[コラム] 英語の俳句の話
日本語以外を母国語とする人たちも俳句を詠むということは前から知っていたし、英語圏の人も「Haiku」と呼んでこの短い詩の世界を楽しんでいると聞いていた。
でも具体的にどんな句を詠んでいるのは知らなかった。
そんな私が高校生のころに出会った物語の中で、登場人物の一人が俳句を詠んでいた。
その句はこうである。
Your hair is winter fire
January embers
My heart burns there, too.
(意訳)
君の髪は冬の炎
一月の熾火
僕の胸もそこで燃えている
これは、スティーヴン・キング著『IT』の登場人物である ベン・ハンスコム が、片思いだった ベヴァリー・マーシュ に贈った俳句である。
12歳。少年時代のエピソード。
英語での俳句の場合、5・7・5がどうなってるのか、季語がどうなってるのか、など細かいルールがよくわからんのだけど、私はすっかりこの句の虜になってしまった。
『IT』というのは、映画もヒットしたので知ってる人も多いかと思うけど、めっちゃ怖いピエロが出てくる超ド級のホラーだ。
なんだけど、同時に子供時代に深い絆で結ばれた仲間が、大人になって再び共に恐怖と向き合う…という胸アツなヒューマンドラマでもある。
超絶やばい『スタンド・バイ・ミ―』ってな感じで。
私はこの物語と高校生のころに出会って、それから人生の要所要所で再読してきた。
つまり、私はこの物語の(ベン・ハンスコム と ベヴァリー・マーシュも含む)主要人物 7人と共に生きてきたと言っても過言ではない感じだったりする。
この俳句を詠んだベン・ハンスコムは正義感が強く心優しいいじめられっ子で、父親に虐待されながらも輝くような強さを持つベヴァリー・マーシュに恋をする。
『IT』はたくさんの子供が殺されるおぞましい物語でありながら、同時にベン・ハンスコムの美しい初恋の物語でもあるのだ。
Your hair is winter fire
January embers
My heart burns there, too.
それを踏まえて、じーんとしちゃう一句なんだな、これ。
ね、俳句を詠んでみたくなったでしょう?
みんなの俳句大会「宇宙杯」の投句は3/25開始。
実は、「大橋ちよ賞」なるものもあるよ!
ぜひ私が作った曲を聴いて気分を盛り上げてください☆
▽「宇宙杯」募集要項はこちら
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