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書いたとたんに忘れていくエッセイ

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記事一覧

思考深度

最近、思考深度というか、問いを重ねることで人は思考や現実に対する解像度が上がっていくのではないかと考えている。

これはおそらく、ハイデガー「存在と時間」の影響だろう。あの本はまったく理解できなかったが、最初に「存在と時間」とはなにか、という問いにはじまり、それを検証する問いが生まれ、さらにそれを検証する問いが生まれ、と延々と問い続けたのだった。
もしくは、冒頭謎めいた舞台設定を提示しておきながら

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青山ブックセンター

書店は場所によって特徴があるのが面白い。
その店の客層がどういう人たちなのか、その街がどういう街なのか想像するヒントになる。
みんながみんな書店に行く時代ではないので、その街全体のイメージを書店から読み取ろうとするのは無理がある。それでもエリアごとの違いを読み解いていくと見えてくるものがある。

青山ブックセンターはアート系の書籍が多い。海外のファッション雑誌とか、日本の写真家の作品集とか。

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善福寺公園

善福寺公園

メインのエリアは、大きな池がある。
そこをぐるりと囲む散歩道。
古い樹木が多い。蝉の声や水の音が心地良い。

五感を意識する。
聞こえてくる音を数える。
聴覚に集中しているときは目の前にあるものが見えていない。それではいけないと植物の葉っぱを見たり、樹木を見たりする。そうすると今度は歩いている足の裏の土の感触などを意識していないことに気がつく。
五感のすべてを同時に意識するのは難しい。
それでも練

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「鈍考」

「鈍考」

ブックディレクターの幅允孝氏が主催する私設図書室。
予約制で、定員6名の90分。
最寄り駅は京都の叡山鉄道の無人駅だと聞いていたので、どんな田舎なのかと思っていた。
叡山鉄道は1両編成の鈍行ではあるが、車窓から見える風景は郊外の住宅街だった。江ノ電に近いイメージなのかもしれない。
駅からは徒歩10分ほど。山が近いし田畑もあるのだが、高級住宅地(高級別荘地?)のようで、豪邸が立ち並んでいた。
鉄道が

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BRUTUSに毎号出ている人。

BRUTUSに毎号出ている人。

日本人で、雑誌「BRUTUS」を知らない人はほとんどいないだろう。
そのBRUTUSに毎号出ている人がいる。
連載を何十年も続けている、という人もいるかもしれないけれど、そういう人じゃなくて。
巻末に、毎号出ている。

ネットにも多少出ていて、この記事はおもしろかった。
https://nepenthes.co.jp/lifestyle/36/

それはともかく、BRUTUSはいつも読んでいる。デ

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勝手に考える企画

勝手に考える企画

企画って、理想と現実のギャップを埋めるという作業なのかもしれない。そうすると、やっぱり、理想のイメージを具体的にもっている必要があるんだろう。

たとえば、いい生活がしたい、というのは多くの人が望んでいることだと思う。
いい生活ってなんだろう。たとえば家族。妻がいて、子どもがいて、海に近い町で生活したい。自分でハンドリングできる仕事があって、ストレスも少ない。少なくとも質の悪いストレスに常にさらさ

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ドキュメント「シン・仮面ライダー」~ヒーローアクション 挑戦の舞台裏~』

ドキュメント「シン・仮面ライダー」~ヒーローアクション 挑戦の舞台裏~』

いいなと思ったところと、イマイチなところがあった。
この番組は「シン・仮面ライダー」のアクションシーンの撮影の話だけなので、ドラマシーンのことは全然やらなかった。それはそれでいい。

庵野秀明がアクションシーンで「殺陣じゃなくて、本気で殺すんだ、っていうところを見せてほしい」「段取り通りに動いたってしょうがない。全部アドリブでいいくらいだ」みたいなことをずっと言っていて、クリエイティブってそういう

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いきのこる

いきのこる

人生にはしんどい時期がある。
そういう時、偉人の言葉とか、はげまし系のブログを読んで、勇気づけられることがある。
いいことだ。
しかし、そこで終わってはいけない。
「今のままのあなたでいい」というたぐいのことが書いてあっても、そうじゃないのだ。
「今のままのあなた」でよかったら、うまくいっているはずなのだ。
でもうまくいっていない。
じゃあ、このままではいけないのだ。

今の状態はあなたの人格を否

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時代の空気をマインドフルネス

ぼんやり生きていてもなんとかなる時代ではない。
そりゃ、餓死するということはないかもしれないけれど、どんどん端におしやられるのは覚悟しなきゃならない。ん?そんな覚悟するくらいなら、ぼんやり生きないか。

ぼんやり生きない。ということは、きりっとすることか。と、あたりを睨んでみても、なにもかわらない。そりゃただの危ない人だ。
ぼくらは、時代の空気を読む必要がある。

世の中でなにが起きていて、それを

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説得しにくるやつら

説得しにくるやつら

坂道を登りながら、こう考えた。
お菓子食いてー。
しかし、ぼくはダイエット中である。
お菓子はだめだ。
そうとわかっていながらも、足はもよりのスーパーにはいっていく。ポテトチップス、ポリッピー、チョコレートもある。
どれを食べれば太らないだろうか……。
愚問である。
太るのだ。どれを食べたって太る。
でも食べたい。なぜって……、食べたいんだもん!
こんな経験はないだろうか。
だめだとわかっていても

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かくこと

かくこと

かくという行為は、紙にかくこともあるしパソコンでかくこともある。書く、描く。と両方ある。いずれも、誰かが自分の中にあるイメージをアウトプットする行為だ。それをみるのは、他者であったり、自分自身であったりする。

自分の中にあるものをアウトプットする。
イメージを表現する。これは、ただかけばいいというものではない。
もちろん、最初はただかくしかない。子どもの絵がなんだかよくわからないのと同じだ。繰り

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問いとは光である。

問いとは光である。

問いとは光である。
すべての問いは、疑問・観察からはじまる。
問いに似たものとして、疑いがある。疑いは否定的なニュアンスがある。問いはまっすぐだ。バイアスがかかっていない。
問いの反対は沈黙、無関心。興味がなければ問いも生まれない。
問いは対象への興味からはじまる。対象に光を当てる行為だ。
問いとは、対象の形を明確にするために使われる。
だから対象について調べて、疑問点を解決する。他者に問うことも

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仮面をつけて生きる

仮面は他の存在になる道具だ。
宗教的な儀式において、仮面をつけた人間は神や神に近い存在になる。それが「三丁目の山田さん」だったとしても、その空間、時間においては、本人は神的な存在だし、それをみている町内会の人たちも「山田さん」ではなく神である、神に遣わされた存在であるという認識になる。

人間は、自分がそうであると信じている存在になる。
会社でも、一般社員が係長になり、課長になり、部長になり、と昇

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問い続ける

問い続ける

問うことによって、問いが磨かれていく。
誰かに問えば答えが戻ってくるが、自分に対する問いはかならずしも回答が得られるとは限らない。答えを得るために問うというよりは、自分を深化させるために問うのだ。

他人に質問するときは、相手を見極めなければならない。真面目に答えてくれる人を選ぶこと。答えを持っている人を選ぶこと。ラーメン屋さんに「あなたにとって自転車とは?」などと問うても、「出前に使います」とか

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