄をあつらえる。それを「町彫り」(まちぼり)と呼ぶ。
上記は3点は町彫りの図柄である。家彫りは、基本土台が黒で金のデザインモチーフを用いるのに対し、町彫りは、赤銅や真鍮・象眼など様々な素材を使い、そこに描かれるデザインも自由奔放で面白い。
次回は、その町彫りの様々なデザインを取り上げて、江戸時代の人々の世界観、コスモロジーをのぞいてみたいと思う。
つづく
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