2023年 優駿牝馬 予想

全頭診断

リバティアイランド

【走法】

前肢は程よい高さまで上がって靱やかに地面を叩き、後肢は跳びがやや高めで可動域は標準的。この馬のストロングポイントは体を柔らかく使えている点で、前肢が上がる時は重心が後ろに行って後肢で地面をしっかり捉えており、前肢が地面に入る際は重心が前に移動してこちらも地面を強く叩く形になっているので、ストライドもありながらパワーも高いレベルで兼ね備えている。急坂でのパワーの要求、直線が長くストライドの大きさもあった方がいい阪神コース1600mは特に合うだろう。後肢のバネ感はあくまでも標準的で、究極の瞬発力勝負では無い方が良いのかも。上がり31.4を使った馬には重箱の隅をつつくようなものだが。

(桜花賞時評価)

評価は概ね前走の通り。「バネ感が標準だから瞬発力勝負は……」に関しては見解が甘かったので訂正。後肢の強度1つでは瞬発力は計れず、直接的な関係は無い。どちらかと言えば滞空時間の方が関係性が強そうだという考えにここ最近至った。滞空時間が長ければ一完歩は大きくなり、引き換えに脚の回転力は下がるので瞬発力を失う。当馬の場合、前走時の評価の通り体の使い方が柔らかく、脚の着地点がより前に伸びるストライドの優位性を持ちつつも、滞空時間は特別長くなく、脚の回転に無駄が少ない形で、瞬発力もそれなりに高いレベルがある。このバランスによって非常に優れたトップスピードを生み出している。後肢について触れるとすれば、ここに加えて後肢の強度(バネ感)が更に強くなってくれば一完歩がより大きくなって更に上のレベルに行けるのではと思う。牝馬世代戦において圧倒的上位の素晴らしい走法。無理やりにでも粗を探すのであれば、コース適性面で阪神>府中となりそうな点。急坂が無ければ、持ち前のパワーでの優位性を1つ落としそう。また、持続的な脚を使わされる展開になればやや忙しく終いに甘くなりそうで当馬にとってはベストとは言えないと思うが、どちらもやはり些細なこと。今回のレースで特に逆らう気は起きない。
【過去レース】
(1走前)
やや出遅れ気味のスタートから促しても進まず、下がりながら外に出せる位置を狙う素振りを見せつつも内側ほぼ最後方になってそのまま追走。4角-直線間で大外に出して最後方から前の馬を全て差し切って1着。緩まない流れの中、この馬は後方内側で上手く溜めて瞬発力勝負になった形だが、やはり異次元の末脚であった。
(2走前)
中枠からスタートを五分に切って内外から前に行きたい馬を行かせ、道中は中団外側を追走。逃げ馬がハイペースで逃げたことによって前の争いに参加した馬は軒並み直線で潰れ、2着3着は中団より後ろに着けてゆったり構えた馬だった。この馬の勝ち方をどこまで評価するかは、中団より後ろを走った馬をどう考えるか次第に思えるが、2着3着はインを突いたのに対してこの馬は外から。同じような位置取りで追走して同じように追い出しを図った馬と比べてもやはり能力は1つ抜けていた。追い出してからの反応が良かった。
(3走前)
唯一負けたレース。スタートは五分だったが、少頭数のレース故に直線は大外から抜き去ろうとしたのか位置を下げていくが、ラスト400mあたりまでビッタリと外側に蓋をされてしまい追い出しが遅れての2着。ペースはスローでありながらも同じような位置取りから勝ちきったラヴェルと当馬は能力が抜けていただろう。東京の適性は恐らくラヴェルの方が上で、追い出し位置の差から見ても阪神コースなら充分逆転可能だろう。結局、詰まったのが全てだった。
(4走前)
どスローからの上がり勝負。勝因は完全に能力の差。道中は中団馬群の中でじっとさせていたが、内1頭分開けて走っていたのを見ると最初から直線外に出すつもりだったように思う。
【展開予想】
展開について、距離と枠を考えると恐らく終始内ラチ沿いをロスなく運ぶために最初からある程度下げていくのではないかと考えて予想する。

コナコースト

【走法】

前肢は低めの位置で伸び切って地面に対してやや掻き込み気味に入り、後肢は跳び低め且つ可動域狭めで力強く蹴り出している。全体的にパワー質でピッチ優位な走法。首の使い方も悪くは無いが、基本的に位置が高めで全体的な体の使い方がやや硬く、追い出して暫くしてから首が沈みこんで前方向への推進力が増す形で、それがズブさに繋がっているか。

(桜花賞時評価)

走法評価は変わらず。ストライドがかなり小さいので基本的に前のポジションにつけるのは必須と言える。その上で展開も向かなくてはならない。その展開について、脚の回転忙しさから距離も長いので持続力勝負なら積極的に嫌いたい。超どスロー展開を前に着けて直線勝負に持ち込めればまだマシに考えられるが、そもそも直線が長いコースも向いていない。阪神では地面への力感の強さで優位に立てていたが、府中ではより厳しくなるだろう。
【過去レース】
(1走前)
5分のスタートから促しつつ逃げ馬のすぐ後方外側で番手を確保して追走。直線を向いて追い出し始め、じわじわと伸びて後ろを離して行くが、リバティアイランドに差しきられて2着。緩みのない展開だったのもあるかもしれないが、ズブさはこれまでよりもマシになって見えた。ある程度能力は評価しつつも、前有利な展開、適性の高い舞台であったことも確か。
(2走前)
外枠からスタートを上手く切ってそのまま押して行き、番手あたりを取るのかと思えば外の馬を簡単に行かせて中団までずるずる下げるという、一見謎な騎乗。前哨戦というところで、これをやる理由は教育の他にないだろう。外枠からでもスタートがいいので先行はしたいが、外に他の馬を置いて折り合いも図りたかったのではないか。前の位置を取った後に鮫島Jが内と外をチラチラ見ているのを見てそう思った。
逃げ馬が道中スローに落として引っ張る前残り展開、直線を向いて直ぐに全力で追い出してラスト100mあたりでもの凄い伸びを見せるが差しきれずハナ差の2着。トップスピードは確かなものだがズブさが目立った。
(3走前)
大外からスタートを上手く出て前に行ったが、他に前に行きたがっていた馬とは争わずポジションを下げて中団外4番手あたりを追走。更に3角-4角では外側から押して行く馬を見ながらもじっとさせ、直線ではわざわざ馬群に入れて追い出し、前が詰まりそうなので結局外に出して伸ばす少しチグハグな競馬。スローの展開でわざわざこれをやるのはペースが読めなかったか、馬群に入れて折り合いを図る教育の為か、最初のポジション下げはまだしも3角-4角間で外から伸びる馬を普通に行かせているあたり、後者だと思いたい。逃げ馬は強かったが、スロー単騎逃げで後ろもつつかずだったのでこの勝ち方も納得。ただ、このチグハグな競馬で最後一気に伸びてきたコナコーストの力も評価したい。
(4走前)
内枠からスタート良く出て先頭に立つが、抑えて中団まで下げてから4角-直線入りで追い出し、前を差し切って1着。相手関係はさほどでもなさほうだが短い直線でトップスピードに乗らずとも差しきれたのは好感触。
【展開予想】
展開について、枠と出足が良いのである程度は出して行き、その他に前に行きたい馬が入れば変に争わず行かせるのではないかと考えて予想する。

ハーパー

【走法】

前肢の使い方は靱やかに高めの位置まで上がって、地面を軽く叩くような形で入る。跳びは高めで後肢を軽く上に引き付けてバネ感もやや強めに蹴り出されているが、首の高さや使い方が硬い影響か、重心が全体的に高めになっており前肢後肢ともに地面へのタッチは軽めで、パワーよりはスピード優位。綺麗な馬場、平坦なコースの方が良さそうに見える。ストライドは大きめで広いコースが良く、距離は2000mあたりがベストか。

(桜花賞時評価)

桜花賞のレース映像や、2週前追い切りの映像を見ると、追ってからスピードに乗った際の首の使い方は低い位置で柔らかく使えるようになっているように見え、段々と良化しているのを感じる。首が下がれば前肢の着地は早くなり、よりキレが増す反面、ストライドよりも回転力に寄っていくという事でもある。追走時の基本的な走法は以前と変わらず、首高でゆったりとした回転なのでマイルよりは距離が伸びてよさそうだが、早めに動く展開になれば終いは甘くなりそうで、追い出しのタイミングが肝心になる。クイーンカップの時は追っても回転が上がらずストライドの優位性で押し切る形が合っていたが、走法が変わってきた今回に関しては前で運びすぎない方が良いのではと思う。
【過去レース】
(1走前)
スタート上手く決まったが前には出していかず、外から行きたい馬を行かせて中団前方、内2頭分空けた外側を追走。そのままら直線を向いて追い出し始めじわひと伸びるが前を捉えられず4着。差すことが出来たのは緩みないペースで最後垂れた馬のみで、スピードというよりは持続的を示した形か。
(2走前)
レース自体の入りのペースが早かったのか、最初に前を争った3頭は早めに潰れそれ以降の力のある馬の勝負となった。この馬はスタート五分から道中は中団、内1頭入れて運び直線ではやや前の位置で拉致沿いを走っていたドゥアイズと早めに抜け出して差し、後ろからの猛追から粘る形で1着。
(3走前)
外枠からスタートを上手く切って押して行き、番手につかて先行。道中遅いペースでの追走から上がり3Fの勝負で粘りこんだが、400m→200mを11.1、200m→ゴールで11.7のタイムを刻んでいるのを見るとやはり登坂はそこまで得意では無いのでは、と思う。
(4走前)
外枠からスタートを上手く切って、出たなりで道中は4番手外側あたりを追走。3角-4角間から軽く促して押していくが、早めにスピードに乗りすぎたのか4角で外に膨れてポジションを下げ、直線ではじわじわと伸びるが前を捉えられず、後ろの馬に差しきられそうになりながらの2着。
【展開予想】
展開について、出足が良いのである程度は出していくだろうが、中団あたりで折り合いを計るのでは無いかと考えて予想する。直線で外から上がっていく馬が入ればそれに続く形で出していきそう。

ペリファーニア

【走法】

前肢は程々に高い位置で靱やかに回転させて力強く地面を叩き、後肢はしなるように強く蹴り出されており全体的な力感は強め。跳びは高いが前後の連動性はいまいちでストライドを広げきれていないのもパワー優位になる一因になっている。首の使い方は上手く、位置も低めなので前方向への推進力に繋がっており、追ったら素直に反応出来そう。脚の回転が高く、適性距離は1400m~1600mか。後肢の強さを瞬発力に繋げるなら道中はスローペースの方が良さそう。

(桜花賞時評価)

前走を見て気づいたが、左手前の際は前後の連動性がイマイチで走り方が少しぎこちないのに対して、右手前で走る際は連動性が良くスムーズな走りになっている。よく見てみると、右手前の方が前肢の上がりが悪く、やや低めの位置で回転させる形になっているので後肢の回転と噛み合うのただろう。体の使い方は靱やかになるが、よりピッチが上がって前肢の入りも深くなってパワー質な走りになっている。右回りの阪神で直線入って右手前→左手前に切りかえ、残り200m辺りでもう一度右手前に戻しているのを見ると、右手前で走るのが好きで左回りの方が得意なのだろうと思う。ただ上記の通り、よりピッチ優位でパワー質な走法になってしまうので府中の直線は長い。左右に限らず、そもそも基本の形がピッチ走法なので距離も合うとは思えず。
【過去レース】
(1走前)
出遅れ気味のスタートからポジションを押し上げていき、先団外側につけて追走。直線に入って少し我慢してから追い出し始め、鋭く反応して伸びたが前を捉えられず3着。緩みないペースの追走であったので、基礎スピードの高さ、そして瞬発力を示した。
(2走前)
出遅れたがそこからポジションを押し上げていき外側4~5番手あたりを追走。直線追い出してじわじわ進出するが伸びきれず3着。スロー展開とはいえ、出遅れがなければもう少し脚を使えていたようにも思える。
【展開予想】
展開について、陣営も距離に関しては懸念しており、上手く出たにせよ出遅れたにせよ出たなりでとにかく内につけて運ぶことを狙うのではないかと考えて予想するが、今回も出遅れの方向で想定する。

ソーダズリング

【走法】

前肢の上がりが低く、伸び切る前に地面をやや掻き込むように入り、跳びも低いのでピッチ優位な形だが前後の連動性は良く、体の使い方に無駄が少ない。スピードに優れた走法。ただ、この形は急坂などのあるコースの方が合うと思うので、府中コースでは直線の長さはともかく、急坂のあるコースで得られていた優位性は若干失われそう。距離が長くなることを考えても少し忙しそうで、もう少し体の使い方がゆったりしていた方が今回の適性面では良いのではと感じる。

(フローラS時の評価)

良化なのか、馬場によって走り方を変えるタイプなのか分からないが、前走を見ると前肢の上がりが1段良くなってその分伸び切るのも高い位置になっており、地面を綺麗に叩くように入る形になっている。前後の連動性が良いのもあってストライドも以前よりは伸びているが、跳びが低いのでそれでもやはりピッチタイプである事に変わりは無い。府中適性面で言えば問題は無さそうだが
、距離が伸びたことを考えても前走のように長いスパートを求められればストライド優位なタイプには引けを取るだろう。道中スローで脚を溜めて直線のみのスパートになれば面白い。
【過去レース】
(1走前)
内枠からスタートを上手く決め、外側から行きたい馬を行かせて内ラチ沿いを先行。残り300m辺りから強めに追い出し始めるが、前との差を縮められず2着。内前有利な展開だったので及第点だが、最後はロングスパートの中勝ち馬がストライド大きいタイプだったのでついて行けただけでも持続力を評価したい。
(2走前)
中枠からスタートを上手く決め、促せば先頭に立てそうな勢いがあったが、内枠側も数頭スタートを決めているのを確認して、抑えてポジションを下げて中段前方外側で折り合い重視の競馬。直線を向いては外から被せてくる馬もおらず、すんなり外側に進路を取って差しきり勝ち。直線はやや外伸び傾向に見えたので能力と適性がどうかというところのみで評価したいが、稍重阪神の1800mはこの馬にはかなり向いていたのではと思うので過剰評価は避けたい。相手関係で言えば、エルトンバローズはそれなりのレベルがありそう。
(3走前)
スタートやや遅れ後方から。内に入れてロスなく立ち回り、直線入りでは前方と外側を塞がれて若干外に出すのが遅れたが、外に出してからはじわじわと伸びてハナ差2着。スロー追走から直線入りで内前にいた馬が有利な展開を1頭外から伸びてきたのは評価できるが、追い出しが遅れていても全部をひっくり返して1着になるほどの能力は無いとも取れる。相手関係も重賞級程ではなさそうで、阪神コースも向いていそうなだけにそういった評価。
【展開予想】
展開について、出足は良いのである程度は前に行きつつも、他に行きたい馬が入れば行かせるのでは無いかと考えて予想する。

ミッキーゴージャス

【走法】
前肢が伸び切るタイミングが遅く、首の位置も終始高くて使い方が硬いので着地点は体に近い位置で地面に掻き込み気味に入る形。しかし回転のさせ方は靱やかで、掻き込む形にしては脚抜きは早く、地面をしっかり捉えつつもスピードはさほど殺していない。跳びは低めで可動域も特筆する程では無いのだが、収縮が早く回転力が優れている。前後の連動性もそれなりに良く滞空時間もあるので、高いスピードを持ちつつ一定の持続力もありそう。
ただし、府中のような直線の長いコースでは流石にストライドが物足りない。脚抜きが早いと言っても、あくまでも“掻き込みの形にしては”であって、道悪などパワーが求められる場面でなければ特にアドバンテージになる要素ではない。
【過去レース】
(1走前)
5分のスタートから軽く促してポジションを取り、前2頭から少し離れた位置で先行。3角で差を縮め、軽く促しながら進出を開始。直線向いて間もなく先頭に立つと3着以降を大きく離して勝利。馬場にもフィットした走りで、2着馬をもう少し離しても良かったような内容とも思えるが。
【展開予想】
展開について、先行意識が高いタイプでは無いので恐らく出たなりで馬群に入れて内を運ぶだろうと考えて予想する。

ドゥアイズ

【走法】

前肢は程よい高さで伸び切り地面に対して力強く叩く形で入る。後肢は若干高めに引き付けて蹴り出す形でバネ感強め。重心が後ろにあるので後肢の蹴りの強さで推進力を生み出す形で登坂時もストライドを一定に保てている。首が高く体の使い方が固めなので力を要求される馬場の方が良い。
後肢の力強さから瞬発力勝負もある程度は対応できそうだが、体の使い方が大きい分マイルのトップスピード勝負は少々厳しそう。

(桜花賞時評価)

走法見解について1部訂正。「後肢の強さから瞬発力勝負もある程度は対応できそう」と書いたが、後傾の重心、大きく体を使う形からもスピードに乗せていくのに時間がかかるので、瞬発力勝負にはならない方が良い。また前走と比較して変わったところで言えば、今回の追い切りを見た感じではスピードに乗った時の首の位置もある程度下りてきて使い方が良くなっており、トップスピード不足もある程度解消されている。とは言え大きなフットワークからはマイル向きではなく、距離延長も大歓迎だろう。
【過去レース】
(1走前)
スタートやや上手く決まったがポジションを下げて中団内ラチ沿いを追走。直線を向いて追い出し始め、途中からはやや詰まりながら外に進路を求めて出して行きながら伸びていくが、前を捉えられず5着。脚色的にはもう少し直線が長ければすぐ前を走っていたハーパーは差しきれそうだったが。
【展開予想】
展開について、出たなりで行きつつもひとまずはある程度内に入れて運びそうで、となると枠的にら後方追走になると考えて予想する。

ライトクオンタム

【走法】

前肢は高い位置まで上がり、後肢はグッと高い位置まで引き付けられて可動域は狭めに蹴り出される形で、全体的な重心がやや後ろに寄っている。
ただ前後の連動性はそれなりに良くストライドも確保されており無駄は少ない形で、前肢の入り方もそれなりに力感があるように見えるので、直線が長くパワーも程々に要求されるコースがベストか。中京で結果を残しているが、阪神芝1600mも直線長めでパワーを要求されるのでほぼ同様に考えても良さそう。

(桜花賞時評価)

走法見解について1部訂正。「前後の連動性がそれなりに良くストライドが伸びる」と評していたが、そこまで良い訳でもなかった。ストライド自体は大きいが、それは跳びの高さと前肢の回転する位置の高さによって生まれているもので、連動性の悪さで伸びやかさを欠いているように見える。ここが伴ってくればより綺麗にストライドを伸ばせそうだが……。距離に関してはフットワーク軽めな走法から全く心配はしていないが、体を綺麗に伸ばせない部分を見るとやはり狙うコースは直線長めで登坂などパワーも要求されるコースと言えそうで、府中は少し違うかなという印象。
【過去レース】
(1走前)
スタート上手く決めて前に出ていこうとするが、前に行く馬が多いと見てかポジションを下げて中団馬群に入れて追走。途中折り合いをやや欠きながら抑え気味になる場面も。直線を向いて追い出し始め、最初は立ち遅れるがじわりと伸びを見せつつも、最後は脚色一杯になりながら8着。
(2走前)
少頭数レース。出遅れ気味のスタートから終始後方やや外側を追走して直線ではじわじわと伸びて差し切った。ペースは早過ぎず遅すぎずで内外前後フラットな状態での直線勝負になり、長い脚を使って差し切ったのは末脚の持続力の高さを感じさせたが、適正面で優位だったこの馬の勝利を必要以上に評価する必要もないように思う。
(3走前)
大外からゲートを上手く出て、内側の馬が行かなさそうだったので逃げる形になったように見える。道中は無理なく綺麗なラップを刻んで溜まった脚でじわっと伸びた。こうなると能力の違いも相まって他の馬と為す術が無い。鞭も使っておらずここは能力勝ち。
【展開予想】
展開について、馬込みを嫌がる部分もあるので、枠と出足の良さを生かしてある程度出していくだろうと考えて予想する。

シンリョクカ

【走法】

前肢は折れ曲がるように地面を叩き、後肢は跳び高め可動域広め且つかなりの強度で蹴り出されている。前後のバランスとしては、後肢が蹴り出されてすぐに前肢が地面を捉える形で地面への入りが強く、跳びの高さがストライドには繋がっていない。パワー質の走法は登坂やパワーを要する馬場では高い推進力を生み出すが、広いコースへの適性が高いということは無さそう。

(桜花賞時評価)

前走時と同じ評価。前肢と後肢を回転させる位置の高さ、後肢の可動域の広さから滞空時間は長く、そこそこのストライドもありつつ、前後の連動性の悪さや前肢の捌きの強さでパワーも伴っており、どちらもバランス良く求められる場面で好走してきたが単純にストライドのみを求められると評価は落ちる。
【過去レース】
(1走前)
5分のスタートからやや抑え気味にポジションを下げて、中団後方内ラチ沿いを追走。3-4角間で外に出しながら更にポジションを下げ、直線はほぼ最後方から追い出しとなったが、いい脚で伸びてきつつも最後は一杯となって6着。阪神の適性を考えると道中脚を溜めてのあの末脚も納得出来る。
【展開予想】
展開について、出たなりで後方につけて運びそうだと考えて予想する。

ゴールデンハインド

【走法】

前肢は伸びきってから地面に対して掻き込み気味に入り、後肢は可動域が広くしっかりと引き付けてから強く蹴り出す形で、パワーもあるのだが、体の連動性が良くてストライドも伸びやかで、跳びもそれなりの高さがあるので忙しい感じもなく、持続力もある程度はありそう。とはいえ、後肢の強さ的には瞬発力の方を生かせる展開になった方が良さげ。
ちなみに今回はあまり関係無さそうだが、坂を登る際には地面への前肢の入りが強くなりすぎるのか、真っ直ぐ伸びきらないところが見受けられる。

(フローラS時評価)

走法見解について1部訂正。後肢の蹴り出しは強いが、それのみで瞬発力は計れず、全体的にゆったりとしていてワンペース気味な体の使い方からは明らかに瞬発力ではなくて持続力の高い走法だった。登坂時の前肢が伸びていないというのも急坂ではなかったからなのか、前走は特に問題無かった。前走は開幕週の綺麗な馬場を好タイムで鮮やかに逃げ切ったが、前肢の入りの深さ的には多少馬場が渋っていた方が追い風になるのではとも思う。何れにせよ、長距離適性や持続力においてはこのメンバーの中で明らかにこの馬が抜けている。
【過去レース】
(1走前)
スタート上手く決め、強めに促して先頭に立って逃げる形に。4角→直線入りから追い出し始め、後ろを寄せつけることなく逃げ切った。内前有利な馬場ではあったが、自分で展開を作ってロングスパート勝負で粘り込めたスタミナを評価したい。
(2走前)
外めの枠から上手くスタートを決めて押していき先頭も取れそうな勢いだったが、内から先行してきた馬を行かせて外側で4番手追走。3角途中から追い始め、残り300m辺りまでは良い脚を使ったがそこから失速して先頭の馬を抜かせず、外から伸びてきた馬にも差され4着。
【展開予想】
展開について、出足も良いので前回同様に枠も活かして恐らく逃げるだろうと考えて予想する。

エミュー

【走法】
前肢の使い方がパワフルで、折り曲げられながら地面に入る形で掻き込み強め。跳び低めで首の位置も低く、上下の重心移動が最小限に抑えられて四肢の力感をフルに地面に伝える形で走る上、後肢の蹴りから前肢の着地までが短いので回転力が高く、パワーを要する馬場やコースにおいては特に力を発揮する走法。瞬間的なスピードにも優れているが、府中の長い直線においては力感強めの走法は持続力の面で仇となりそう。泥んこの馬場にでもなれば相対的には有利になるかもしれないが基本的には評価できない。道中の消耗は他馬に比べて大きく、距離面でも同様。
【過去レース】
(1走前)
5分のスタートからポジションを下げながら内に入れて、後方ラチ沿いを追走。直線を向いてラチ沿いから追い出し始め鋭い反応を見せて伸びるが、前が壁になって伸びきれず10着。走法的に舞台適性もあって瞬発力や優れたトップスピードを示したが、ラストもスムーズなら掲示板まであったのでは無いだろうか。
【展開予想】
展開について、出たなりで後方につけ、いつでもポジションを押し上げていける外側で運びそうだと考えて予想する。

ラヴェル

【走法】

前肢は程々の高さで伸びきって軽めに地面に入り、後肢は跳びが低めも可動域が広く、蹴り出しの強度もあって前方向への推進力が高い。前後の連動性も良く、綺麗でスピードのある走法。首の使い方も素直で追い出してからの反応は良さそうで、後肢の強さからも特に瞬発力勝負は向いていそうな印象。距離も1600m~1800mがベストに見える。
ただパワーに長けている訳では無さそうで、急坂への対応のレベルは高くないのではとも思う。

(桜花賞時評価)

前走時評価の「後肢の強さからも特に瞬発力勝負は向いていそう」について、直接的に結びつく訳ではないので訂正するが、やはり低い位置で足を回転させる形である程度の瞬発力を備えつつも、体の使い方は綺麗でストライドは大きく、そのバランスでトップスピードに優れている。まさに府中でという走法。距離適性面は1800m辺りベストと思っているのでどうかというところだが、レース質を考えても、道中溜めて直線勝負になるなら問題は無いだろう。
【過去レース】
(1走前)
ほぼ大外から出遅れ、やや促して後方集団の前側、外側につけて追走。道中やや内に入れながら運び、直線を向いて追い出し始めて内を突こうとするが何度も詰まって伸びきれず11着。走法的に阪神もある程度はやれて良さそうだがベストとは言えず、そんな中で終始スムーズさを欠きながら伸び脚は見せていた。特に直線の不利がなければもっと上の着順だっただろう。
【展開予想】
展開について、かなり出遅れ癖はあるが内枠でもあるので出たなりで特に促さず内ラチ沿いを運ぶと考えて予想する。

ヒップホップソウル

【走法】
前肢はダラっとした使い方で1番上まで上がって伸び切り、折り曲げながら地面を強く叩く形。跳びは低いが可動域が広く、首の使い方も絶妙で前方向への推進力が高い。前後の連動性がイマイチでピッチ優位になっているのもあって全体的にスピードに優れた走法。無駄な力感も無く脚捌きは綺麗なので府中の直線自体は合いそうで、尚且つ直線のみのスピード勝負になれば能力をフルに発揮できるだろう。逆に、ロングスパート持続力勝負になれば、やや忙しく厳しい。
【過去レース】
(1走前)
大外から若干出遅れ気味。出たなりで追走。2角、3角でじわじわとポジションを押し上げ、直線を向いた時には中団に。直線外側から追い出していくが、更に外側後方から来たエミューと競り合いの末、躱されて2着。あちらの方が馬場適性は高かったことを考えるとコースや馬場によっては逆転可能で、能力的には同等評価でも良いだろう。
【展開予想】
展開について、ロスなく折り合いも計って運ぶために出たなりである程度内を狙いそうだと考えて予想する。

ドゥーラ

【走法】

前肢は適度な位置まで上がって靱やかに地面を叩くように入り、後肢と程よい跳びの高さで、首も標準的な高さで前肢の出に合わせて適度に振る形。目立った癖が無く、体の使い方は柔らかなので幅広い展開に対応可能な印象。後肢の蹴りが強くないので瞬発力は標準的。
少しゆったりした走りを見ると、小回りよりは広いコース。適性距離は1800m~2000mあたりか。

(桜花賞時評価)

概ね前走通りの評価だが「後肢の蹴りが強くないので瞬発力は標準的」の部分、後肢の蹴りが直接的に関係している訳ではないので訂正。しかし、柔らかくゆったりとした体の使い方から“瞬発力が標準的”である事は言えそう。持続力はあるがトップスピードがあるタイプでは無いので、ペースが流れて持続的に脚を使える展開でこそ。
【過去レース】
(1走前)
大出遅れから強く促して後ろに追いつき、最後方を追走。3角で外側からややポジションを上げ、4角から強めに追い出し始めて行くが伸びきれず14着。緩みない展開、内前有利な馬場で終始外側から脚を使い続けてしまったので度外視。トップスピードがあるタイプでは無いので、そもそも出遅れて後方からになった時点で厳しかった。
(2走前)
中枠からスタートを五分に切ったところからポジションを下げて下げて直線は外に進路が見つからずインを突こうとした結果、どん詰まりで失速。度外視。
(3走前)
出遅れて外スタートから内に入れて出たなりで最後方追走。直線入りから追い出して、2,3度詰まりながら内側からグングン伸びてきて6着。詰まっていなければ伸び方はリバティアイランドと比べても遜色なかったのではないか。
【展開予想】
展開について、出たなりで行きそうだが問題は出遅れるかどうか。期待も込めて5分程度には出てくれると考えて予想する。

キタウイング

【走法】

前肢は上げ方も捌き方も標準的で取り上げる点が少なく、跳びは低めで後肢がやや強めに蹴り出されている。体全体の使い方は比較的柔らかだが特段優れている訳でもなくストライドと回転力のバランスも5分といった感じ。後肢の強さ的には瞬発力勝負の方がいい。

(桜花賞時評価)

前走評価の「後肢の強さ的には瞬発力勝負の方がいい」については、直接的に結びつく訳ではないので訂正。体全体の使い方から見ても瞬発力は標準的。トップスピード、持続力も標準的でバランスは良いがストロングポイントを聞かれると難しい走法。府中においてはストライド不足という感じもして評価できない。
【過去レース】
「1走前」
5分のスタートからほぼ最後方まで下げて内ラチ沿いを追走。直線を向いて追い出し始め、内を突いて行くが、最後こそやや詰まったものの伸びきれずの12着。最後方で脚を溜めた上であの末脚はやや不満が残る。バランスタイプであってキレる脚は持っている訳では無さそうなので、今回の場合恐らく前にいた方がまだ良い結果になっただろう。
【展開予想】
展開について、出たなりで内を運ぶだろうと考えて予想する。

キミノナハマリア

【走法】

前肢は地面に折れ曲がる形で入るが、適度な高さで目一杯回転させる形で使えていて脚の抜きが早いので、地面をしっかり捉えつつも無駄な力みは無い。後肢についても一定のペースで柔らかく使えている。跳びが高めではあるものの前後の連動性はイマイチで、後肢の蹴り出しから前肢の着地までの間隔が短くストライドを伸ばしきれていない。全体的な重心もやや高めなので馬場は軽めの方が良さそう。ピッチ優位でスピードが一定あって、体は柔らかく使えていて無駄な力みも無いので、このピッチ、スピードにしては持続力は比較的高そう。距離が短いと相手関係でそのバランスの良さが通用する部分にも限界があるのかもしれないが、今回の距離延長ではこの部分で優位性があるのでは。

(フローラS時の評価)

前走評価について、2000mあたりならベストではと思っていたが、前走はロングスパートに引っ張られる形で終い失速してしまっており、ピッチ優位の走法ではさすがに持続力が無かったのだろうと思わざるを得ない。持続力勝負になれば距離延長の今回はさすがに前より厳しく、道中スローから直線勝負になったとしてもトップスピードが足りない。
【過去レース】
(1走前)
若干出遅れ気味のスタートから強く追って、外側で3番手追走。4角から促してスパートをかけて行くが、残り300mあたりで既に手応え無くなって失速し11着。ロングスパートもキツかったし、この辺りが距離の限界であったようにも見える。
(2走前)
スタート五分に切ってから抑え気味にポジションを下げたが外に大きく膨れ、加えて中断に馬が密集したからか、押し上げていって外側3番手につけて追走。4角から直線に入るくらいで追い始めてじわじわと伸びると残り200mあたりで前2頭を抜き去り、そのまま後続を突き放した。道中ミドル寄りのラップで流れて最後は持続力の問われる展開。スタート後チグハグで脚を使った上でしっかりと粘ったこの馬が1つ上だった。
(3走前)
内枠スタート五分に切って、やや押していき先団内側を追走。3-4角間で外から上がっていく馬が数頭居て、直線は内→外に持ち出して、その際外に大きく膨れたりしてロスありながら前に迫って2着。この馬のストロングポイントが一定のスピードと持続力であることを考えると中山の直線は短かったか。ロスも痛かった。
【展開予想】
展開について、前走は出遅れから位置を取りに行って最後苦しくなっているので、今回は出たなりで内につけて運ぶのを狙いそうだと考えて予想する。

レミージュ

【走法】
前肢はメリハリのきいた感じで回転させて地面を強く叩き、跳びは高めで後肢の使い方はワンペース気味。前後の連動性もかなり良いので距離に関しては特に問題なさそうだが、追ってからは首がどんどん沈んで低い位置になり、跳び高と相まって全体的な姿勢が前傾になるので少し地面への力感が強くなってしまう部分がある。長い直線に関してはさほど悪くなさそうなのだが、力を要する馬場がベストなので府中はどうかというところ。
【過去レース】
(1走前)
5分のスタートから促すが出ていかず、後方まで下がって後方追走。そのまま見せ場なく16着。恐らく、ゲートこそ上手くないが、本来はかかり気味に二の脚を使って前に行く馬なので恐らくマイルの早いペースについていけていなかったのだろう。
【展開予想】
展開について、5分でもある程度出していくだろう。逃げまであるかもしれないが、初の長距離で変な逃げを打つとも思えずある程度抑えて番手辺りに落ち着きそうだと考えて予想する。

イングランドアイズ

【走法】

前肢は伸びきってから地面に叩きつけるように入る形で程よい力強さがあり、後肢も可動域が広くて体を目一杯伸ばして使える府中コースは合いそう。ただ跳びが低く、重心低めで脚を回転させるような形でやや忙しい感じもあり、2000mはどうかというところ。前後の連動性は悪くないが、上記のことからあまり脚を持続させて使えるようにも見えない。

フローラS時の評価

前走時と走法評価は変わらず。跳び低めで後肢の可動域が限りなく広く、無駄がない形でストライドを伸ばせているのでトップスピードはこのメンバーの中で最上位。瞬発力と持続力のバランス的には、道中脚を溜めた上でラスト4Fあたりでのスパートになるのがベストか。距離は2000mあたりが精一杯だと思うので道中早いペースでの追走となれば終いは甘くなりそう。
【過去レース】
(1走前)
ほぼ大外で出遅れから最後方外側で追走。4角から軽く促し始め直線を向いて強めに追い始めて、素晴らしい伸び脚を見せるが前を捉えきれず4着。完全に内前有利の馬場の中外を回し続けてこの結果なら十分。簡単な話でないが、内にこだわってスムーズに捌けたなら勝ちまであったのでは無いだろうか。ロングスパートにも対応し、持続力も示した。
(2走前)
出遅れたが、内寄りの枠だったので出たなりで行き、1角に入る時点で中段内ラチ沿いを確保。道中はそのままロスなく立ち回り、直線に入って追い始めるが進路を見つけられず外に外に出して行き、結局前が開いたのが残り100mあたりで、差しきれずに4着。スムーズなら差しきれそうなラストの脚色があった。前3頭はG1やG2で活躍するようなメンバー。モリアーナは直線かなり外に出したが、他2頭と当馬は上手く立ち回ったので展開利についてもあまり考慮する必要はない。実力は確かと言える。ただし、走法から考えるにベストであろう距離やコースでのパフォーマンスであった事は考慮したい。
スタートやや上手く決まらなかったが、出たなりで馬群ど真ん中あたりを確保して追走。
2000mでの1着であったが、道中超スローの直線勝負であり距離適性の見極め材料にはなりそうにない。直線に入ってからは、スムーズに前方向に進路が開けて前の馬を差し切って1着。ドスローとはいえ後ろから伸びてきたのは2着3着もそうなので過剰に評価する必要はなさそう。瞬発力があったというよりも、このメンバー内で単純にトップスピードの優れた馬で決着したイメージ。ただ、ハーパーとは同程度の実力はある。
【展開予想】
展開について、出たなりで内に入れつつ後方で運びそうだと考えて予想する。

展開予想


スタート後ポジション争い(後方⇔前方)
1角(後方⇔前方)
2角(前走⇔後方)
3角(前走⇔後方)
4角→直線入り(後方⇔前方)

印・買い目

【印】
◎5.リバティアイランド
○6.ゴールデンハインド
▲1.ラヴェル
△18.イングランドアイズ
×12.ハーパー
×13.ドゥーラ

【買い目】
ワイド
[○▲]-[○▲△××](計7点)×500円(計3,500円)
3連複
[◎]-[○▲]-[○▲△××](計7点)×100円(計700円)
3連単
[◎]-[○▲]-[○▲△××](計8点)×100円(計800円)
単勝
[○,▲](計2点)×500円(計1,000円)

総計 6,000円

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