インヒアレント・ヴァイス
素晴らしかった。
トマス・ピンチョンの原作をポール・トーマス・アンダーソンが映画化。
主役のドックを演じるのはホアキン・フェニックス。「ジョーカー」で一気に名優の評価を得た。
1970年アメリカのロサンゼルス。
私立探偵のドックが、元恋人シャスタ・フェイからの依頼を受けるところから物語ははじまる。
雰囲気としては、ビッグ・リボウスキに似ている。
失踪したシャスタ・フェイを探しに行く物語だ。
ドックはヒッピーで、いつも薬でへろへろになっている。
重要なキャラクターとしては、ビッグフットという刑事が出てくる。ジョシュ・ブローリンが演じている。彼はいつもチョコバナナを食べていて、ゲイなのかと思っていたら、家族がいた。
彼はいつもスーツを着ていて、ドックに暴行をくわえたりするが、仲はいいようだ。
何故かみんな肌が荒れている。
権力とヒッピーという構図が描かれていて、ビッグフットがヒッピーを受け入れられないというところや、ドックが警官にいたぶられたり、金持ちの家にいって浮いてしまったりするのもそういう構図を描いているのだろう。
事件は解決し、ドックのもとにはシャスタが戻ってくる。
しかし、物理的にもどってきただけで「私達はヨリを戻したわけじゃないのよ」という。
そう、探偵映画としては、大団円を迎えていないのだ。
この、どこへ向かっているのかわからないという感じが、当時のアメリカの空気だったのかなと思う。カウンターカルチャー、ベトナム戦争、いろいろなことがごちゃまぜになっていた時代なのかもしれない。
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