「横浜狂言堂」231008
「縄綯(なわない)」
ギャンブル好きの主人が、何某氏に負けた分の支払いをできずに、太郎冠者を差し出す。
太郎冠者本人はまさか自分が借金の支払いにあてられたとは知らずに何某氏のところに出向く。
そこで、自分が借金のカタにされていたと知らされる。
何某氏に仕事を命じられるが、太郎冠者は渋る。
借金のカタに手にいれた太郎冠者が働かないので、何某氏は主人にやっぱり金をくれという。主人は太郎冠者はちゃんと働くのだと言い、働かせてみせようと、太郎冠者に縄綯を命じる。
太郎冠者が主人の前で縄を綯いながら、何某氏の家庭のことをおもしろおかしく馬鹿にするシーンが印象的だった。ただ、本作が作られた当時、本作の太郎冠者のような召使は本当に借金のカタに他の主人に譲られたりしていたようだ。これは狂言だから、笑いの要素があるが、自分ではどうにもならない人生を、こうして笑いの種にしていたのかもしれない。
「月見座頭」
8月15日。巷では名月だが、本作の主人公は座頭なので月が見えない。それでも野に出て虫の声を楽しんでいる。そこに男が現れる。男は座頭に声をかけ、互いに古歌を言い合うなどして、意気投合する。酒を飲み、舞を踊り、いい気分になって別れるのだが、男はふと、ちょっと座頭をからかってやろうという気持ちになる。
本作は観客の教養を試される演目だと思う。古歌や舞を楽しむための演目なのだ。自分にはむずかしくて、いろいろなことを学ぶ必要があると思った。
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