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ただ「逃げる術を知らなかった」だけ

先日友人に「楓さんは逃げずに立ち向かえる強い人だ」と言われた。

別の複数の友人には「パワフル」とよく言われる。

私から見れば彼女たちの方がよっぽどパワフルで、「どの口がそれを言いますかw」と思うが、そこは案外「類友」なのかもしれない。

ちなみに高校の時のあだ名はなぜか「ダイナミック楓(実際には本名)」と呼ばれていた。どういう意味だか。

どうも私は強くてパワフルで逃げない印象があるらしい。

しかし、私は別に強いわけでもパワフルでもない。ごく平凡ですぐ愚痴をまき散らすような弱い人間だ。

確かにこれまでの人生で苦難や危機を前に逃げた記憶はほどんどないが、それは逃げない強さがあったからではない。単に「逃げる術を知らなかった」だけの話なのだ。

人間、誰だってそれなりに長く生きていれば、嫌なことや辛いこと、危機的状況に何度もぶち当たるものではないだろうか。

そのような状況に直面した時、要領のいい人や頭のいい人なら正面から向き合うよりもうまく避けたり逃げたりするだろう。

実際そうやって上手に世の中を渡っていける人なんて掃いて捨てるほどいる。

しかしあいにく私は要領も頭もすばらしく悪いのでそれがどうしてもできない。だから全力で逃げたい状況と直面した時どうすればいいかわからずフリーズしてしまう。

その結果逃げ遅れて正面突破しか選択肢がなくなる……言った方が正しいかもしれない。

それに関して何も学習しないまま、この年まで正面突破し続けてきた私はもはやバカの極みだが、そのおかげでたいていのことには動じなくなった。慣れって怖い。そして相変わらずバカの極みである。

ただ、底なしのバカのくせにプライドだけは高いので、自分をバカに見せない術だけは身に着いている。

おかげでよほど眼力が鋭い人以外の目はそれなりにごまかせているようだ。

だからこそ、私を強いと思う人が多いのだろう。(そう自分で思い込んでいるだけかもしれないが)

それについて色々思うところはあるが、この世知辛い世の中を生きていくなら周囲に「強い」と思われた方が舐められずに済むからま、いっか。

ただ……願わくば目の前の困難を上手に避けたり逃げたりできる人でありたかった。その方が楽に生きられるのは間違いない。

私のような生き方はホントしんどいわ。

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