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『歌壇』2024年5月号

木の葉には根よりも毒の多きこと図鑑に知りて春の野をゆく 栗木京子 確かに根の方に毒が多いような印象がある。しかし葉の方が多いと言われればそれはそれで納得できる。ネットではなく図鑑なのが少しレトロでよい。知る前と知った後では春の野を歩く気分も違うのだ。

努力して、でも選ばれぬ悔しさは安らぎに似て聖なる五月 栗木京子 なぜ「安らぎ」なのだろう。自分の努力ではどうにもならない、と手放した安らぎか。「聖なる」も人の力の及ばないこと、という意味を感じさせる。悔しさの時点で止まってしまう人が多いのだろうが。

「今はいい」は断りなのか「今は」いつまでなのか子の言い分は 沖ななも 前のめりで世話を焼こうとする主体に対して「今はいい」という子。親の側のもやもやした気分が率直に表されている。保留しておいて必要になったら頼るという、子の側の理屈に気づいてもいる。

④特集「作歌意図を超えた歌」
平岡直子〈固有名詞や引用が含まれる歌は、読者によっては歌の一部が目隠しされているに等しい状態になるはずだけど、それでも鑑賞が成り立つ、という現象自体が、歌が作者のものではないことを教えてくれる。〉
 固有名詞や引用が分からなくて、検索とかして上っ面わかっても、やはり読みが届かないことはある。それでもそれを超えて、歌が響いてくることはやはりあるし、何とか自分の持ってるもので対処しようという気持ちを触発されることがある。

⑤川本千栄「現代短歌フェスティバルin奈良 激動する短歌ー歴史から未来へ」 
 レポートを書きました。大変充実した会でした。対面でこうしたイベントに参加できる喜びを感じました。少しでも熱気が伝わる文章になっていたらうれしいです。

2024.5.27. Twitterより編集再掲