ブルーバレンタイン
これは名作。
ライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムスという組み合わせだけで期待値が上がる。
ダークな作品だっていうのは事前情報として聞いていた。
夫のディーンは無職、妻のシンディは看護師。ふたりには娘のフランキーがいる。
後半で明かされるが、フランキーはシンディの元カレとの間にできた子どもだ。ディーンは、それを知っていてシンディと結婚した。
この関係もそうなのだが、この映画は愛情のもろさが描かれる。
シンディの両親はいつも互いを傷つけあっていた。そういう両親を見て育ったシンディは、自分はそうはなりたくなかった。しかし、ディーンとの夫婦生活でストレスをためていく。
自分がなりたくなかったものに、自分がなってしまう。
最後に夫婦がキッチンで終わりをむかえるシーンは素晴らしい。互いの思いを吐き出す現在の夫婦の姿に、若い頃に結婚式を迎えるふたりの姿が重なる。喜びと悲しみが並行して描かれる。
ミシェル・ウィリアムズの、生活に疲れた元美人という感じが絶妙にうまい。学生時代は美人で、かっこいい彼氏と付き合っていた。だけど今は無職の夫と娘との生活で手一杯。そんな姿をうまく表現している。
ライアン・ゴズリング演ずるディーンは、まだ妻を愛している。彼は若い頃から、シンディを追いかけて追いかけて、なんとか自分のほうを振り向いてもらっていた。しかし、彼はどこか情緒不安定なところがあり、それがふたりの破滅を招く。
傷つけ合う親を見せたくないというのがこの映画の1つのキーワードになってると思う。
自分が見たくなかったものに自分がなってしまったと言うそういった悲劇がこの映画なんだと思う。
この夫婦には最初から拒絶があって、それを林が飲み込んできた。だけどそれはやっぱりそういったことには限界があって、夫婦はお互いを認め合っていたわけじゃなかった。
互いを思いやる気持ちはあるのに、どうしてもうまくいかない。小さなことが、おおきな傷を招く。ささいないざこざの積み重ねが悲しみに満ちたエンディングまで、徐々に大きくなっていく。
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