「相手を知る」ってどういうこと? vol.04 週報
今住んでいる家が、JR因美線 那岐駅から徒歩〇〇分くらいで駅近(と呼べるなら呼びたい)なので結構電車に乗ってます。
このJR因美線とやらは本当に本当に運行本数が少なくて毎回びっくりしてしまうんですけど、とにかく車窓が最高なんです。
今まで見てきた車窓の中でダントツ一番美しい。そして、みんな車窓を眺めている。この時代に、ただただ車窓を眺める空間が日常にある。
いい車窓からの景色には、いい車内の景色がある気がします。
さて!
研修も折り返し地点、 vol.04 まできました。
今週もよろしくお願いしまーす!
1ヶ月の反省と、vol.04の進め方
先月までの振り返りから、vol.04の目標は上の3つに。そして結果としてどうだったか、の部分はこちら。
インプット課題
vol.04のインプット課題は、以下の課題図書6冊と課題映画1作品
①『高城剛と未来を創る10人』
②『自然権と歴史』
③『無言論の教室』
④『地政学入門』
⑤『夜と霧』
⑥『ナポリ仕立て』
映画『めぐりあう時間たち』
課題図書として、これらの本が選ばれるには何らかの理由がある。木坂さんが本と本の関係性に着目すると言っていたが、vol.04の課題図書だけで関係図を作ってみた。
今回は歴史について、特にナチスに関する記述がされた本が多かった。ナチスから逃れたレオシュトラウスが書いた『自然権と歴史』、ナチスから迫害を受けたフランクルが書いた『夜と霧』、ナチスが負けたのは「シーパワー」を甘くみたからと指摘している『地政学入門』。
本と本との関係性や、本と現代の歴史的推移を確認しながら進めると、違った形で本を捉えることができる。
『高城剛と未来を創る10人』
2011年に発行されたこの本、13年後の2024年から見るとかなり面白い考察が多くある。
例えば、高城さんとテリー伊藤さんの対談にて。YouTubeの個人チャンネル時代を予言しており、映画までもダイジェストになる広く浅いインターネット社会になると言っている。現代の映画を早送りしてしまう人たち、ダイジェストでしかコンテンツを追うことができない人たちについて語っている。
また、高城さんは「移動距離とアイデアは比例する」と言っており、一番好きな言葉だ。場所を移動しないと、人間はものを考えなくなる。移動してみて、向こうでは常識だったことがこっちでは非常識だということを知る。ここに移動することの本質があると思う。自分が生きてきた世界の当たり前が、180度変わってしまう。そこに面白さがあると思う。
『無言論の教室』
数学的アプローチにより、「無限」とは一体何なのかについて迫っていく本書。「実無限」と「可能無限」それぞれの立場から互いの立場の矛盾を証明していく。内容は理解するのでやっと、というか正直理解しきれてないところもある。
CMCで出てきたヴィトゲンシュタインやアリストレテスが登場してきた。「実無限」と「可能無限」の考え方が、ヴィトゲンシュタインが哲学に没頭するきっかけなんだとか。それにしても、うーん、、、難しい。
『ナポリ仕立て』
ナポリの仕立てはスーツの価値観を「威厳と格式」から「軽くてやわらかく動きやすい」に変えた。
スーツの核はドレープにある。スーツは人体に沿って生地を曲げ、曲げた連続した曲面がドレープライン。そこにナポリの美意識が凝縮されている。
特に面白かったのが「ちぐはぐな美」という表現。ナポリは超個人主義のためチームワークは不可能。だから1着の中も不揃い。でも、ちぐはぐだけど調和しているというのだ。それは、個人の確固たる美意識が集まり調和しているから。ナポリ仕立ては「美意識を買っている」のだ。
『夜と霧』
一言で言うと、衝撃。これほどまでのことが100年も経たない前に起こっていた。本当に些細なことで生死が別れてしまうのだ。ちょっとした仕草や態度、姿勢だけで9割の人が収容所に入ってすぐにガス室送りになる。
収容所の中では、流れに身を任せるしかない。本当のことを答えて、聞かれないことを黙っているしかない。
そして、彼らは境地に辿り着く。苦しむこと、死ぬことにも意味はあるはず。生きることの意味を問うのをやめる。生きることが私たちに何を期待しているかなのだ。
有名な文章「人間とは、ガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもあるのだ。」に全てが凝縮されている。
『地政学入門』
最初に地球上の国々は、どれだけ進化しても地理的位置を変えることはできない。日本も同様に、海上交通に依存しなければならない。と書かれている。
地政学は、その国の成り立ちから、土地にどれだけ依存しているのか。特に、他国との争いにおいてどう振る舞うべきか、べきだったのかについて語られている。
特にロシアの成り立ちや振る舞い方は現代にもかなり通じるところがあり読み応えがあった。
『自然権と歴史』
この本、とにかく難しい。というのも各種の人物や著書の内容を知っている前提で書かれているためその事前知識が必要になるからだ。
レオ・シュトラウスがナチスから逃れてきて、1920年代ドイツの自然権の否定から現代アメリカが同じ傾向を強めていることに危惧したことがきっかけとなっている。
この本、歴史と書いてあるのにその進み方が、現代→古代→近代なのである。これは彼自身が歴史の認識として「進歩」していくものだと捉えずに「回帰」しなければならないと捉えていることが読める。
『大衆の反逆』にも現代の人々はみなが現代こそ一番進歩していて、全てを知っていると思い込んでいる、とあったがそこに通じるものがある。この本も、何年もかけて読むべき名著である。
映画『めぐりあう時間たち』
「私たちはあるがままを見つめ、受け入れて、そして立ち去る」
「もっと幸せになるんじゃないかと思っていた頃、あの瞬間こそ幸せそのものだった」
運命に翻弄される女性たちを描いた物語、
一方で自らの精神的不安定さによって振り回す側、振り回される側の物語でもある。
この場合、キャラクターには必ず二面性が描かれる。
誰しもが振り回し振り回されているのだ。
『ダロウェイ婦人』を軸に描かれるが、最後に自分が死ぬのではなく、誰かを殺すとある。
誰かの死を持って、命の尊さを語るのだと言っていたが、3つの物語は小説の中の話なのか、はたまた違うのかはあまり重要ではない。
「始まりに比べ、終わりは愚かすぎる。何もかも欲しくなるからだ」とあるように、何もかも欲しくなり愚かになっていくさまこそこの映画の最も重要な部分だ。
そして、愚かさの先で私たちは「立ち去る」ことしかできなくなるのであろう。
アウトプット課題
お題は
『モンクリを知らない人にも伝わる【モンクリここが面白い!】を文章にする』
である。
参考図書は前回の『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったか?』
まず、参考図書を見ながらアイデアを見つける道筋を立てた。
徹底的に調べる 体験して、消費者理解する コンセプト理解する
目的を設定
アイデアの必要条件を見つける 捨てる領域を明確にする
リアプライでアイデア探し
コミットメントする
ひとつずつ手順を踏みながら最終的に8つの文章を書いた。
そして、発表時点での振り返りはこちら。
今回の課題をやってみて気づいたのは「相手を知る」という視点に欠けていたこと。
相手を知る、相手が何を言ってほしいのか、好きなもの、嫌いなもの、相手への想像力が足りてない。
たとえ荒削りだとしても相手が誇らしいと思う企画を考えないといけないのだ。
総括
踏ん張る力、やり切る力、考え抜く力、この辺りの単語を使っているうちはまだまだだと思う。自分の課題が鮮明に見えてこない。当たり前の基準が低いのかもしれない。言わなくても、それは当たり前だよねって言えるようにしたい。
そして「相手を知る」ことについて。相手の主義主張、好きなものから嫌いなものまで。触れてほしいところから、触れてほしくないところまで。そして期待していることについて。この辺りをもっと考えるべきだと思う。
というのも、ぼく自身が面白い企画というものに対して意固地になっている。面白ければいいというものじゃない。まず相手に「お買い上げ」してもらわないといけない。そして「実装」しないといけない。
企画は実装して初めて意味を持つ。まずは相手にいいねと言ってもらうためにどうしたらいいかを全力で考えたい。
問いをどう解釈するのか、どっちに振り切るのか、不満はどこにあるのか、この辺りがヒントになる。
まだまだだけど、久々に悔しいー!と思った。悔しいって大切なことだと思う。
悔しくなってないなら、それは前に進んでないということだ。