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ボウリング・フォー・コロンバイン

二回目。やっぱりマイケル・ムーアは面白いな。

米コロンバイン高校で起きた銃乱射事件の取材に端を発して、なぜアメリカでは銃による死亡者が多いのか、というところまで切り込んでいく。その理由としては、アメリカ人は常に恐怖に怯えていて、その解決策として銃を使うのだ、という結論になっている。
このあたりは小生が常々感じているアメリカは暴力の国だ、という印象にひとつの根拠を与えてくれた。
小生が好きなデヴィッド・リンチやハーモニー・コリン、ビースティ・ボーイズ、パンテラ、カニエ・ウエスト、エドワード・ホッパー、ロバート・メイプルソープといったアーティストたち。彼らは素晴らしい作品を作るが、そこには少なからず暴力の影がちらついている。彼らが暴力的であるというわけではなくて、暴力の国にいるからこそ生み出せるパワーがある。
そのひとつの要因が恐怖なのかもしれない。それこそハンター・トンプソンの「Fear and Loathing in Las Vegas」というタイトルにある通り、「恐怖と嫌悪」がアメリカそのものなのだ。

タイトルについて書いておくと、ウィキペディアなどにも書いてあるとおり、コロンバイン高校の事件は当初、犯人たちがマリリン・マンソンを聴いていたから、マンソンの音楽が彼らを犯罪にはしらせたのだ、という批判が出ていた。しかし、犯人たちはボーリングも好んでいた。だったら、ボーリングこそがコロンバイン高校の事件の元凶なんじゃないか、という皮肉である。ものごとの本質に目を向けず、思いつきの理由を挙げて、悪者にしてしまう。これは映画の最後に全米ライフル協会の会長であるチャールトン・ヘストンが、ムーアの取材に対してしどろもどろになって、適当なことを言うところを収録することで説得力をもたせている。

もちろんこの映画はムーアの映画だから、ムーアの視点で描かれている。これが真実ではなく、ムーアの意見なのだ。その点は肝に銘じておく必要があるが、映画としてとてもおもしろい。

https://www.youtube.com/watch?v=HhHYTdO4Gqc

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