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【神田放浪記】酒と肴と人情の店『あじすけ』で心も体も温まった話

神田錦町の首都高横の一つ路地裏を入ると半地下のお店『あじすけ』がある。今年はコロナのおかげで、めっきり外に飲みに行く機会も減って、なんだか半年ぶりの来店になってしまった。

あじすけの店主は小宮(こみや)。アラサー神田OLの私と同い年だ。口は生意気だが、料理の腕はかなり良い。

いつものように「生ビールと、美味しいもの適当に。」と言った。

あじすけは顔なじみの店だから安心して「おまかせ」で頼める。他の料理店では時価とか怖くて絶対言えない。唯一私の中で「おまかせで」とドヤれる良心的な店だ。

職場の同僚たちと飲むのはいつぶりだろう。毎日顔を合わせているので、もはや家族よりも長い時間を過ごしている。今年は本当に色々あったけど、あじすけに入るとそんな騒々しいことも忘れられる。気を張っていた一年だったのだと実感した。

一品目のお通しの写真は撮るのを忘れた。シャッキシャキのほうれん草のお浸しが最高に美味かった。あまりにもシャッキシャキだったので「これはぜったい朝獲れのやつだね。活ほうれん草だね。」と、あほみたいなコメントしか出てこなかったが、シンプルに美味かった。

続いて旬のお刺身。小宮から「すだちと塩で食べて」と出されたのがこれ。

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最高に旨い。塩とすだちで頂く刺身ってこんなに美味しいのか。口に入れた瞬間にすだちの爽やかさが広がって、貝や白身の甘さが引き立つ。ビールを一気にのどに流し込んだ。

あぁ、しあわせ。

これだから神田のサラリーマンはやめられないんだよなあ。

小宮は手際よく旨い料理を出しながらも、適度にお客さんに絡んでくれる。なので一人でふらっと立ち寄っても、カウンター越しに良い話し相手になってくれる。あじすけは、割とお一人様の常連さんも多い。カウンターの向こう側にいつも座っている気さくな社長さん(らしい)に酔っぱらいながら人生相談したり、アフロっぽい髪型の近隣に勤めるお兄さん一行と懐メロに聴きふけったり、いつの間にかお客さん同士で意気投合して仲良くなってしまう店だ。

突然、腕相撲が始まった。小宮を迎え撃つは、最近筋トレに励む同僚のS藤さん。

あっけなく秒殺。

このあとも続々と「旨味」が乗ったお皿が出てくる。どれを食べても旨い。

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心も体も温まってきた頃、隣に座っていた同僚が「あれ?kt川さん。白髪生えてます!」と声をあげた。

えっ、うそでしょ。抜いて!いますぐ抜いて!

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抜かれた白髪5本を並べた。独身アラサー女の心にハイボールが沁みた。

鮮魚と地酒と神田の人情が味わえる『あじすけ』は、ちよだプラットフォームスクウェア 別館(千代田区神田錦町2-9-6 中山ビルB1)に入っている小さなお店。ちよだプラットフォームスクウェアは神田の起業家が集まるコワーキングオフィスとして知られているが、仕事で疲れたサラリーマンの心とお腹を満たしてくれる『あじすけ』は 知る人ぞ知る名店。釣り好きの店主小宮が捌く魚料理は天下一品。

ここで飲むしあわせは、神田リーマンたちの明日への活力になっている。

お店続けてくれてありがとう。がんばれ。

【文/ぷらっとkt川】

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