[ノンフィクション] 病院の怪談とちょっと泣ける話
最近ホラーに目覚めた娘(6歳)に、「怖い話して~」とせがまれます。
言っとくけど、かーちゃんの本気の怖い話はめちゃ怖いんだぞ。
ということで、実際に私が娘に話した怖い話を書き留めておきたいと思います。
じゃあ、前に兄ちゃんと入院してたときの話ね。
君の兄ちゃんはね、生まれた時に心臓が悪くて手術が必要で入院してたんだよ。
赤ちゃんが入院するとお世話するために母ちゃんも病院に泊まって、もう住んでる感じになるんだ。
で、お部屋は4人用だったから、普段は他の赤ちゃんとお母さんがいてにぎやかだったんだけどね、ある時、しばらく他に入院してる人がいなくて、4人部屋に私達だけになった時があったんだ。
他の家族がいないと気楽だと思うでしょう? でも違うんだ。
昼間は看護師さんとか先生が来たり、夕方には父ちゃんが来たりして大丈夫なんだけど、夜になるとね、広いがらんとした部屋に母ちゃんと兄ちゃんだけで、なんか怖い。
しかも古い病棟だったから余計に怖い。
夜の病院ってシーンとしててさ、時々赤ちゃんの泣き声とか、足音とか、誰かがむせる声とかしてね。
そしたらさ、しばらくすると、毎晩消灯後の同じくらいの時間になると、コキュコキュコキュコキュコキュコキュ…という音が廊下から聞こえて来るようになったんだ。
何かがドアの前を通っていくような音。
母ちゃんホラー小説ばっかり読んでるもんだからさ、いろいろ妄想しちゃって、その音が気になって気になってしかたなくなって、ある夜、そっと覗いてみたんだよ。
そしたらね…
なんとね…
それは…
単に看護師さんが車いすに患者さんを乗せてトイレに連れ行く音だったのでした~。
毎晩、同じ時間に呼び出されてトイレに行くんだってさ。
※大人と小児科が一緒のフロアでした。
チャンチャン。
いや…、ボロい病棟で何の音か分からない音聞こえるの怖いんだよ。
兄ちゃんが入院してた時の話ね。
4人部屋にうちらだけになっちゃったときの話しなんだけど、毎晩夜になると、シーンとした病棟に「ゴボッ…ゴボッゴボッゴボッゴボッ」って音がする時があったんだよ。
母ちゃんは、下水道から怖いピエロが出てくる本とか読んでたからさ…その音がめちゃ怖くてさ。ある夜、兄ちゃんがぐっすり寝ている時を見計らって何の音だか確かめに行ったんだよ。
そしたらさ…
それはね…
単にトイレの排水管が古くてゴボゴボ音を立ててるだけだったんだwww
チャンチャン。
いや…、ボロい病棟で何の音か分からない音聞こえるのめちゃ怖いんだよ。
んじゃ、また病院の話ね。
兄ちゃんが入院していたところは子供も入院するところだったから、おもちゃとかあって遊べるスペースがあったんだけど、そこにね、手書きの双六みたいなのを見つけたんだ。
見てみるとね、子供が書いたっぽくて、その病棟の地図になっているんだよ。
で、端っこの部屋から端っこの部屋まで行けたらゴールになっているんだけど、「血を抜かれてで1回やすみ」とか「酸素が下がって2マスもどる」とかやたらリアルなのね。
でもさ、ナースステーションのところに来ると、ゾンビナースが出て来て、追いかけられるんだ。トイレとか風呂場に入っちゃうとゾンビにつかまっちゃう。
オムツとか捨てる部屋があって、そこにちゃんとバイオハザードマーク書いてあるのね。
※実際のドアにも書いてあった。
ゾンビが出てくるマークだよ。
いやーいつまででも見てられる双六だったね~。
だよね~。
お後がよろしいようで…
…娘に話してたときは結構面白いと思ったんだけど、文章にすると思いのほかつまらないですねwww
まあいいや。
ちなみに、実際の病室の写真はこちら。
写真だと全体の広さがよくわからないけど、このサイズのベッドが4つある部屋。
誰もいないとがらーんとします。
ベッドがうちしか置いてない時もありました。
夜はこんな感じ。
赤ちゃんのお風呂室もなんか怖かったです。
最後に、今度は泣ける話を二つほど
これは話しながら泣いちゃうので娘には話してないです。
このホラー好きの娘を妊娠中。切迫早産というのになり、絶対安静、寝たきりになりました。
で最後の1ヶ月くらい入院になってしまったんだけど、切迫で入院しているのは私だけで、他はつわりのひどい患者さんでした。
特に向かいのベッドの人が重度のつわりで水も飲めないほどでとても辛そうでした。
私は身体は元気なので、カーテンで仕切られているとはいえ、常にオエオエしている人のすぐそばで食っちゃ寝してるのが申し訳なく思っていました。
食事のにおいいやじゃないかな~とか。
そんなある日、彼女の様子を見に来た看護師さんが「ないしょなんだけど…」と言っているのが聞こえてきました。
何だろう?? と思って聞いていると、どうやら赤ちゃんの心音を聞く機械を持って来たようでした。
詳しくはわかりませんが、彼女の数週では本来、心音は聞かせないらしいのだけど、特別に聞いてみましょう…となったようでした。
耳をそばだてていると、やがてカーテンの向こうからゴウンゴウンゴウンゴウンと私にとってはお馴染みの音が聞こえてきました。
※私は毎日30分くらい赤子の心音を記録してました。
「ほら、これが赤ちゃんの心音です。元気にこの中で生きてます。毎日辛いですが、赤ちゃん生きてますよ」
と看護師さんが言いました。
その後、向かいのベッドの彼女が泣いている声が聞こえてきました。
私も必死に声を押し殺して泣きました。
またまた息子の入院中のお話です。
その時は隣のベッドに小学校高学年くらいの男の子が入院していました。
どうやら、学校で倒れてペースメーカーを入れる手術をしたようでした。
とても礼儀正しく大人しい子でした。
その子のうちは小さい弟がいて、お母さんは付き添い入院ができず、昼間はおじいちゃんが来たり、夜はお父さんが来ていました。
病院の決まりで女性が付き添いしている病室には男性は泊まれなくて、お父さんは面会時間を延長して消灯くらいまで男の子に付き添っていました。
そのころ、うちとその家族しか病室にいなかったので、私はお父さんが泊まってもいいですよ、と掛け合ったのでしたが、ダメでした。
お父さんが帰ると、毎晩のように男の子がしくしく泣いている声が聞こえました。
私は心の中でがんばれがんばれと応援していました。
うちはうちで、夜中に息子が急に泣いたりするので悪いな…と思いつつ。
そしてしばらくすると、学校の先生たちが男の子のお見舞いにやってきました。
先生は男の子に千羽鶴を持ってきました。
全部盗み聞きなんですが、どうやら彼のクラスメイトたちが声をかけあってみんなで折ったとのことでした。
先生たちが主治医と話をするために病室から出て行くと、ひとりになった男の子が独り言を言っているのが聞こえてきました。
「1、2、3…」
どうやら鶴を数えているようでした。
しばらく男の子は熱心に鶴を数えていました。
そして「うわ~本当に千羽ある…」と彼は言いました。
「うわ~千羽だ~」「なんだよ~本当に千羽あるとかww」と何回も彼は言っていました。とても嬉しそうな声でした。
たまらず私は声を押し殺して泣きました。
それから数日後、彼は退院していきました。
「ぼく、今日退院なんです!」
とキラキラした笑顔で挨拶してくれました。
今ごろ、彼も高校生か大人かな…。元気にしているかな…と時々思い出します。
以上です。
私のとっておきの病院の思い出でした。
他にも入院中はいろいろな面白いことがありました。
かなりの部分は忘却のかなたですが、いつかまとめたいと思っています。
ちなみに、おかげさまで息子はすっかり元気で、ケッケケケと笑いながらめっちゃ早く走って逃げるいたずら坊主に育ちました。