帰路と晩夏
家の近くで、リーズナブルなお弁当屋さんを見つけた。
路面店になっていて、支払いは現金のみ。
ショーケースもあって、そこには量り売りのおかずや1個80円の大きなコロッケ、110円のまんまるメンチカツなど、たくさんのおかずが並んでいる。
お弁当の種類もありすぎるくらい、ある。
何がいいのかと悩みに悩んでいる私と、いつこの人は言葉を発するのかと、静かに見守る店員さん。
初めて頼むお弁当は「幕の内弁当」にした。
レンコンのきんぴらとマカロニサラダ、コロッケや唐揚げ、だし巻き卵、シュウマイ、キャベツもついてる。
そして黒ごまがかけられたまっしろのホカホカご飯の上に
ちょこんとのってるカリカリな梅干し。
思ったよりすぐできて、
1080円を財布から出し、400円のおつりと幕の内を受け取る。
袋の底を支えると
すごく温かくて嬉しくなった。
いつもはへとへとで足取りが重くなる帰り道も
温かいお弁当を抱えているだけで
ご機嫌でいられる。
涼しい風が、私の髪をくぐり抜け
私のスカートを揺らしていく。
どこからか漂う夕飯の香りと
じんわりと汗ばむ肌。
今この瞬間の夏の終わりを感じて
少し足早に帰路につく。