海辺のポーリーヌ
なかなかいい作品だった。
筋書きとしては、ファッションデザイナーのマリオンと、いとこのポーリーヌが避暑地にやってくる。そこでマリオンの昔の恋人であるピエールに再会する。その場で、アンリという男にも出会う。ピエールはマリオンとやり直したいのだが、マリオンはアンリに恋している。しかしアンリはスケコマシだ。ピエールはそれを知っていてマリオンに警告するが、マリオンはピエールが嫉妬しているだけだと、とりあわない。一方ポーリーヌはシルヴァンという同年代の少年と知り合い、恋に落ちる。
恋愛のドタバタ劇なのだが、それぞれの考え方がしっかりしている。性別や年齢の違う人々が自分の思っていることを打ち明け、議論するという様は日本にはない感覚だ。フランス人は、いとこだろうとなんだろうと、恋愛観や、自分や相手の恋人について、率直に話すのだろうか。それとも、これは映画だからざっくばらんに話しているだけなのだろうか。
映像そのものはイマイチ。1983年の映画で、画質も粗いし、構図などにもさほど魅力はない。編集も雑なところがある。ただ撮っているだけ、ってことはないのだろうが、小生はさほど魅力を感じなかった。強いていえば、セピア色のカラーが、今となっては映像の深みに感じられるのがいいところだ。
やはり本作の魅力はキャラクターだろう。それぞれの人間が丁寧に描かれている。人間は他人のことはわかっても、自分のことは見えないものなのだ、というテーマがよくわかる。演技は自然で、違和感がまったくない。安心して観ていられるいい映画だった。おしゃれな小品、といったところだ。
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