引っ越しって痩せる
9月末から10月中旬辺りというのは、結構引っ越しシーズンらしい。勤務先の変化や、もろもろの契約がこの時期なんだとか?
ちょうど涼しくなり始めたこの季節だし、何かと身体を動かすことになる引っ越しにはちょうどいい気候とも言えるだろう。
私の友人も先日、引っ越してきた。引っ越しの話を聞いた時から、「何かあったら手伝うよー」とは声をかけていたので、ベッドや本棚の組み立てがある日に彼女の新居にお邪魔することになった。
引っ越しの時ほどドライバーを回す日はない。2日ほど金属やら木材やらにネジを捻じ込んでいたおかげで、中指の第二関節にまめができてしまった。ひ弱すぎる私の手よ……。
ベッドはものが大きいだけで、そこまで苦労はなかった。本棚も組み立ても天井とのつっかえ棒が真っ直ぐかどうか問題が大変だった。棚は引き出し付きの身長より大きなサイズだったため、ネジやら板の数が多かったができた時の達成感がすごかった。
大変だったのは本の整理だ。
以前、私も引っ越しをしたときに母親が手伝いに来てくれたことがある。その時、段ボールのほとんどが本や漫画で占められていた。つまり、こいつらを片さなければ荷物が片付かないのである。
そのため、本棚にせっせと本を詰めていた。母親はその間、キッチン周りなどの整理をしてくれていたのだが、終わった後に一言。
「あんた、漫画本の整理しかしてないやん」
確かにそう見えるだろうし、時間としても母親の言い分に間違いはない。でも、これが一番時間かかるんです……!オタクだから!!!自らの収集癖がそこに全て詰まっているのです。段ボールに入れる時は巻数もそこそこバラけて入れるもんだから、長編漫画とか本棚に入れるまでが大変なんです。
「お、〇〇あるじゃーん。これは高さ的にここに入れとくか」
と綺麗に並べたと思った数秒後、別の箱から続きの巻数やら、抜けていた巻が出てきちゃうんです……!そしてまた本棚内のパズルが始まるのだった。
例に漏れず、私の友人もそうであった。まず書籍系だけで段ボールが5、6個あった。とにかく開けて、何がどこにあるかを分かりやすく本棚へと並べる。そうしていくうちに、明らかに本棚のスペースが足りないことが分かってきた。
「これは……少し売るか」
しょうがないことではある。何せ、今回の彼女の引っ越しは実家とそれまで一人暮らししていた家から持ってきた本が合わさるのだ。20年以上オタクとして生きてきた人間が抱える本の数は計り知れない。
本棚に出した本を、彼女が売る売らないで選別していく。売ると判定されたものは私がスーツケースにできる限り詰め込んでいれた。当然のようにスーツケースにも入りきらなかったので、残りは丈夫そうな布袋に入れた。
それでどうにか段ボールは全部開け切り、部屋も本棚の中身もスッキリしたのだった。
「引っ越し中に痩せた気がする」
「分かる」
先月会った時から、久々に会った彼女は少し痩せたような気がした。体重などは測っていないらしいので、あくまでお互い予想なのだが。
ただ、私も二日間手伝っただけで結構動いたし、汗もかいた。痩せたかはともかく、日頃の倍は運動した気がする。
今年頭に私も引っ越ししたのだが、その時も私もスーツケース2個分ほどの漫画、書籍を売りにいった。ガラガラとアスファルトの上を転がしていったおかげか、二の腕の肉が減ったような気がする。(もうすっかり戻ったけどね!)
おかげで荷物も減って、体重も減った。
引っ越しをすると痩せる。