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アド・アストラ

なかなかよかった。
A24の「ムーンライト」的みたいな空気、作品の内容ではなくて、「深みのあるような、でも軽い」感じがする。でも本作の製作会社はA24じゃない。共通しているのはブラッド・ピットのプランBが製作に名を連ねているところ。ムーンライトの、あの「名作になりそうなんだけど、思い切り推すには、ちょっと軽すぎる」感じはプランBのセンスなのだろうか。

アド・アストラもそんな感じ。
宇宙軍の少佐であるブラッド・ピットが主人公。彼は冷静沈着で、宇宙から地球に落下しても平常心を失わない。
そんな彼が、海王星に向かう途中で失踪した父親が生きているかもしれないと知らされる。地球を襲う電磁波を父親が放っているのかもしれないというのだ。
ピットは父親を捜しに海王星に向かう。

「地獄の黙示録」、もしくは「アギーレ 神の怒り」のように延々と宇宙を旅する。しかし、あんなに視聴者を置いてけぼりにするほど長大ではなくて、それなりにアクションもある。映像のセンスもよくて、こぎれいにまとまっている。このあたりは良し悪しで、本作が上記2作品や、「2001年」を越えられない理由でもあると思う。作家性よりも収益をとれることを考えてしまっているのだろう。
また、本作ではピットのモノローグが延々と続く。それは彼が人間性を取り戻してく過程でもあり、すばらしい。モノローグといえば、テレンス・マリックが「ツリー・オブ・ライフ」などで頻繁に用いているが、あれは本気で神に問いかけてしまっていて、見ているほうはわけがわからなかったりする。だけど、本物の信仰とはそういうものかもしれない。その点でも「アド・アストラ」は視聴者がきちんと理解できるようになっている。
そう、マリックの深遠な哲学的考察に至らないのだ。

「アド・アストラ」はマックス・リヒターが音楽を手掛けていることもあって、現代的で洗練された、すばらしい作品になっていると思う。完成度は高いのだ。しかし、いかんせんライトだ。最近の視聴者はそれでいいのかもしれないけれど。

https://www.youtube.com/watch?v=g5h8RAGYLZQ

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