旬杯リレー小説[A]→PJさんの[承]書の理由…からの[転]
みんなで繋げる物語「旬杯リレー小説」
詳しいことは文末に。まずは物語を紡ぎます。
◎起【A】
作者:PJさん
◎承:書の理由
作者:PJさん
◎転
作者:大橋ちよ
いよいよ火曜日になり、僕は書道教室へと向かった。
教えられた住所に辿りつくと、そこはごく普通の民家だった。
玄関先に書道教室の看板が出ていた。
呼び鈴を鳴らす。
しばらくすると上品な年配の女性が出てきた。
僕は自分の名を名乗り、電話をした者だと彼女に伝えた。
「ああ、綾瀬さんですね。お待ちしてましたよ。どうぞ」
女性は僕を家の中へと案内してくれた。
「まだ教室の最中ですから、少しここでお待ちください。そろそろ終わってみなさんこちらへ来ますから」
今どき珍しい応接室ような場所に通され、僕はふかふかのソファーに腰を下ろした。
女性も部屋から出て行ってしまったので、僕はひとり静寂の中に座っていた。
しばらくすると廊下から話声が聞こえて、五人ほどの男女が部屋に入って来た。
みんなは僕を見ると「どうも」と言って頭を下げて、それぞれ勝手に紅茶など入れてお喋りを始めた。
僕がどうしてよいか困っていると、独りの男性が話しかけてきた。
七十代くらいのおしゃれな感じの人だった。
「君が綾瀬くん?」
「あ、はいそうです」
「私は吉井です」
その名を聞いてぼくはハッとした。
この人があの書の主である。
「私の書を気に入ってくれたと聞いたけれど」
「はい…そうなんです」
「それは大変嬉しいことだけど、残念ながらあれは手放すことができないんですよ」
吉井さんは少し悲しそうに言った。
「なぜ…ですか?」
「あの言葉はね、私の言葉でではないんですよ…」
僕はここで吉井さんに伝えるべきかどうか一瞬迷ったが言うことにした。
「吉井さん…実は、あの言葉、あの四連句は僕が作ったものなんです…」
しばらく沈黙が流れた。吉井さんの目がどんどん大きくなり、彼が動揺していることが分かった。
「…君は、君はもしかして、竹流くんか?」
僕は頷いた。
それを知ると、吉井さんは「ああ…」と言って両手で顔を覆ってしまった。
そしてそのままの姿勢でこう言った。
「私は…美緒の祖父です。中崎美緒…ご存じでしょう、竹流くん」
その名を聞いて僕の心臓はドクンと大きく鳴った。
中崎美緒…それは三年前に事故で無くなった、僕の初恋の人、まさにあの言葉を贈りたかったその人なのである。
(つづく…つづけて~)
PJさんが続けてくれました!!!
◎結
作者:PJさん
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今回は、PJさんの難題に挑戦しました。
えーと、企画のルールとして、次の【結】でハッピーエンドにしないといけません。
誰かお願いします!
『ずっと一緒だよ』のテーマに沿えば行けるはずっ!!
投げかけられた謎に答えを考えるの楽しいです。
この企画やばいですね。
転だけさせてそのまま放置ということになりかねない…。
誰も書かなかったから私が責任もって終わらせます。