オッド・トーマス
不思議な映画だ。
ストーリーはおもしろいが、まったく掘り下げられていないので、その場限りの盛り上がりで終わってしまう。浅いのだ。そこが残念だった。
主人公のトーマスは普通の人には見えないものが見える。
ある日街にボダッハという化け物が増えていくのを目撃する。
異変を察知したトーマスは、警察署長にそのことを告げる。
警察署長や、恋人のストーミーがなぜトーマスの能力を知っているのか、その能力を告白したときにどのようなリアクションをしたのか。そういったことが触れられない。
また、トーマスはこのふたりにだけ能力を告白したのだろうか。告白したけれど、受け入れなかった人もいるのだろうか。
さらっと観るにはおもしろい映画だ。
普通の人には見えないものが見えるという物語はよくある。
この映画は、数日間の出来事をテンポよく展開していく。
脚本や編集が上手い。ヒロインもかわいい。
この映画は何を伝えようとしているのだろう。
目に見えないものが見えると言う事はそれほど良いことではないと言うことなのか、奇妙な能力を持った、言ってみればはぐれ者の人間でも受け入れてくれる社会はあると言うことなのか。
トーマスは「オッド(奇妙な)」などという名前を持っていて、実際に奇妙な能力を持っている。しかし、世の中から弾かれてはいない(変わっているとは言われているが)。むしろチートな能力ですらある。運動神経もいいし、かわいい運命の人もいる。なかなか充実した人生なのだ。
今回の敵であるプリンス・オブ・ダークネスについて、さらっとしか触れてなかったが、「十代で殺人に快感を覚えた」犯人たち。これは、大変なことだし、もっと被害者がたくさんいるんじゃないのか? そこについてはまったく掘り下げられない。
だから、悪いやつがいきなりやってきて、チート能力をもった主人公がやっつけた。という話になってしまっている。