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「質問できない」呪いを解いた王子様

大人になるにつれて、初心者であることに抵抗を覚えてくる。

知識が浅いこと、経験が足りないことが言い出せなくて、素直に「分からないです」と言えない。

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」という言葉があるが、思い切って尋ねたのに冷たい対応をされたら、誰だって心が折れてしまうだろう。わたしは仕事で何回かこういう目に遭ったことがある。

当時3年目だっただろうか。なんとなく仕事がわかるようになったものの、経験のない事態に直面すると一人ではテンパることもある時期だ。対処法が知りたくて上司に聞いてみたら「そんなことも分かっていないのか」と一蹴された。他の社員もいる中、やや大きめの声を出されたことも相まって、地面がぐらぐらするような寒さを覚えた。

自分の成長が足りなかった? 聞き方が悪かった? 無い知恵を絞って考えた自分なりの方針が、とんでもなく見当違いだった?

答えはない。

それ以来、質問することがトラウマになった。質問どころか、雑談もできなくなった。自分でいうのもアレだが、わたしは本来、人と話すのが好きなタイプの人間である。仕事の話だけではなく、気楽なおしゃべりもしながら、相手の人となりを知って人間関係を築きたい。

それがどうだろう。雑談どころか業務上聞きたいこともろくに聞けず、いつもしんどそうな顔でひとりで戦っている。

よろしくない。非常によろしくない。でも、自分で自分にかけた呪いを解いてくれる王子様なんてどこにもいない。そもそも、助けてもらえるのはお姫様であって、そのへんのOLじゃない。

と思っていた。

そんなことはなかった。

王子様いた。

令和の王子様、Web上にいた。

今日は、わたしがオンラインキャリアスクールSHElikes(以下SHE)と出会って呪いを解いた経緯を紹介したい。

SHEではなんでも聞ける。

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職場の人間関係に限界を感じたとき、ふと転職がよぎるのはよくあることだ。わざわざ耐えることで何かが身に着くとは思わない。幸い、現代ではもう転職のハードルはかなり低くなったが、しかしそれだって相応のスキルや経験が必要である。「こんな会社、いつでも辞めてやる!」と、誰もが無条件に思えるわけではないだろう。

だが、自分ひとりで考えていても、結局 "好き" や "得意" は見えてこないことも多い。少なくとも私は見えなかった。そういう時に一番必要なのは、スキルではなくてビジョンだ。

あなたの将来の夢は? どこでどう暮らしたい? 心が躍る生き方は?

SHEには「コーチング」という制度があり、自分がどう生きたいか、どういう働き方をしたいかというビジョンをコーチとともに考えることができる。とても肯定的に。

コーチングのすごさは、この肯定力にある。いい加減社会の厳しさを知った大人が、今さら将来の夢なんて歯が浮くと最初は思った。しかし、分析のワークシートにとりあえず思うまま書き込んで、少人数単位でまとまって発表し、フィードバックをもらいながらさらに落とし込みを続けていくうちに、不思議な現象が起きた。

非現実的だったはずの寝言が、いつの間にか実現可能な目標になっているのだ。

ワークショップの参加者は、それぞれの段階で分からないこと、行き詰ったことがあるからこそコーチングを利用している。つまり、聞きたいことが聞ける機会だから参加しているのだ。他の人がバンバン聞いているのだから、当然自分のターンでの「質問すること」に対するハードルは下がる

当のコーチもまた、対話を通じて相手の本当の疑問や思いを引き出す訓練を積んだ人たちだ。参加者の夢を現実のものとするための、とても心強い伴走者。温かい雰囲気と前向きな言葉で、語りを後押ししてくれる。

道を切り拓くのは他でもない、本人。

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とはいえ、コーチはああしろ、こうしろと指示を出すわけではない。ビジョンに落とし込む段階から一歩進んで、必要なスキルを考えるときでも、あくまでその主体は参加者である。

もし、将来何かお店を開きたいと思っていたら、お客さんの目に留まるサイトや広告が必要かもしれない。であれば、デザインの知識があると役立つ。

文章を書くのが好きで、副業としてライターになりたい人もいる。読みやすい文章を書くコツや、Web記事を執筆するうえでの作法を知っていると始めやすいだろう。

SHEには20を超えるコースがある。Webデザインやライターが代表的だが、それ以外にも写真やマーケティングなど、興味があるものを好きに受講することができる。「もくもく会」という作業用ワークショップもあり、受講課題で分からないところを質問し、解決しながら進めることもできる。進みが遅いからといって誰も怒らない。

課題ごとに丁寧な採点と評価を受けることができ、何ができていて何があと一歩なのか、客観的に整理できる。SHEの紹介を通じて実際の仕事につながる案件で練習することもできるので、単なる学びで終わることもない。

そうやって結果として身に着いたスキルは、掛け合わせることでのちのち他者との差別化にもつながるだろう。

いずれにせよ、SHEに入会して得られるのは、安心して聞ける環境と主体性なのである。大人になると初心者であることが恥ずかしくなってくると冒頭に書いたが、SHEはむしろ初心者こそわくわくする場所なのだ。

とにもかくにもやってみる。

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わたしは、自分の居場所を会社以外にも求めたいという思いから、転職も見据えライターとしてのスキルを磨こうという目標を立て、受講を続けてきた。受講の仕上げにあたる卒業制作はこれからだが、8月に入って初めて、実際に案件を受注し、執筆をして報酬を受け取るという、小さいながら大きな一歩を踏み出すことができた。

人よりだいぶ長くかかってしまったと思う。仕事も、継続につながるかも分からない、ふわふわした一歩かもしれない。しかし、それが何だというのだ。やりたいことを叶えるのに、早いも遅いもないとわたしは思う。

人に聞かず、ひとりで頑張り続けていた自分を、ようやく解放することができた。「質問できない」わたしの呪いを解いた王子様は、分からないですと安心して告白できるSHEだった。

もうひとつ気がついたことがある。呪いを解いたのは王子様かもしれないが、身を起こし、もう一度その足で立ち上がることにしたのは、他でもないお姫様ことそのへんのOL、わたし自身の意志だったのだと。


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