息できないのは君のせい 3巻24話のはなし
「大丈夫」
全体的な感想
3巻から4巻にかけては矢野くんの格好良さが加速度的に増していきます
24話は飲みからの帰路なので場面は夜で、少し暗めというのも空気に合っていて好きだな、25話では区切りがついて日が終わるというのも場面に合っていて良いなぁと
ギクシャクしている2人に伊織が今回もメンターという役割りをしてくれているけど、これがこれから舵を取り始める矢野くんの手助けをしてくれてて好きです
ほんと頼りになる幼馴染よね…矢野くんのことを理解してくれているから、じゃあまずは自分のことを考えるという助言で話が動き出す感じが良い、この小さなきっかけから後半の動きだしがあるので
伊織と解散したあとの帰路、いろいろ思いを巡らせながら、矢野くんは「僕の一番嫌なこと」を見つけ出します
「一番好きな人にそんな顔させたくない」
なんか、もう胸にきますね
すごく好きだなここ
読んでて、ハッとするんですよね
このシンプルなことに、読者のわたしは今の今まで気づけなかった
そうだよねってなりました
シンプルなものってすごく刺さります
そしてここからの流れが、2人がこれからどうあるかっていう動きだしへの期待感を見せて終わるのが素晴らしいです
細かい感想
話の中に出てくる「大丈夫」という言葉は、1巻で2人がセフレから恋人になった時にも出てくる、とても大切な言葉だと思っています
回想としてもここの場面が浮かび上がっているけれど、恋人になった時に矢野くんは「本当に大丈夫じゃないかもう一回だけ確かめてみようよ」と伝えていますが、今回はそうではなく「大丈夫じゃないなら大丈夫にしなきゃ」と、志筑くんに「早く帰ってちゃんと話そう」と伝えます
恋人になった時は「もしダメならその時は一緒に大怪我してみよう」だったのが、今話では「大丈夫じゃないなら大丈夫にする」になるのがなんかもう胸が熱いです
1巻で志筑くんを矢野くんが引き留め、2巻で矢野くんを志筑くんが引っ張り…とあとがきで先生も書かれていますが、3巻4巻では、三好が現れてから何かとある波乱の中、2人が「どうあるか」という部分において、揺らぎならも向き合って進めていくその描かれ方がとても丁寧で、かつ愛を感じて、本当に好きです
「揺らぎ」と書きましたが、今話から矢野くんがまさに舵を取る役割りとして動き始めるのですが、それが本当に格好良い
3巻の始まりから少しずつあった「揺らぎ」
が少しずつ増していって、ぎこちなさが顕著に出てくる、ここの「揺らぎ」の描写のグラデーションも緻密でわたしはすごく好きです
ひとつの大きな問題をどかっと置かれて、さあどうする?みたいなのではなくて、日常の中で少しずつ生じる綻びであったり違和感を、細かく掬って描いていく先生の漫画は美しいな、といつも思います
細やかに描かれる出来事を等身大で感じられるので、共感力がものすごい
どうしたって当事者は揺らいでしまう
だから矢野くんが揺らいだら志筑くんが舵を取るし、志筑くんが揺らいだら矢野くんが舵を取る
最後には2人で舵を取る、そんなふうに感じられるのがすごく好きなんです
それでゼニコ先生の何が好きって、本編でシリアスな空気を漂わせておきながら、おまけはものすごい空気を緩めてくれるところだな
矢野くん指輪への執念がすごすぎてやばいのがほんとすきだわこの人…
という24話の読書感想文でした
躁が、やばすぎて、頭がパンクしそう!!
あくまでもわたしの偏見とんでもなき読書感想文なので、先生そんな意図ないわとかめちゃくちゃあるだろうな…こんな伝わりもしないところでひっそりと書き、ひっそりとお詫び申し上げます…