キメラアントをかみしめる~『なぜ、アリなのか』
おひさしぶりです、Chizuです。
今朝、子どもと話していて、何とも興味深く余韻が残ったので、1記事書くことにしました。
テーマはあの、超有名アニメ「HUNTERHUNTER」のキメラです。
『なぜ、アリでなければならなかったのか』
(私は専門家ではないので、不正確な部分があるかもしれません)
社会性をもつ生き物
多くの昆虫は、群れを作りません(たくさん同じ所にいますが)。しかし、ストーリーを構成する都合上、「社会構造」と「無限に増えそうな恐怖感」が必要だと考えた場合、選ばれる生き物は限られてきます。
まず社会構造をもつ昆虫(社会性昆虫)としては、アリとハチが有名です。そしてこれら社会性昆虫の頂点は『女王』です。男王ではありません。女王を中心とする社会では、社会の形成のために、みんなそれぞれの役割に従い行動しています。
動物の世界にも、集団で生活する動物がいくつかいます。有名なところでは、ゴリラ、ライオン、ゾウがあります。ゴリラの群れのリーダーは雄です。ライオンの群れもリーダーは雄です。でも、ゾウの群れのリーダーは雌です。
雄がリーダーである動物の場合、雄の役割は「力」です。他を圧倒するほどの力こそが、唯一最大の武器であり、雌を魅了するものでもあります。しかし、雌がリーダーである場合の役割は、子育てを含んだ「知識」です。ゾウのリーダーは経験豊かな雌で、リーダーは群れを水場やえさ場へと案内しながら移動して群れを守ります。
そして、子どもだった雄が大きくなると、近親交配を避ける理由からか、雄リーダーが地位を守りたいからか・・・・・・若い雄は群れを離れていきます。
社会性の有無から受ける印象
このように、同じ種族の中からリーダーを選び出すことのできる生き物は、他より少し知能が高いような気がします。それは次の2つの理由からです。
他者を認め、従うことができる
リーダーとしての資質を持つことができる
逆に、群れを作らない生き物は、周りがみんな餌を奪い合うライバルという認識だったり、「我関せず」という雰囲気ではないでしょうか。おもしろい生態ですよね。
ストーリーを作る上では、この「リーダーをもつ社会性」「無限に生まれてくる恐怖感」という点で、昆虫が選ばれたのかもしれませんね。
アリ×ハチ
でも、なぜアリなのでしょうか。
参考にしたのはこちら
「京都大学 昆虫生態学研究室」「甲南大学 細胞学研究室」「玉川大学 ミツバチ科学研究センター(吉田 忠晴)」
どちらも、社会構造と雄の立場はとてもよく似ています。
働いているのは雌(雄の出生確率は全体の数パーセント)
雄の役割は生殖だけ(たまに働く個体もある)
雄との一定期間(回数)の生殖で、何年にもわたり、産卵する事が可能
これらの記事を読んでいると、「群れ自体が、それほど雄を必要としていない」という興味深い生態がわかります。また、どちらの雄も雌に比べて体が小さく、貧弱であることもおもしろい共通点でした。ただ、ストーリーの基本を「女王」「力の象徴的男王」「男王に愛を伝える特別な才能を持つ女性」とするなら、キメラとなる昆虫はどっちでも良かったかもしれません。
大きく違う点は、羽のあるなしでしょうか。
ストーリーをおもしろくするなら・・・?
一般的に知られているアリは飛びません。だから、他の生き物を食べることで能力を手に入れるというストーリーの場合、「どのように話を発展させるか」が重要となってきます。
元がハチだった場合、飛べるハチから、「飛ばない」ハチを生み出すという事になります。そうなると、進化というより退化という印象の方が先に来てしまうからではないかと思いました。
あの有名なサイヤ人も最初は空が飛べませんでした。でも「飛ぶ」ということで「キャラクターの進化」を表していたことから、地上から空へ向かう方が進化を表しやすいと考えることができます。そうすると、最初をアリから始める方が、話しが展開しやすいかもしれません。
さらに・・・
さらに作中では、女王アリは「男王」を生みました。本来なら「女王」を生むべきなのに・・・・・・。
男王は、母である女王の命も、仲間(だと思われる者)の命もいといません。
「力こそ全て」「知性と力において、王の中の頂点は自分だ」
そういった雰囲気を強く印象づけています。また、王は側近の進言にも耳を貸すことはありません。「それこそが王だ」と言いたい作者の気持ちがうかがえます。
一方で、作中で護衛群と呼ばれる精鋭部隊は、男王を守るためなら反対の意見も言うという興味深い行動をとります。基本資質をアリとするならば、完璧な「Yesマン」であればいいのに、自分なりに考えた意見をいうあたりに知性を感じました。
さいごに
HUNTER×HUNTERはどの場面をとっても、おもしろい定義が隠れているから大好きです。特に「暗黒大陸編」は情報が多いので何度見ても楽しめます。
どの話も、特性(生き物の特性・人の能力)の生かし方などについて、いろいろな考察が楽しめるので飽きることがありません。
この記事は、息子と話した「なぜキメラアントはアリなのか」からスタートしましたが、「こういう理由かもしれない」という母ちゃんの考察をお迎えの時に説明して聞かせようと思います。
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