26坪3世代で暮らす「小さな我が家」のご紹介
我が家は私が20代後半で設計した26坪の小さな家です。
20年経った今も、小さいけれど本当にいい家だなとじみじみ感じることがあります。(手前味噌でスミマセン・・・)
「小さな家で 大きく暮らす」がテーマなので、今日はその「小さな家」がどんな家なのかをご紹介したいと思います。
小さい家ならではの工夫やアイデアを良ければのぞいてみてください。
1.土地と家の大きさ+家族構成
■基本情報
築20年 木造2階建て
(2003年12月竣工)敷地面積:171.61㎡(51.91坪)
延床面積:87.77㎡(26.50坪)
※別途ビルトインガレージ1台分5人家族+愛犬1匹(2024年現在)
夫・私・中2息子・小4娘・義母・シーズー♂
建築当初は「夫婦+子ども2人」を想定して建てたのですが、引き渡しから1年後、中越地震で夫の実家が全壊し、一人暮らしをしていた義母と愛犬を呼び寄せて一緒に暮らすことになりました。
人生って、本当に想定外のことが突然やってくる。と、年を重ねるごとに感じます…
そして、大人3人+犬一匹の暮らしが始まりました。
夫婦の寝室を義母の部屋に、私たち夫婦は子ども部屋を寝室にすることにしました。
この家族構成であれば、26坪は広すぎるくらいでした。
2.北向きだけど最高な立地
我が家は分譲地の中でも小さく価格の安い北向きの土地ですが、南と西の2面に遊歩道が面しているという好立地です。
50坪ちょっとの土地ですが、遊歩道を含めて自分の敷地のように感じることができ、体感的には70坪くらいのゆとりを感じます。
環境は駅から数キロの便利な場所ですが、ちょっと歩くと田んぼが広がっています。田舎育ちの私たちにはちょうど良い安心感があります。
一般的には南向きの日当たりの良い土地が良い土地とされ、形も正方形や長方形が好まれます。そういった土地は価格も高くなりますが、わたしは北向きでも不整形な土地(旗竿地や三角形など)でも居心地の良い家は建てられると思っています。むしろ、価格も安くなり、その分を建築費に充て、その土地でなければ建てられない個性的な家を建てることができたりします。(ただし、これは規格住宅などでは難しい場合も。)
せっかくの南向きの土地でも、リビングの大きな窓が道路から丸見えになって、1年中カーテンが閉まっている。となっては、南向きの良さは半減してしまいます。
一見、候補にもあがらないような土地でも固定観念を取り払ってみると、その土地の新たな魅力が見えてくるかもしれません。
3.なぜ小さな家を設計したのか
ずばり、予算の関係で小さな家になりました。
土地建物での計画は、ほとんどの方が予算との闘いです。
(資金力のある方は別ですが…)
我が家も例にもれず、予算との闘いが待っていました。
この場合、大きく分けると選択肢は3つ。
①広さを優先した、ローコスト仕様の家
②そこそこの広さの、標準仕様の家
③小さいけれど、こだわりの詰まった家
我が家の夫は最初から「③小さいけれど、こだわりの詰まった家」の1択でした。
もちろん、私はその意見に大賛成!
入社して数年経ち、1人で設計させてもらえるようになっていた私は、小さな家の設計にワクワクが止まりませんでした。
4.小さくても狭く感じない設計の工夫
当時、「狭小住宅」の本を熟読していた夫は「できるだけ小さく小さくつくってほしい」と言ってきました。今までのお施主様からは言われたことのない言葉です。
でも、何も考えずに設計したら、ただ小さくて狭いだけの家になってしまいます。
私がつくりたいのは「小さくても広く感じる家」でした。
こだわりの強い夫の意見を取り入れつつ、私なりにこうだったら便利だな、こうしたら楽しそうだなというアイデアを取り入れて間取りは完成しました。
広く感じさせるための主なポイントは以下の4つです。
①空間につながりを持たせる
「ガレージ→玄関→吹き抜け→中2階のリビング→2階キッチン→子ども室」
という形で、小さな吹き抜けを中心にスキップフロアで全ての空間を流れるようにつなげました。行き止まりを感じさせない空間は広く感じさせる大きなポイントです。
②視覚的な効果を狙う
《建具の高さ》
当時の一般的な建具は2mや2.2mでしたが、2.4mの天井高に合わせて、天井までの建具を造ってもらいました。垂れ壁(下がり壁)が無くなるとことで、扉を開けていると全ての天井がつながり、視線が途切れず、広がりを感じさせる効果があります。
《鏡》
鏡は空間を2倍の広さに見せてくれる優秀なアイテムです。
我が家では脱衣と浴室、WCに大きな鏡を張り、面積以上の広がりを実現しました。
《窓》
ポイントを絞って大きな窓を設けました。
リビングからバルコニーにつながる掃き出し窓は2.4mの高さに。
子ども部屋の窓も2階ですが、床から天井までの大きな窓に。
どちらも南向きの庭に面した窓で、将来植栽が繁って雰囲気良くなることを見越してつくっています。
当たり前ですが、窓はつければつけるほど金額がUPします。
必要以上に設けず、メリハリをつけることも肝心です。
③色の効果
広く見える色と言えば、もちろん「白」です。
モダンな狭小住宅好きの夫は、真っ白な家がイイ!と白を推していました。
床まで白か…、という考えもよぎりましたが、以前に上司が設計した真っ白な箱型のお家にお邪魔した際に、あまりにも素敵な暮らしぶりに感動したのを思い出し、白い家もアリだなと思い直しました。
④小さくつくりがちな空間を あえてゆったりつくる
①~③は広く見せる設計でよく使われる手法かなと思うのすが、個人的にはこの④が広く感じさせている一番のポイントではないかと思っています。
我が家で一番贅沢な面積をとっているのが、2階の3帖のトイレです。
26坪の家には大きすぎると思われる方が大半ではないかと思います。
ただし、用途としてはパウダールームも兼ねていて、歯磨きも身支度もここで行います。(身支度中は1階のトイレを使ってもらいます)
「部屋の中にトイレがある」という感覚の場所です。
友人が遊びに来ると必ずこのトイレで驚かれ、26坪よりも広く感じると言われますが、1帖程度でつくられることが多いトイレが3倍の広さになっていることで、家全体の印象が広いと認識されるからではないかと思っています。
他にも4帖分の屋根付きポーチをつくったり、玄関と階段ホールを一体にして5帖分使ったり、小さな家をつくる際に当たり前のように小さくされてしまうスペースをゆったりとつくっています。
書きながら、設計した頃のワクワク感を思い出し、つい長くなってしまいました。今は設計からは遠のいていますが、やっぱり住宅の設計はとてもおもしろいな、と改めて感じます。
20年経って、古さを感じる部分も増えてきました。でも、愛着を感じながら暮らせてるのは、きっと家族みんなで小さな家での暮らしを楽しんできたから。
建築屋は家をつくることはできますが、暮らしをつくるのはその家に住む家族です。
なんだか書いているうちに、結局、小さな家でも大きな家でも暮らしを楽しんだもん勝ちだなと、思えてきました。
とはいえ、私は小さな家に暮らしているので、これからも小さな家での暮らしや楽しみ方をお届けできればと思います。
ご覧いただき、ありがとうございました!
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