久しぶりにハマったドラマの話~「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」~
2022年の春、夫の希望で「トップガン・マーヴェリック」を観に行った際、同じ映画館で「チェリまほTHEMOVIE」を上映中だった。ここ数年、自分から「観たい」と思うのは決まって邦画。そして、主演の赤楚衛二くんのことが少し前から注目していたのもあって、気にはなったけれど、まだドラマも原作も見てなかったこの時は、ドラマの続編である映画からわざわざ見たいと思うほどではなかった。「深夜枠のBLドラマが映画化されるなんて、すごい人気なんだなー」くらいの興味。
赤楚衛二くんが出演している朝ドラ「舞い上がれ!」が良くて、赤楚くん主演の「チェリまほ」も観てみたい!と友人に言ったら「Amazonプライムで観れるよ〜」と教えてくれた。おぉ、チャンス来た。
2023年1月2日。我が家の2人の子どもは高3と中3、どちらも受験生でお正月といっても2人とも朝から夕方まで塾。夫は友人に誘われてゴルフ。つまり私ひとり。
やった!丸1日、誰にも邪魔されずに「チェリまほ」が観れる!!
観始めると、1話が30分とちょうど良い短さ。全部ダウンロードして、次々と観てしまい、1日でドラマ全12話を観てしまった。
赤楚くん演じる主人公の安達は冴えないサラリーマンで、「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」という都市伝説が本当に起きてしまい、触れた人の心が読めるという魔法を手に入れる。
ある日、営業成績トップで超イケメンの同期黒沢の体に偶然触れ、黒沢が自分のことを好きだと知ってしまう安達。最初は戸惑うが、黒沢の自分への本気の想いを知るにつれ、黒沢への見方も、安達自身の生き方も、少しずつ変わり始める。
安達を演じる赤楚くんの繊細な演技が本当に良くて、安達の「どうせ俺なんか...」には自然と私自身を重ねてしまう。自信がなかった安達が少しずつ、小さな一歩でも前に進む姿を見ると、心が温まるし、応援したくなる。コミカルな演技もとっても上手くて、本当に安達という人間がそこにいるみたい。
そして黒沢。演じる町田啓太さんに対するこれまでの私のイメージは、「EXILE系の人」であり、大河ドラマ「青天を衝け」で土方歳三役を演じていた「とにかく顔がいい人」に過ぎなかった。そんな町田くん演じる黒沢はめちゃくちゃいい奴で、健気で、可愛い。ほんと今までごめんなさい、黒沢に対する周囲の人と同じように、町田啓太くんの圧倒的な外見で判断しちゃってた。町田啓太さん、とっても繊細な演技が出来る素敵な役者さんだったんですね。
原作を読んでないから分からないけど、ドラマを見る限り、黒沢はもともとゲイというわけではなさそう。ただ、黒沢の心に初めて触れたのが安達で、それによって黒沢が好きになったのが男である安達だっただけ。ドラマでは描かれていないけど、たぶん、黒沢の中でも葛藤はあったと思う。でも男女を飛び越えて、安達という人間に恋をしたんだよね。そういうのが全部、僅かな表情の変化や、バリエーション豊かな「え?」という台詞から、見て取れるのだ。気がつくと、黒沢目線で安達を見て「可愛い♡」と感じたり、安達からの言葉に喜ぶ黒沢を見て「良かったねぇ、黒沢」となったりしてしまう。町田啓太さんが黒沢で良かった。
安達と黒沢を取り巻く友人や同僚も、それぞれ良い。人ってそれぞれ何かを抱えて生きているけど、特別なドラマが起こるわけでもなく、普通の日々を過ごしている。それでもたまには、その人にとって特別な何かがあったりする。そんなことを思わせてくれる、ずっと大切にしたい作品に出合ってしまった。ハマってる自覚しかない。映画に続くドラマ第2期、実現して欲しい!と思いながら、今日も観て幸せな気持ちになるのです。