ミッドサマー
非常に後味の悪い映画だった。
メンタル的にグロテスクだ。
アメリカ人の学生たちが、スウェーデンの、あるコミュニティーで行われる祭りを見に行く。学生のグループの1人がそのコミュニティーで育ったのだ。論文のテーマにしようとか、単なる好奇心とか、そういったそれぞれの興味を持って出かける。
コミュニティーで、行われる祭りは彼らの理解を超えたものだった。外部からやってきた人が、次々と失踪していく。不穏な空気の中、物語は進んでいく。
アメリカは、異文化を侵略し、征服してきた。この映画では、学生たちが、侵略者の役割を担う。ただし、本作では、侵略者たちは、逆にコミュニティーに取り込まれ、自らの役割を全うする。侵略者が敗れるという点が珍しい。
本作を作った監督はアメリカ人だ。
なぜ、自分たちの国を侵略者として描きその侵略が失敗に終わる物語を作ったのだろう。ここには、アメリカ人の、自らの歴史に対する反省があるのだろうか。もしくは、もはやアメリカはつよい国ではなくなったという思いが反映されているのだろうか。
一方、本作は、恋人の関係性が変化していく様子が丁寧に描かれていく。物語の最初で主人公の女は恋人に捨てられそうになっている。それが、物語の最後で恋人を捨てるのだ。この変化と、彼らがコミュニティーでそれぞれの役割を与えられ、その役割を果たすことによってそれぞれの結末を迎えるという流れが絶妙だ。
最初に書いたように、非常に後味の悪い映画だ。人に勧めたいとも思わないし、もう一度見たいとも思わない。ただ、とてもよくできた映画である事は認めざるを得ない。
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