店長のたりない日々(2024年7月号web版)
※店舗で張り出している物とは内容が違います。両方楽しんでいただけたら嬉しいです
夏への扉
6月に大阪で全国の浴場関係者が一堂に集まる全国浴場組合大会(通称全国大会)が開催された。こんな機会が無ければ、なかなか関西の方に行く機会がないので、お店をお任せして参加してきた。
SNSだけで繋がっていて、実際にお会いしたことがない方々に初めてお会いして色々な話を聞いて「私ももっともっと気合入れなおさないと!!」とモチベーションが非常に上がった。
今回はそれだけでなく、もう一つ目的があった。
それは昔住んでいた場所に行く事。
幼稚園から小学校高学年まで大阪に住んでいた。
その後親の転勤で関東に来てから実は一度当時住んでいた地域に行ったことが無かった。前職時代には何度も大阪への出張があったのに、意外に時間が作れなくて近くまで行くことはあってもその先へは行かなかった。
行こうと思えばいくらでも行けたのに、何となく怖かった。
自分の知っている場所じゃなくなっているんじゃないかという怖さ。
当時沢山遊んだ友達はみんなもういないだろうし、一人でそんな場所を歩いてもきっとむなしくなるだけだろうとか。
とにかくたくさん行かない理由を作っていかなかった。
けど、今回は本当にただただ「久しぶりに歩きたい!」と思った。
行動しない理由は沢山あればあるだけ良いけれども、行動する理由は何か一つあればそれだけでいいんだ。
という事で、もう1日お休みを貰ってタイムトラベルをしてきた。
最寄の駅は地下鉄やJRではなくて、モノレール。
駅から外に出て辺りを見渡すと・・・全く記憶と違う。
ちょっとどころか、かなり焦った。何一つ記憶と一致する箇所がない。
そして、信じられないくらいの快晴で汗が止まらなかったので目に止まったセブンイレブンへ即避難。
「20年以上経過しているとは言え、まさかここまで違うとは・・・」
涼しい店内に入り、ルイボスティーを手に取りながら独り言が零れ落ちる。
子供の頃の記憶だと、駅を出てすぐにそこそこ急な坂道があったはず。
そんな坂道は存在せず、大きいスポーツジムと病院と業務スーパーしかない。そもそも私の記憶が間違っているのだろうか・・・と自分自身が信じられなくなるという事態。
私は一つ心に決めていた事がある。
それは「Googleマップは一切見ないで記憶を頼る」と。
特に深い理由は無い!ただただ「どうせ行くなら記憶と照らし合わせて変化を楽しみたい」くらいの気持ちだった。まさか出鼻からくじかれるとは。
しかし、ぼんやりと記憶を整理すると当時急な坂だったところはきちんと階段に整備されていて、その階段を下りると友達と遠足で駅に向かう途中にはしゃぎながら歩いた記憶が蘇ってきた。
「そうだ、ここから小学校まで15分くらい確かかかるんだよな」
少し大きめの通りに出ると、見覚えのある洋菓子店があった。
その洋菓子店の看板を見つけた時「うわーー!」って声が出てしまった。
ここまで来ることができれば、一切迷わない自信があった。
そして、その自信は間違っていなかった。
子供の頃は15分くらいかかった駅から学校への道を迷いながらだったけど、10分もかからず歩ききってしまった。大人になった証拠だった。
小学校は校庭が物理的に狭くなっていた。
「森」と呼ばれた裏庭的なところも無くなって、新校舎(?)が経っていた。それでも校門まで移動すると、そこからの景色は20数年前と何一つ変わっていなかった。
そのまま、当時住んでいたマンションに向かう事に。
そのマンションが健在である事は大阪に来る前にGoogleマップで調べて見たので知っていた。
学校から家までの道のりは記憶だと20分~30分弱。
校門を後にすると、もうその先は全て覚えていた。
もちろん、建物が変わっていたり、当時よりもなんだか色々な物が小さく見えたり、看板が色褪せたりしていたけれども、何回も歩いた道のりを今も自分の身体が覚えているようだった。
10分弱くらいで、当時友達と遊ぶ時の待ち合わせ場所になっていた駄菓子屋についた。
「まだ駄菓子屋がやってる!!!」
当時はよくわかってなかったけど、駄菓子屋というよりもタバコ屋に駄菓子が沢山置いてあるという感じだった。
中にはおばあちゃんが居て、思わず話かけてしまった。
「実は20年くらい前にこの辺に住んでて・・・」
「ええそうなんかいな。どのへんやね?」
「あっちの○○公園って近くなんですけど」
「はーじゃあれやな。○○マンションやな?」
「!!!そうですそうです!」
「あっこもようけ子供おったからなあ」
こんな会話をしながら、この20数年の変遷を聞いた。
まず、この駄菓子屋に居た犬。
近づいてくるくせに、子供が嫌いですぐに噛みついてくる。
それがどうやら阪神淡路大震災の震災犬で一人ぼっちだったそうだ。
その時に子供に虐められたようで、だから人が気になるけど子供が嫌いと。
当時駄菓子屋で買っていた別の犬の散歩中にとても仲良くなって、家まで付いてきちゃったのでそのまま飼うことにしたとのことだった。
そんな背景あったなんで・・・・。
結局15年弱は生きていたらしく、写真を見せてもらった。
記憶のまんま、生意気な顔をしてて笑ってしまった。
そして狭くなった小学校の校庭。
記憶にあった沢山の畑や田んぼはほぼ売りに出されてマンションに。
そのマンションに沢山の家族が引っ越ししてきたので子供が増えた。
校舎がいっぱいになりどうしようも無くなり校庭と森を潰した。
という事だった。
これは引っ越し後に通った関東の小学校でも起こっていた事なので「なるほどなあどこでもあることなのか」と思ったと同時にやっぱり「森」が無くなったのは寂しかった。
おばあちゃんも「森は色々な動物が居て危ないとも言われていたけど、もったいないよなあ」としみじみ言っていた。
そのあとに近所に住んでた同級生の名前を複数出してみるとちらほら知っているような感じで、結局30分近くも談笑してしまった。
「またこの辺来ることあれば寄っていきなさいな」
そんな風に言われて、次の目的地へ向かったのだった。
※長くなりすぎたので今月はここまで!
8月号で続きを書きます!お楽しみに!!!
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