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【ブックレビュー】vol.003「推し、燃ゆ」推しは、そう。背中を貫く1本の背骨なんだ。|推しがいる人は必読!パワーワード炸裂の小説を紹介!

今回紹介するのはこちら!「推し、燃ゆ」(著:宇佐見りん)です!

ずっと気になっていたんですが、分厚くなくてさらっと読めそうだったので、購入してみました!

読むのが速い人であれば2時間〜3時間くらいで読了できるかと思います!

今回はネタバレ有りで感想を書いていきますので、既に読了した……もしくは読むのが面倒なのでネタバレだけみたい。という方が読んでくださるでしょう。

この感想は友達に話すみたいな、かなりラフな口調で感想を書いているので、「うんうん」と友達の話を聞くくらいのラフな感じで読ん
でくださると嬉しいです。(注意点にも目を通してね!)

(ほんとにラフな口調で話してるよ!)

【この記事を読む注意点】
・この記事はネタバレを含みます

・率直な感想ですので、辛口な部分がありますのでそれでもOKな方のみお進みください!
・個人の意見ですので間違った感想を話している可能性もあります
・かなりラフな口調で感想を話していますので苦手な方はご注意ください



📍 タイトルとリード文が秀逸

まず最初に着目したのは「タイトル」と「リード文」です。
それではひとつずつ解説していきます。

🔖 タイトル

タイトルの「推し、燃ゆ」というのは、よく考えられたタイトルだなと思っていて、普通にいえばこれって「推しの炎上」なんですよね。

でもそれを、そのまま「推しの炎上」というタイトルにせずに、提供するプラットフォームが漫画でもない、アニメでもない、文学だからこそ、小説のタイトルとして「炎上」を「燃ゆ」と、落とし込めた(言い換えた)のかなと勝手に考察しています。

「燃ゆ」ってちょっと昔の言葉っぽいじゃないですか。

だからなんか「文学っぽさ」があるし、今ドキの内容を文学と融合させる際に、馴染ませるためにちょっと言葉を捻ったのかな?と思いました。

🔖 リード文

そして「推し燃ゆ」といえばリード文がかなり有名ですよね。

リード文とは?
文章の冒頭に記載され、本文の内容を簡潔にまとめた文章です。導入文とも呼ばれ、読者の理解を助ける役割があります。

AI による概要

ここでいうリード文は導入の部分、まさに小説の第一行目の文章です。

推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。

「推し、燃ゆ」本文から引用

そう、この一言。第一行目からかなり強烈な一言ですよね。

私がこのリード文に着目したのはキャッチーで印象に残る一行だったから、だけではありません。

これはネタバレなんですが、実は推しが炎上したことって、本編に直接的に関係している内容ではないんですよね。

いや、確かに燃えて色々大変なことはあった描写はしっかりあったたものの、あくまで個人的な推測ではありますが、きっと読者を惹きつけるキャッチーさを足したくて「推しが炎上した」と一言で惹きつけられるキャッチコピーのようなものを作ったんだと思いました。

だって、「推しがいるオタクを描いた小説」だけでも面白いと思いますが、キャッチーさとか、惹きつけるものが足りない印象ですよね。

そこに「推しがいるオタク」×「その推しが炎上した」という要素をかけあわせたことにより、強烈なインパクトが生まれたんだと思います。

うまいなーーーーー(小者の感想)

読者を惹きつけるキャッチーさとインパクトって本当に大事なんだなと改めて考えさせられました。

なんてゆうか、売り方が上手いんですよね。勉強になる。


📍 パワーワードのオンパレード


私の中で推し燃ゆといえば、とにかくパワーワードが炸裂しているんですよね。

お気に入りのセリフや文章を紹介したいと思います。

触れ合えない地上より、触れ合える地下

「推し、燃ゆ」本文から引用

これはテレビに出ていたり人気のアイドルは触れ合えないけど、地下アイドルなら物理的にも触れ合える機会が多いし、なんならワンチャン繋がれるし付き合えるから、触れ合えない地上より、触れ合える地下がいいよね。という意味。

オタク界隈ではもう流通している言葉なのかもしれませんが、現代のアイドルという存在をリアルに表現した秀逸な一言でした。

推しを推すことがあたしの生活の中心で絶対で、それだけは何においても明確だった。中心っていうか、背骨かな。

「推し、燃ゆ」本文から引用

私がサムネイルにも入れたこの言葉。要するに推しは背骨のような存在だということ。背骨がないと、立ちあがることはおろか、座ることもできず床に這いつくばることしかできない。

そしてこの言葉がまさかラストの主人公の伏線に繋がるとは思ってもみませんでした。

物語のラスト。主人公は推しという背骨を失い、立つこともままならず這いつくばる様子が描写されていました。

それは、推しは背骨だと例えた言葉の伏線を見事に回収したシーンでした。

推しを推さないわたしはあたしじゃなかった。
推しのいない人生は余生だった。

「推し、燃ゆ」本文から引用

やめてやれ。まだ学生だろ・・・?と言いたくなるような言葉。

何より、二行目の推しがいない人生は余生といってしまうのが、なんともパワーパードだなと思いました。

なんというか、個人的な意見なんですが、主人公は推しの人生。すなわち他人の人生を生きているんですよね。

だからこそ、その人生にしていた人がいなくなるからこそ、余生なんだと思いました。

他人の人生で生きるとこうなる。というひとつの終着を見れたような気がしました。

推しが人になった
アイドルが人になった

「推し、燃ゆ」本文から引用

最後に紹介するのはこのセリフ。これは先ほど紹介した文章と近い場所にあったと思うんですが、主人公にとってアイドルはアイドルという生き物だったんですよね。

だから、もう引退してしまったらただの人になったという表現がなんとも絶妙で、経験したことのある人じゃないとなかなか出てこない言葉だなと思いました。

そりゃそう、と言われればそうなんですが、主人公ほど推しに夢中になっていた人物でも、アイドルを辞めた、ただの人になった一般人の推しを追いかけようとはしないんだなと思いました(そりゃそうなんだけど)

あくまでアイドルの推しが好き、という線引きが一応あったんだな〜とぼんやり考えたりしました。(そこまで好きだともう線引きとかないのかなって思ちゃったり)

(とはいえ、主人公ちゃん家までは行ってるんだけどね!!!)


📍オタクの匠の技を見せつけられた


推し、燃ゆの凄さといったらもう、主人公ちゃんの推しに対する熱意なんですよね。

推しの出たドラマやバラエティー、そして雑誌のインタビューなど推しの発言をメモしながら考察して、ノートやブログにまとめてるんですよね。

推しに100の質問をする雑誌の特集があったら、推しの回答を見ずに主人公ちゃんなら80%くらいの回答を当てられるんじゃないかってくらい、たぶん家族よりも恋人よりも誰よりも推しに対しての理解度は高いと思います(あくまで表に出ている情報の対して、という意味ですが)

ブログに番組の録画はもちろん、なんというか全体的にオタクの匠の技のオンパレードで勉強になりました。

📍推しがいる人は必読!しかし読了後2日は寝込む


この作品はもちろん推しがいる人におすすめしたい作品ですが、最終エンドが推しの芸能界引退なので、自分の推しと重ねたら絶対病む作品だなぁと思いました。

とはいえ、解像度を上げるために自分の推しに重ねてみたり、誰かしら特定のアイドルを思い浮かべて、主人公が推しているアイドルに重ねると作品の解像度がグッと上がるかと思うのでおすすめです。



と、いうことで今回は「推し、燃ゆ」のネタバレレビューを書かせていただきました!

さらっと読めて非常に面白くオタクとして勉強になる作品でした!
また次回の記事でお会いしましょう➖!


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