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うらをみせおもてをみせてちるもみじ
「うらをみせおもてをみせてちるもみじ」
この歳になり色々な経験を経て、良寛のこの句の意味が実感できるようになった気が・・・
私には2分と記憶のもたない九十一歳になるが母親いる・・・戦中戦後と強烈な個性とパワーで生きて来た彼女・・・バブル後事業に失敗・・・それでも生来の気の強さは年をとっても健在であった。
常に自分を肯定し続けて来た彼女がぽつり・・・
「わたしは、もしかしてお前やまわりの人間に迷惑を掛けたのか?」
思わぬ言葉に私は笑って
「随分まともなことを言うじゃないか・・・ああ、色々と迷惑を掛けたのは事実だ・・・でもな、お袋に出会って助けられた人間も多くいたこともまた事実だ・・・おれはちゃんと覚えているよ」
「そうか・・・」と静かに頷く。
そんな会話もすぐに彼女の頭からは消えて行く。
母親の世話を済ませ、帰路に就く秋の夜道・・・良寛のこの句がふと頭に浮かんだ。
人の一生に於いて、決して表の良い面ばかりではない、人には裏の面もまた存在する。
それをすべてを受け入れて生きる・・・そして、人は散って行くもの・・・良寛はそう詠んだのでしょう。