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【イベントレポ】18周年記念!これからの地方と都市とは?後編
前編はこちら
トークセッション
後半は、イベントの表題である「地方と都市が織りなすコンヴィヴィアリティ」をテーマに、ゲストのお二方とちよプラ運営主体であるプラットフォーム株式会社代表の丑田との3人でトークセッションがありました。
実は丑田は、秋田県の五城目町と東京千代田区の2拠点居住の実践者でもあります。40分にわたり、話がおおいに弾んでいました。
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特に興味深かったのは、「どんな辺鄙な地域に行っても大学生がいる」というお話。よく地方に足を運ぶお三方全員に、そうした実感があるようでした。
ただし藻谷さん曰く、前編で例にあげた「真鶴出版」を立ち上げた方のように地方をポジティブに捉え直している人はまだまだ少ない、とのこと。
ではどうすれば良いのか?という疑問に対して、井上さんは「自治の精神」が大事とお話をされていました。「自分ごと」という言葉に置き換えるとイメージしやすいでしょうか。
行政や企業に任せきりにせず自分たちで地方を守っていくための精神であり、そして強すぎる自然を飼い慣らすためにも必要な精神というのは納得です。
そうした精神の根本には、関わる地域の価値や、自分の力を信じることが必要そうだと感じます。ではどうしたらできるのか?
代表の丑田は過疎化のすすむ秋田に住む中で「研究者が世界各地から秋田にやってくる」という興味深い現状を話していました。
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世界が日本のローカルに注目している事実がより広まって、逆輸入的に「地域って面白いんだ」といった価値の捉え直しや「地域で自分たちでやってみよう」といった自治の精神の芽生えにつながってほしいと思います。
これから東京はどうなっていくの?
最後に、大都会千代田区に位置するちよプラから、「コロナ後の都市・東京」について伺いました。
藻谷さん:東京は都市圏人口では圧倒的に世界最大。普通はここまで水がないので、今後も世界でこれ以上大きな都市が生まれることはありません。歴史的には、大都市は必ず滅びている。しかし東京は世界最大の都会として、自己解放される場として世界中の人を魅了し続けていってほしいですね。
井上さん:今の東京は古いものを壊して再開発を進めていった結果、人工物だけに覆われたつまらない場所になってしまった、とクリエイターが嘆いている。
人知を超えた自然を取り戻し、多孔質な場として生き残っていってほしいですね。
地方だけでなく、東京も世界的に特殊な場所だということが分かり興味深いですね。地方も都市も、それぞれがその場の価値を見出すことで、魅力的な場として続いていって欲しいと思います。
二拠点居住実践者からの質問
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最後に、東京と地元の沖縄とで二拠点居住をしている大学院生から質問が。
「地方に住む仲間のなかにも、うまくいかず地元に戻る人がいます。そうした人が輝くためにはどんなことをしたら良いと思いますか?」
藻谷さん:地方に限らず、どこに行っても落とし穴はある。なのでうまくいかなかったら環境を変えれば良いと思います。
井上さん:「自分が地方を変えてやる」と考えすぎるのは危険だと思います。気概としては必要かもしれませんが、郷に従うという部分もある。
また、人口が減っていく中で、若者を否定して潰す余裕はないので、一度受け入れてみる姿勢は必要だと思います。
自分の可能性を信じて、うまくいかなくても場所を変えるという柔軟な発想を持つ。また、若者自身だけでなく大人も若者を信じてあげる。そうした仲間意識によって、道を切り拓くことができるのかもしれません。
日本の現状が「課題先進国」「2025年問題」という悲観的な概念として語られる昨今、お二人のご著書は新たな見方を示し、未来に希望を持たせてくれる本だと思います。ぜひ読んでみてくださいね!
グルメセッション
トークセッション終了後、1階しまゆしの場をお借りして、グルメセッションとして豪華なディナーを楽しみました✨
今回の料理人は、「出張料理人」として情熱大陸の出演実績も持つ小暮剛さん。日本食材の魅力を最大限に活かした料理をいただき、大満足の会となりました!(今回の食材は、千代田区の連携自治体の食材を使用しました!)
小暮剛さん
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出張料理界のレジェンドとして30年以上、 全国で活躍中。
辻調理師専門学校卒業後渡仏。 リヨンを中心に料理の修行に励む。
出張料理人・オリーブオイル研究家として世界でも認められ、100ヵ国近くを訪問。その腕前を海外で披露することも多い。 「オリーブオイルでアンチエイジング」、「大人の食育」と題した講演や料理ショーも好評。 2005年イタリア・シシリアの名門オリーブ園より、 日本人初の「オリーブオイルのソムリエ」の称号を授与される。 2009年にはTBS系列 「情熱大陸」に出演するなど、各メディアからの注目度も高く、著書、講演実績も多数あり。
日本食材の魅力を伝えたい
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「作り始めから完成まで2日半かかる」というこのテリーヌ。「申し訳なくて食べられない」という声も出つつ、皆さん美味しくいただいていました😋
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切干大根のサラダ添え
小暮さんは海外にも出張されるとのことで、日頃手に届かない食材が並ぶのかと思いきや、スーパーで手に入る食材や、日頃の食卓に並ぶ料理もあり意外でした。
例えば、切干大根。「干し野菜は日本を代表するもの」と小暮さんは言います。海外の食と比較した時に、一見地味に思える切干大根も魅力だと言われると、普段食べるご飯の視点が変わりそうです。
地方に行っても「うちみたいなところに、おもてなしに使えるものなんてないよ」と謙遜する声が多いようですが、地方にとっては当たり前すぎてその魅力に気づいてない方が多いだけで、実はすごく魅力的で美味しい食材がたくさんあるそうです。
「日頃のお食事を幸せだと感じていただけるお手伝いをしたい」という思いで出張料理人をしているという小暮さん。実際に、今回のメニューでは日常的に使っている食材が多用されていて、これから普段の食事の幸福度が上がりそうです!
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最後は、ちよプラの位置する錦町三丁目の町会のみなさんによる一本締め!神田錦町の文化を感じられる締めとなりました。
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東京・神田錦町に位置するちよプラ。今後も引き続き様々な世代と地域との共創を行い、新たな取り組みを進めてまいります。
ちよプラとは?
ちよだプラットフォームスクウェア(通称ちよプラ)は、様々な世代と地域が共創しながら新たなビジネスや文化を生み出していくシェアオフィスです。フリーアドレス制/個室制のオフィス入居・会議室の貸し出しを行っているほか、旬の野菜を育てている屋上庭園や周辺の中小ビルと連携した別館「ANNEX」、"人と事業と文化がそだつビル"「錦町ブンカイサン」など、常に変化し続ける環境づくりを進めています。
(文:市村)