2024年1月7日 日よう日

 年末年始は帰省していた。
 すごくひさしぶりに家族5人で旅行をした。家族旅行が生きがいの父はとてもうれしそうだった。2泊3日のスキー旅行。1泊目の宿はすごくいいという口コミを聞いて夏のうちから父が予約してくれていた宿で、噂にたがわず、すてきな宿だった。お部屋もお風呂も食事もよかった。食事については、ほかの宿だったらそれだけでメインになるであろうものが4つも5つもでてきてほんとうにびっくりした。おいしかった。

 家族とすごしていると、ひとりで暮らしているときとはちがって、なんにも不安なことがない。未来のことも考えない。ただ目の前のことをたのしめていて、不思議な気持ちだ。とても落ち着いた気持ち。いちど、「復職したら、お昼休みという、無の1時間がまいにち発生するんだな……」と思ってゆううつになってしまったけれど、そう母に言ったら「いまから落ち込まないでよ~!」と心底心配そうに返されて、職場のことはすぐ頭のなかから消えていった。
 家族と暮らしていたら、元気に働ける気がするのにな。
 でもまいにちまいにち、いらいらして愚痴を言って泣いていじけていて、それが日常のようになってしまったら、きっとけんかも絶えないのかもしれない。母にも父にも疲れていたりぴりぴりしたりする時があるだろう。
 また、父と母と暮らせたらいいのに。東京で。

 母はこの冬、『きのう何食べた?』のドラマにはまっていて、毎週かかさず観ていたそうだ。わたしもあのドラマは好き。気分が落ち込まず、明るい気持ちになるし、あまり頭を使わないで気楽に観られるから。母はそれにくわえて、ああいうお互いを思いやった生活はいいなあ、思いやりは大事だなあ、すてきだなあと思えて好きなんだそうだ。その点についてはわたしはやや斜に構えているというか、あんなに思いやりのあって成熟した人間同士の生活なんてなかなかあるものではない、と思ってしまって、すこし、むなしい、というかいじけた気持ちになる。「あれっ卵がない!」「ごめんおなかがすいて使っちゃったの……」「夕飯の親子丼にしようと思ってたのに~……」「ほんとにごめん!今から買ってくるよ!あっでもあそこのスーパーはしまってるから……あっちのスーパーなら開いてるよね!」……なんてシーンがあってね、と母が言い、そんなのありえないじゃん!現実だったら、卵使うなんて聞いてないし!から始まって、こんな夜にまた家を出てちょっと遠いスーパーに卵だけ買いに行こうなんて自分から言ってくれないし、頼んだって行ってくれるかあやしいもんだよ!とつい、まくしたててしまう。そうだけどさ、そうだからこそ、いいんじゃん、あのドラマは、と母が言う。そこが母のかわいらしく、すてきなところだと思う。ちょっとすなおなのだ。

 1月4日に飛行機で羽田に帰るつもりが、欠航になってしまい、見通しもたたなかったので、急遽、1月5日の新幹線で帰ることにする。時期を選べば、飛行機のほうが往復で1万円程度安く帰れるので、最近はずっと飛行機で帰っていたけれど、ひさしぶりに新幹線で帰ってみて、飛行場より東京駅のほうが家に近く、楽だなと気づいた。新幹線は広いし、快適で、あの揺れもよく眠れるので好きだ。トクだ値をねらって、今度からは新幹線で帰ろうかな。

 東京の家に帰ってきて、好きな動画を見放題だと思ってほっとするのもつかの間、ひとりでいることがさっそく不安になる。連休明けにははじめて心理療法をうける。緊張しているのか、心理療法をうけて泣いてしまい、そのあとの診察も支払いも忘れて帰ってしまう夢を見る。その夢から醒めてもう数時間たつのに、まだ不安だ。こうして日記を書いていると、その不安な気持ちが実体をもってせまってくるかのように、もっと、不安で苦しい。あの、すべて守られて愛されていて、助けてもらえる確信に満ちた日々のことを思い出して描写することすら、これ以上は、こわくてできない。

 はやく薬を飲んで、本を読んでいるうちにとろとろねむってしまいたい。

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