「ハリー・ポッターと賢者の石」(2001年)
「指輪物語」や「ナルニア国物語」といった魔法の物語を蘇らせたのが、「ハリー・ポッター」シリーズの最大の功績だろう。
本作はその第一弾。
ハリー・ポッターは、両親と死別していた。闇の魔法使いであるヴォルデモートと戦って死んだのだ。ハリーは生き延び、ヴォルデモートは体を失った。
ハリーはダーズリー家に引き取られていた。叔父夫婦はハリーを育ててはいたが、虐待していた。
叔父のバーノンと叔母のペチュニアはハリーの両親の死について知っており、彼らが魔法使いだったことも知っている。
だからだろうか、バーノンはハリーが魔法の世界(ホグワーツ魔法学校)にいくことを執拗に阻止しようとする。
それでもハリーは魔法の世界にいく。
ホグワーツでは、おなじみのロンやハーマイオニーといった仲間と知り合っい、マルフォイのような嫌味なキャラクターも登場する。
マルフォイの言動を見ていると、イギリスは階級社会であり、魔法使いの世界にもそういった意識が残っていることがわかる。
一方、ヴォルモートは、肉体を取り戻そうとしていた。そのために「賢者の石」が必要だった。
今のところ、魔法の世界は基本的にホグワーツ魔法学校以外は特定の場所に限られており、「指輪物語」のように広大な土地を旅するというスタイルではない。
ただし、現実と魔法の世界を行き来することで、行きて帰りし物語のプロットになっている。
勇気、友情、愛情といった要素だけでなく、イギリスの階級社会、孤児の問題といった現実的な問題も盛り込んでいる。
現実はつらくとも、あなたは孤独ではないし、未来を切り開くことはできる。これは、失業中だったJ・K・ローリング自身が自らに向けて語りたかったことなのかもしれないが、結果としては世界中に愛される物語となった。
製作費は180億円。興行収入は1,470億円。
これだけの成功をおさめたのは、もしかすると、多少の魔法を使ったのかもしれないが、我々普通の人間が希望を持つのにも十分な出来事だろう。
https://www.youtube.com/watch?v=oqeGueBbNvA&t=2s