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「ボテロ展 ふくよかな魔法」
なかなかよかった。
根底にあるのは人間讃歌なのだと思う。
描かれているのは、おそらくはコロンビアの市井が中心なのだろう。もちろん、そのまま描かれているわけではない。ボテロが目にした世界は、彼の中に飲み込まれて、昇華される。聖俗混じりあい、すべてが肥大化して、哀愁と愛嬌、そしてどこか色気のある姿に変わっていく。
すべてが、ふくよかだ。それはエネルギーなのだという。エネルギーというわりには、描かれている人々は無表情で、虚無を抱いているように見える。これはなんなのだろう。
世界は暴力とユーモアとエロティシズムに満ちていて、良いことも悪いこともある。人々は現実の荒波にもまれ、諦めたような顔をして、だけどしぶとく生きて、やがて死んでいく。
ボテロの絵を観ていて思い出すのは、やはりガルシア=マルケスだ。マルケスの描く世界はボテロのそれとはもちろん違うのだが、暴力・ユーモア・エロティシズムという点では似ていると感じた。
コロンビアという国は、濃厚な芸術を生み出す土壌があるのかもしれない。行きたいとも思わないし、住むなんてもってのほかだが、ボテロやマルケスは好きだ。圧倒的なオリジナリティというものは、ある種の極限状態から生み出されるものなのかもしれない。
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