愛に愛を重ねて
愛を伝える表現を知らなかった
若き日
はね返ってばかり
今もそう変わらない
私の肩にキスをして
小さな願いさえ伝える日も待たずに
口笛を吹いているなんて
あまりにも考えずに来たの
あなたに出会ってすべてがひっくり返った
裏返ったもの
気がついて戻す
それだけで終わる一日
上辺だけ拾って
歩いて行きたいのかと
問われているような
深淵を見つめる目
そんなつもりはなかったのに
いつのまにか
力ない笑いで繕って来たの
この世に冷たい心があるって
真っ直ぐに認められる
あなたの強さ
こんなにさびしい心があるって
きっとその身に受けてきた
痛みのかけら
愛に愛を重ねて
ただ思いやりを伝えられたら
ただぬくもりを伝え合えたら
令和四年三月五日 記す