親はいつまでも子どもを支えることはでできない
心身を病んだわけでもなく、単に「合わないから」という理由で、貯蓄や収入の見通しが全くないまま大学を辞め、フリーランスになる!と宣言している若い子がいる。SNSでも、そういうことを言っている子が結構いる印象だ。多分、私がフリーライターを名乗っているせいだろう。
高校を卒業して経済的に自立する人がいる中、いい年してそのような考えを持つこと自体が理解できない。親が苦労して稼いだお金をなんだとおもっているのか。親はそれでいいのか? と、同じ親として疑問に思う。
必ずしもレールの上を歩く必要はない。就職した先がどうしても合わず、追い詰められるほど辛いなら、転職もフリーランスも立派な選択肢だ。
また、大学を卒業している人であれば、第2新卒や既卒扱いでの就職の道もある。それに、今は空前の売り手市場だ。だから一旦フリーランスになっても、それを続けるのが難しいと思えば、早い時期ならサラリーマンに転じることも可能だと思う。
しかし、確たるプランも先立つものもない、それどころか、社会人として当然身につけておくべきマナーすらろくに備わっていない状態の人間が、大学を中退して一国一城の主になるのは、極めて危険な賭けだ。
一時的には親が経済的な支えになってくれるだろうが、親もそろそろ定年退職が現実味を帯びてくるころ。退職後、あるいは転職後は収入が大幅にダウンする。
だから、成人した子どもには是が非でも自立してもらわなければ困る。可能性というチケットがたくさんある若い人であっても、計画性がゼロの甘ちゃんならこの先何をやっても失敗する。
おそらく子ども自身はそのような現実が全くわかっておらず、親のお金は無尽蔵とでも思っているのだろう。そんな甘い考えを持つ子に育てた親にも責任はあるが、成人になれば本人自身の責任がはるかに大きいのも確かだ。
私なら、たとえ我が子とはいえ、そんな甘ちゃんの尻ぬぐいなどまっぴらごめんだ。子どもにも常日頃からそう言ってきた。
子どもが物事を甘く考えている場合、親は心を鬼にして子どもを突き放し、現実の厳しさを突きつけなければいけない。それもまた、親の大事な仕事だ。もちろん、金銭的な援助も一切断つ勇気が必要になると思う。
親に全く頼れない中、己の信用だけで1,000円を稼ぎ出すことがいかに難しいか、今の時代に安易に大学中退することのデメリットがいかに大きいかを知れば目が覚め、現実的な視点で己の身の振り方を考えるだろう。(もちろん、フリーランスを続けるという道もあるが、多分甘い考えでは食べていけない)
大学生の親の年代は、もう下り坂を転がり落ちる一方。子育て終了後は、もはや老後に向けて親自身の生活を維持するだけで精いっぱいだ。その上成人の子どもまで養う余裕などない。そのことを、親子ともども肝に銘じるべきではないだろうか。