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『神様注意報』#ショートショートnote杯
今日も神様注意報が発令された。
タケシは裏山の神社まで走って行った。
石段の途中でミナトが合流した。
「方向は?」
「西南西」
ミナトが答える。
石段を登り切り、神社の境内に入ると、カサキが既に到着して待っていた。
長い筒状のものを持っている。
カサキだけ違う小学校だが、タケシたちとは幼稚園が一緒で三人は旧知の仲である。
「この方向だ」
ミナトが方位磁石を確認しながら指さす。
そちらを見ると、空の一部に穴があいて、そこからゆっくりと巨大なヒト型が降りてきているところだった。
それは、右手に剣を握った翼の生えた女だった。
「ネメシスか…」
カサキが持っていた筒状のものを肩に担いで、巨大な女に向けて構えた。
その筒にタケシは口をつけ、思い切り吸い込み始めた。
タケシが吸い込み始めると、巨大な女はその場でシューっとしぼむように姿を変えやがて消えてしまった。
「にが…」
タケシが口元を吹きながら言った。
この三人が “選ばれし神童”。神を吸い込む者だ。