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「エイリアン:ロムルス」がなぜこの時代に刺さるのか考えてみる。

監督 フェデ・アルバレス
脚本 フェデ・アルバレス/ロド・サヤゲス
出演者 ケイリー・スピーニー/デヴィッド・ジョンソン/アーチー・ルノー/イザベラ・メルセード
音楽 ベンジャミン・ウォルフィッシュ
撮影 ガロ・オリバレス
公開 2024年8月16日

「ロムルス」は「エイリアン」のスピンオフだ。ただし、「エイリアン」を観たことのない人でも十分楽しめる仕上がりになっていたし、コアなファンならシリーズとのつながりを探す楽しみがある。

エイリアン1と2の記事はこちら。

「エイリアン(時代設定は2122年)」(1979年)と「エイリアン2(2179年)」(1986年)の間の2142年の出来事という設定になっている。
太陽の照らさないジャクソン星で、ユタニ社の劣悪な労働環境で働くレイン・キャラダインはアンドロイドのアンディを「弟」として生活していた。ユヴァーガ星に移住したいのだが、ユタニ社のシステムでは許可が下りない。
そこにレインの元恋人タイラーからの誘いがある。宇宙空間で廃棄された宇宙船を発見したという。そこからポッドを盗み出してユヴァーガ星に行く計画だ。この話には裏があった。宇宙船はユタニ社のものだから、システムを動かすためにはユタニ社の製品であるアンディが同行する必要がある。
どうしてもユヴァーガにいきたいレインはその誘いにのる。

映画はメッセージだ。なにをどのように伝えたいのか。
本作のプロットを単純化すると、「労働者階級の若者が貧困からの脱出を夢見て、冒険の旅に出る」というシンプルなものになる。普遍的でありながら、現代的でもある。
主人公のレインは太陽の照らさない場所から、文字通り日の当たる場所を目指して旅立つというミッションがある。それは映画全体のプロットにおけるミッションだ。
彼女自身のミッションはどうだろう。
物語の最初のほうで、レインはどこか内気でおどおどしたところがあった。また、「弟」のアンディに対しても言葉にこそ出さないが、足手まといとして敬遠しているのがわかる。

ここから下記は物語の後半部分についても触れる。

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