あなたとみた春を想いだせない
「忘れる」とは、生きていく上で必要な機能だ。
一年前の今日何を買ったとか、先週の金曜日のTO DOリストとか、昨日通勤路ですれ違った人の服の色とか。そんな些細なものごとを覚えていられるほど、私たちの脳みそにはスペースがないらしい。
積み重なっていく日常には、忘れていいことのほうが、たぶん多い。だから、重要なメモリーの保管場所を確保するために、些細なものごとは「忘れる」のだ。
今までにこの目がみてきた色は、一体どのくらいあるのだろう?この肌が感じてきた風の種類は?この口か