おこさまランチのロマン

おこさまランチには夢がある。それが子供でなくとも。
おとなになってはじめておこさまランチを食べた。ハタチである。いい歳の大人が、と思わないでもなかったが、憧れるじゃないですか。
のび太の海底鬼岩城で、のび太たちが各々好きな料理を頼むシーンがある。のび太は躊躇いなくおこさまランチを注文していた。私は思った。
カッケェ。
小5の彼が、みんな気取ったりガッツリだったりと食べたいものを主張する中、おこさまランチって言えるか?その空気の読めなさというかズレが限りなくのび太なのかもしれない。
それはともかく。そんなふうに自分を貫き通すのび太はカッコイイと思う。メタ的には本人そこまで考えてなかろうが。
温泉街を旅行した。
歩いて、歩いて、高台にあったカフェとも小さなデパートともつかないそこに私はそれを見つけた。

おこさまランチ 大人の方も注文できます

買うしかない。羞恥は捨てた。人ってたぶん、こうして大人になっていくんだと思う。たまにこんなふうに幼心を取り戻しながら、1日1歩、2日で3歩、3歩進んで2歩下がりながら死んでいく。

チキンライスとハンバーグ、唐揚げ。欲望の大盛りセットにクリームソーダをつけること。これが大人であるということ。

こんな風に生きていくのはたぶん、きっと、悪くない。

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