技術士一次試験を受験してきた話 ②どうやって勉強したか
この話は
技術士一次試験を受験した話。前回は技術士そのものについて。
②は勉強について。
スペック
私のスペックは次のとおり。
・私大卒(工学部・電気系)※JABEE認定されていない学科。
・難易度の高めな資格の受験経験は第3種電気主任技術者・甲種危険物取扱者、行政書士、情報処理安全確保支援士といったところ。。
・入社から現在にいたるまで、ほぼ同じ仕事(化学工場の設備設計(電気)・システム)。
・2018年に長男、2022年に次男誕生。
なにを使って勉強したか
技術士教科書 技術士 第一次試験問題集 基礎・適性科目パーフェクト
毎年3月ごろに出ている模様です。予想問題はさておき、過去問とその解説がまとまっているのと、収録外の年度は解説つきPDFをダウンロードできるのでこれにしました。
電卓はカシオのDF-120GT。
今後簿記を学ぶときにも使えそうだったので。技術士一次試験では12桁も使わないと思うのですが、でかくてキー操作しやすいのは大事です。
基礎科目に学習期間を(ほぼ)全振り。
受験科目は基礎科目と適性科目だけになりました。適性科目は正直なところ「いい子ちゃんを目指せば大丈夫でしょ」という思いでいたため、最初から基礎科目9割くらいで学習するつもりでした。
※後の記事で書くつもりですが、この戦略は危ないです。一言で言えば「求められるいい子ちゃんのレベルが高い」からです。
基礎科目はかなり幅広く科学技術の知識を問うてきます。5つの分野に分かれていて、
設計・計画……設計の基本的な考え方や図面のルール、工程計画や予算計画などの立て方など。
情報・論理……IT技術やアルゴリズムなど。
解析……微積分・行列や物理の計算など
材料・化学・バイオ……金属やセラミックスの特徴や化学方程式の計算、生物学など
環境・エネルギー・技術……環境問題やエネルギー収支の計算、技術の歴史など
で各分野6問中3問選択して解答し、50点以上を取ると合格になります。
30問中15問選択の、8問以上正解ということですね。
しかし罠があって、「私は微積分とか行列とか物理計算ならめちゃめちゃ得意だけど、環境のことはさっぱりだ!」とばかりに、解析分野で4問以上解答してしまうと"失格"(=当該分野だけでなく、試験全体で採点されない)になるのです。各分野、3問だけ。
得点計画をたてる
得意な分野でも3問、苦手な分野でも3問です。しかし、得意な分野でもよくわからんというものもあるでしょうし、苦手な分野でも解ける問題があるかもしれません。解けそうな問を3つずつ選ぶ、という点ではある意味楽に突破できそうです。
それでも全体で8問以上正解するための得点計画を立てる必要があります。
全体的にまんべんなく正答率を高めるか、飛び抜けた科目で大きく稼いで苦手な科目はこぼれ球を拾うか。
私はいつも試験勉強の前にかるく過去問を解いて感触を確かめるようにしています。
その結果、
①設計・計画は知識問題ならかなり解けるが計算はパターンを理解していないからわからない。パターンを習得すれば勝てる。
②明らかに情報・論理は確実に6問中3問正解できる問題が選べる
③解析の計算問題は大学卒業からだいぶ経過していてもう忘れているものが多い。
④化学、なにそれ。
⑤環境・エネルギー・技術は知識ではなく、推理で問く
となりました。このような私の力量で全体的に正答率を高めようとすると、勉強の効率が悪いと感じました。
よって、飛び抜けた科目で大きく稼ぎつつ、こぼれ球を拾う作戦となりました。
得点計画は
① 情報・論理で絶対3問確保
② 設計・計画も2~3問確保
③ エネルギーで1問確保
④ 解析の知識問題と簡単な微積分で2問確保……ここで合格点到達
⑤ 解析と化学と環境・技術でなんとか3問は確保
の計11問狙いの最低8問です。
基礎科目はどこにウェイトを置くか
難易度の点や勉強の手のつけやすさは実感として、以下の通りでした。
試験時間1時間で15問解答なので、標準解答時間は4分/問(問題選択やマークシートチェックなどを除く)です。
合格に必要な8問を狙いにいく得点源は情報の知識問題と設計・計画とエネルギー。
圧倒的に容易なのは情報分野の知識問題です。ほぼ過去問で潰せます。
できればここで情報・論理の2点を確保したい。計算とアルゴリズムは手数が増えるので、知識問題で勝ちたい。
正直、ここは時間も点数も稼げるボーナスステージ。IPA高度試験の合格者なら、30秒以内に正解できる。
次に容易なのは設計・計画の知識問題→計算問題です。
設計・計画の知識問題は過去問焼き直しが多いのと、なんとなくこれやろーで判断できるものが多い。
30秒以内に正解が見抜けそうだから、ここでも時間と点数を稼ぐ。設計・計画の計算問題は手数の問題があるが、他の分野と比べてパターンが圧倒的に少ない。
情報・論理の計算問題も容易です。
ただし、小数ありの2進数→10進数変換のように手数が増える問題が多いので、慣れが必要です。
ここで情報・論理の1~2点を確保できれば、アルゴリズム系は見向きもしなくてすむ。
エネルギーの計算問題はたいてい計算に必要な条件が出揃っていて、単位を合わせるような計算を繰り返すだけです。
この手の楽ちん問題は出たら1点確保できるので、絶対落さないようにする。
解析の知識問題は範囲がせまいので、覚えやすいところです。
さほど難しくないので、ここで1点は拾っておきたい。
加点で3点以上を狙う
得点源でミスっても、加点で合格基準を突破したいところです。
解析の微積分・行列や情報のアルゴリズムは難易度自体そう高くはありません。
手数が増える傾向にあるので、見切りを付ける基準としていた。
解析の微積分で1点確保できたらありがたい。行列の計算でも簡単な問題なら1点確保できるかもしれない。
アルゴリズムは丁寧に追い掛けたらほぼ確実に点数を取れる。
ただ、情報はここまでですでに3点稼いでるから、優先度は低い。逆に言うと、アルゴリズムに手を出すくらいの状況なら、不合格の可能性が高くなる。
材料関係の知識問題は技術者として常識的な範疇のものもあれば、勉強しておかないとわからないものもあります。
1点拾えたら嬉しい。
技術の知識問題は歴史の勉強みたいなものです。
だいたいは技術的に新しいか古いか、を判断できれば通る。
知識として覚えるとなると面倒。
興味のもてる偉人と業績を10人分くらい覚えて、その前後の技術かどうか、をあてに行く……くらいにした。
捨てつつ、拾えたらラッキー、頑張って勉強はしない。
バイオの知識問題はDNAとかアミノ酸あたりの知識を覚えておけば勝てますが、苦手意識のあるところでした。
あまり期待しないでおこう。DNAだけ絞って暗記、外したら捨てる。
解析の力学系も解答パターンを立てて勉強するのがめんどうくさいのでパス。合成抵抗とかバネの振動とか。
電気系の学部卒にあるまじき発言。
手はつけるけど、期待しない。
化学方程式とかmolの計算はめんどくさいイメージがあるのでパス。
化学系メーカで設備やってる甲種危険物取扱者にあるまじき発言。
手もつけない。
環境は条約の名称や概要を暗記するのが苦痛になるのでパス。
行政書士試験でもこの手のはパスした。
適性科目の勉強時間はほぼ3時間
前述のとおり、適性科目は「いい子ちゃんを目指せばOK」なのだと割り切って、過去問を軽く5年分程度さらさら問いてみました。
どの過去問でも初見で11~12点取れたので、もうそれ以上勉強するのは時間の無駄だと判断し、切り捨てました。
次は受験の話。
https://note.com/chiyumaru/n/n03dc558059bd