店長のたりない日々(2024年8月号web版)
※店舗で張り出している物とは内容が違います。両方楽しんでいただけたら嬉しいです
夏への扉その2
(今月号は先月号からの続きになります。ぜひ先月号も読んでください!)
駄菓子屋を後にした私は重い荷物を背負いながら次の目的地へ。
子供の頃の足だと10分くらい。大人になった今は5分かからないくらい。当時住んでいたマンションへ。そのマンションがある事はGoogleマップで確認済みだったので、少し安心感があった。
急だと思っていた坂道は思い出よりもだいぶ緩やかで、「あれ、こんなもんだったかな」なんて思いながら登りきるとそこには散々遊び散らかした公園が。
子供の頃の記憶通りだともっとごちゃごちゃしていた気がするけれども、すっかり綺麗に整備されていた。それでも、形は変わっておらず「ああ、毎日毎日飽きる事なくよくもまあ遊んでたなあ」と記憶がよみがえってきた。
この公園では語りきれないくらい沢山遊んだ。
引っ越しをするその日。午後から東京方面へ移動する事になっていたので、午前中は近隣に住んでいる友達と遊んでいた。まだまだ暑かったので、駄菓子屋で買いこんだ水風船でびちょびちょになるまで遊んで、ついにその時が。
車に乗って、ついさっきまで一緒に遊んでいたみんなに見送られながら公園を後にした。幼馴染の友人は信じられないくらい顔をぐちゃぐちゃにしながら泣いていた。もう一人の幼馴染は手紙をくれた。
「絶対に今は読まないでね。向こうに着いて、落ち着いたら読んで」
少し目に涙を溜め、ちょっと震える声でそう言った。
私がどんな顔して、どうしていたのかは記憶にないんだけどきっと記憶にないって事は私も信じられないくらい号泣していたんだと思う。
渡された手紙は約束を守って、引っ越しの荷物整理が終わってから読んだ。
内容は誰がどう読んでもラブレターだった。まだまだガキだった私は幼馴染の女の子の気持ちになんて全く気が付いてなかった。ただただ仲良い女子の一人、くらいにしか思っていなかった。
そんな沢山の記憶がよみがえってきた公園から30秒。
マンションは全く変わっていない姿でそこに鎮座していた。
あまりにも変わっていなくて、思わず笑いそうになるくらいだった。
けれども、ずっとそこに居るとさすがに不審者に思われてしまうのである程度目に焼き付けてすぐに移動を開始。
マンションの裏手側には小さな共同プールがあった。
泳げない私にひと夏の間、同じマンションに住んでいたお兄さんが泳ぎを教えてくれた。あそこで泳ぎを教えてもらわなかったら私は今でも泳げなかったかもしれない。
そんなプールもあとにして、記憶通りの裏道を抜けてバス停に向かった。
こうして私の20数年ぶりの思い出巡りは終了した。
この後は色々と気になっていた関西の銭湯に行き、お風呂に入って、移動してまたお風呂に入っての繰り返し。
関東とはまた違った活気があり、「負けてられないぞ!!」と気合が入った。
あれからまだ1か月弱しか経過していないのに、もう信じられない暑さが毎日続いているので、外出は無理をせず、水分補給とエアコンを上手に使いながらこの夏を超えていきましょう。
文責
店長
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