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ドキュメント「シン・仮面ライダー」~ヒーローアクション 挑戦の舞台裏~』

いいなと思ったところと、イマイチなところがあった。
この番組は「シン・仮面ライダー」のアクションシーンの撮影の話だけなので、ドラマシーンのことは全然やらなかった。それはそれでいい。

庵野秀明がアクションシーンで「殺陣じゃなくて、本気で殺すんだ、っていうところを見せてほしい」「段取り通りに動いたってしょうがない。全部アドリブでいいくらいだ」みたいなことをずっと言っていて、クリエイティブってそういうものだよな、と思った。残念なのは、この番組ではずっとそういうことを言い続けることになってしまったために、番組そのものは同じことの繰り返しでつまらなくなっていた。このあたりはもっと工夫してほしかった。

また、本作では庵野秀明が演出や画面構成などに人並み外れたこだわりを持っているように描かれているんだけど、実際にはもっと上がいる。デヴィッド・フィンチャーの撮影のエピソードで、何度もやりなおしをさせられたゲイリー・オールドマンが「もうこれで100回目ですよ!」と言ったら、フィンチャーが「わかっています。そして、次が101回目です。やり直し!」と答えたというのが好きだ。

この番組は庵野秀明の監督作品のプロモーションだから、庵野秀明がいかにすごいか、という話には当然なるのだけど、彼の信奉者でないと、あまり響かないんじゃないかな、と思った。絵作りえのこだわりがすごい、って言われても、彼の多用する構図とか、あんまり好きじゃないし。それは好みの問題だからいいんだけど。

庵野秀明は偉くなりすぎちゃったかな、とは思った。先日100カメという番組でアニメ「進撃の巨人」の制作現場というのをやっていたんだけど、あっちのほうがとんがっていた。もちろん、番組作りのうまさもあるから、どっちがいいとかいうものではないんだけど。個人的にはmappaの制作チームが死に物狂いでアニメ作ってる感じが伝わってきてよかった。

クリエイティブは、なにかを突き抜けないとだめだ、というのはみんなわかってる。そして、突き抜けて作り上げたものは、観客の、読者の、ユーザーの、手に渡る。彼らがいいか悪いか、好きか嫌いか、で評価する。クリエイターがいかに、「本気でいいものができた」と納得したところで、受け手が「これはすごい!」と思わなければ、たいしたことはないのだ。このあたりは残酷なんだけど、そういうものだ。


https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1490067.html

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