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【業務関連・随時更新】政治資金・選挙関連について思い込みを外す

自分も一部は過去にはしていた思い込みを集めてみました。面白そうな『意見』を見つけたら随時拾っていく予定です。

魂の叫び01 収支報告書に会計士を導入しろ~


A.国会議員はすでに入っています。
監査人(会計士・税理士)が署名してアレ、あの状況なのです

世耕 弘成 参議院議員(当時) 収支報告書に付記された監査人宣誓書

魂の叫び02 制度設計を性悪説でしろ~


A.性悪説の定義が実効性の評価の甘い心情に偏りすぎです。本物の性悪説とは小売店レジ回りのように「いつ強盗が来るかわからないから、閉店中も含めて24時間監視カメラで撮影している」ことをいうのです。職務についている人は、勤務時間が8時間だから何とか過ごせるわけで、そんなことはごく一部のSPがつくような場合を除き、選良たる政治家といえど基本無理です。最後のところは性善説に基づいた制度設計をするしか方法がありません。おイタがすぎるなら人を変えるしかありません。

魂の叫び03 全デジタル化したらすべて解決だ


A.議員と取引相手××が「絶対に現金で報告書に無記載でしかやり取りしない」と決め込んだら、外野がどれほど会計全デジタル化と力んでも無力です。一応現状ですら脱法行為(不記載)で一応歯止めはありますが。
あの~ そろそろ「××さえすればすべて(魔法のように)解決」とかいう○○○○○みたいなこと言うのやめませんか。

魂の叫び04 ○○精算とか○○フォ○○とか○○○eeとかいれたら一発だろ


A.誠に残念ながら、政治屋が暴れる→効かない対策を打つ→政治屋が効かない対策の裏をかく→裏の裏を取っているふりをする、のように屋上屋を重ねすぎて、既存の一般会計とはかけ離れていて、そのまま一般クラウド会計システムが導入不可能な代物になっています。
例えば過去に秘書給与の脱法天引きがあった(あ、直近もか)ので、公設秘書は国が直接給与支払いをするようになりました(国会議員の秘書の給与等に関する法律 第十七条の二:議員秘書の給与は、直接、その全額を議員秘書に支給する)。その影響で提出用の政治資金収支報告書から人件費項目がごっそり抜けてるとか(人件費の合計だけは支出一覧に記載するが、明細が一切不明。多分個々人の給与をさらすことになるとか言って反対があったんでしょうけど)。さすがに政党交付金の記載もする公式の統合バージョンには人件費を記入する項目だけはありますが(書類提出の際には収支の合計だけは収支項目として載りますが、明細は無関係として省かれる)。

統合ソフトでは明細入力があるが提出分として印刷されない
簡易版では人件費明細を入力するシートがなく、合計値のみをシート13の集計表に入力する

こういう標準とは全く異なるものができている事情ですので、基本「政治家(あるいは議員) 会計」のようにWeb検索してもほぼ公式しか出ません。最大の違いは、政党に所属する議員の支出における政党交付金の含まれる額、ですかね。

魂の叫び05 全デジタル化したら手間が楽になる、透明度が高くなるはず

自分は政治関係の直接の関係者ではないのですが、「(紙の)領収書のデジタル化は手間がかかるだけ」という嘆きをたまに目にすることがあります。他の場面でその情報を活用する、という前提がないとご主張の通りだと思います(たまたまあなたの目の届く範囲では、デジタル情報が再利用されていないので利点を実感しにくいかもしれませんが、「なるほど、こうやってほかの人がデータの再活用をしているので、デジタル化をする意味があるのね」と実感できるよう、その現状を解消しようとしているので、今しばらくお待ちいただければ)。

相当問題なのが、現状では紙の領収書のほうが、デジタルを使った書面提出より透明性が高いことでは、と思っています。
例えば、某議員とか某議員は白紙宛名領収書の疑惑が出ているわけです。この白紙宛名の疑惑の出ている取引相手である店舗さんに「○○議員はあなたのお店の領収書を提出していますが、あなたのお店は宛名白紙領収書を発行していますか?」とメディアが問い合わせたとします。当然真面目にしている店舗さんがほぼ全部ですので「そんなことしていません!!!」と即答されるわけですよ。ということは…検挙されるほどでないかもしれませんがやってますよね、白紙宛名領収書疑惑のそこの議員のアナタ。基本的に白紙宛名領収書を求めに応じて出してよろしいなんて指導を、雇用している店員さんにしていなければ、調査もする必要もないのでね。「まぁ、その可能性はあります」「真偽についてのご質問にはお答えしかねます」なんて言ったらとんでもないことになりますからね。昭和なら通用したかもしれませんが。
で、紙と比較するデジタルなのですが…こういった銀行口座を介した取引では、取引完了画面のスクショを書証として採用されていることが認められています。仮にこのスクショを書証として提出してあって、外部監査人あるいは市民オンブズマンが「このスクショ書証は偽造ではないか」と疑ったとします。その場合取引仲介した銀行に問い合わせるわけですが、全部に回答するのは労力的に無理として、1件だけとしても、「スクショに記載された取引は確かに存在します」と回答できるか、という問題があるわけです。確かに取引自体の偽造は一部専用線を用いた電子情報流通におけるハッキングですから、素人には当然無理として、その書証はどうですか、ってことですよ。問い合わせに回答するだけなら、紙の束をどさっと持ってきて1枚1枚めくる訳ではなく、技術的にはちょろっと検索するだけなので、そこまで時間も手間もそれほどかからないでしょうが、まぁ回答するのは取引の秘密保持(個人情報保護)の観点から無理でしょうね。多分、時効になる前の2-3年に1回、20%位(贅沢を言わせてもらえるなら40%)ランダム抽出でも、こういう1件1件について不正があるか確認する機会があったら、不正は結構減ると思うのですけど、まぁそんな政治家にとって不利なことはしないでしょうね。案件は選びますが、紙=下手すりゃ10秒で調査なしで回答が返ってくるvsデジタルは書証の真偽について確かめることが不能、という。
というわけで紙の領収書より、デジタル書証提出のほうが透明度が低くなるので、やばいことを画策しているのならおすすめ(皮肉)。特にコンビニ支払みたいに店舗で処理しました、なんてハンコがないもので、直接口座間取引をしている、私の口座の取引画面は死んでも見せないみたいな対応(強制捜査が入ったら抵抗はできないけど)のほうがさらに透明度が低くなりますよ、とデジタルに誘導してみる(笑)
こういう文章ですから『誘導してみる(笑)』とか書いてますけど、問題自体は結構深刻ですからね。
で、単に党費を払っただけで名前を公開されるのは嫌だ、少額寄付で住所をさらされるのは現状嫌だ(本当は慣れてもらう必要がある)というのは仕方ないとして、せめて詳細を伏せた金額項目だけはすべて載せましょうよ、まず。
ソフトウェアがしなければいけないことって、ユーザさんが手元ではすべてを入力していて、参照可能なんだけど、提出時にだけ不要項目を伏せることでしょ?こんな感じで。公式ソフトウェアが人件費の明細の入力ができるが、最終的に合計項目しか出力していないみたいに。

ソフトウェアの入力ではすべてが見えている
印刷時には法で規制されていないところの個人情報は伏せられている

発生項目を一度記載したのち(あらためて人力で?)省くって、裏金作成の犯意の有無に限らず、必ず二重帳簿を作らなければいけなくて、当事者としては「悪いことしていないのに二重帳簿作成って」って気分悪いでしょうし、タイパ(コスパ)も悪いでしょ。

魂の叫び03と05の合わせ技 全議員に専用クレカを持たせればOK

他国ではそれをして成功しています、というのですが、この国では少々難しいと思います。というのはですね、仮に専用クレカを持たせましたとします。この国の場合は「この個所は議員の要請により伏せられています」という制度設計を必ずするんですよね。
する前から思い込みはよくないって言われるかもしれませんが、透明性向上を掲げて作られた公文書公開制度は、行政が情報管理して公開できる体制はあるけれども、関係者から「ヤバそう」という感想が漏れ出てくるような案件なら、ほぼ100%肝心のところが伏せられて、開示されても結局何が何だかわからない代物になっていますからね。残念ながら、すでに同様の性質を持ちながら、似たような目標を設定していながら目的達成できていない事例は存在します(きっぱり)。
一応××の件について公文書開示を請求したときに理由なく非開示にするのは脱法という歯止めはついていますが、本当に全部が開示されたか、偏っていないか、外部から基本検証不能な制度なので、同じ結末をたどる可能性が高いでしょう。
肝は05で述べた「必要に応じて細部まで全公開して、検証できて当たり前で拒むことはできない」という基本姿勢がない、公開する手続をしている職員は自動作業で提出しているだけなので、その文書開示で得する/損する政治勢力との関係を邪推して、苦し紛れで「××を貶めるためだけにしている」とかいう陰謀論に持ち込む方がア〇、ということなんですよね。手段はクレカでも銀行口座取引情報でも何でもいいんですよ。「非開示はなし、その手段を使用しなければ脱法、開示がすべてかどうか検証可能」でさえあれば。それでも全解決なんて無理(魂の叫び02を参照)。

魂の叫び06 政治資金不正なんてどうでもいい。国民生活さえ豊かにしてくれればそれでいい。


A.議論の前提が狂っています。そんな議員はいません。基本的に、『社会で多くの人が賛同できる正論』では押せないけど、実現したいことがあって、『正論』を捻じ曲げるために金を使っていますから。前述の論は正論であれば、時間はかかっても実現できるはず、という前提にのっとって論理展開をしているので、この論を否定したかったら突くべきは時間の速度ですかね。政治家のスキャンダルにいろんな意見があるのは承知しています。でも政策議論を捻じ曲げる原因になっているのは何でしょうね。
で、捻じ曲げた先に、たまたまあなたが入っていて、それを「私が豊かになった=国民生活全体が豊かになった」と言い張るのは少々…

魂の叫び07 選挙の立候補者にはテストを課せ~

A.仮にテスト実施するとして、そのテストの正解は何ですか?この問いに答えることで絶対不能なことがお分かりいただけると思います。
a.「裏金は悪いことだと思いますか?」という行動規範系
→正解がミエミエすぎてテストのを意味を成しません。「政治資金の裏金は悪いことだと思いますか?」という質問に対して「5.全くそうは思わない」と回答する立候補者が想定できるのですか?実はその解答5が正解と主張するおつもり?事務所に現金を持参をされたら魔が差すかもしれません。当選2~3回目まではその他の議員と比較して、一生懸命取り組んでいたように見えたのに、4回目で権力を握ったとたんあれもこれも国民のために実施したい、できるはずだ、と対応が雑になるかもしれません。この行動規範系はテストによる判別が極めて難しいです。
b.「次の英文を和訳せよ」といった高校生程度の英語や数学といった基礎学力系
→本人はあんまりその役についてうれしそうでもないのに、自然に発生的に人望が集まってきた世話役みたいな方が、立候補できず排除される可能性が高いです。自然に押されるまでに時間がたっていて、学力テストから遠ざかっている可能性も高いので。こういう人物を一定の役職に就けることは想像以上に社会に好影響を与えるため、完全にそのルートを排除することは、どちらかというと社会に害を与えます。それならばとレベルを小学校低学年くらいに合わせると、みんなが合格できて選抜の意味を成しません。
あ、政治団体の資金を無税で引き継いだ人物にだけ、その立候補・当選が圧倒的にしやすい代償として大学共通テストレベルを課すのは論理上はあり得ても(地盤・看板という特権がなくなったら当然テストも課す必要はない)それでも被選挙権の平等性という観点から難しいでしょう。
c.「××という政策について当てはまる特徴を選べ、論じよ」という政策基礎知識系
→取りうる政策の幅がテスト作成者と採点者の思想(テストを運営するのはたいてい政府の後押なので、政府=与党の政策)そのものに限定されかねない、
政府の出す正解を信俸しないとテストに合格しない、というケースバイケースで対応する必要性が決して少なくない政治家に対しては、テストの中で一
番ヤバいやつです。


今後も機会があるたびに更新していきますが、暫定的結論としては、あれっすね、社会全体が制度の意義についてくどいほど説明する、ということをさぼりがちなのでは…こういう時こそまさに真正保守の出番のはずですが…

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