測量会社がUAVに参入しない理由
UAV写真点群測量及び地上レーザ点群測量
令和2年4月より作業規程の準則が一部改正され三次元点群測量の編が新設された。
点群データ作成のための測量は編を新設して追加されました
同じようにUAVを使う「UAV写真測量」は第3編地形測量及び写真測量の第5章に追加された。扱いとしては写真測量と同様で独立した編立てとなりました。
第1編 総則
第2編 基準点測量
第3編 地形測量及び写真測量
第4編 三次元点群測量←ここに新設
第3章 UAV写真点群測量
第5編 応用測量
ところが、第3編地形測量及び写真測量にも第5章UAV写真測量が追加されており、この二つは何が違うのだろう?どう使い分けるのだろう?という疑問が浮かんでくる。
第3編第5章 UAV写真測量
「UAV写真測量」とは、UAVにより地形・地物等を撮影し、その数値写真を用いて数値地形図データを作成する作業をいう。
第4編第3章 UAV写真点群測量
「UAV写真点群測量」とは、UAVにより地形・地物等を撮影し、その数値写真を用いて三次元点群データを作成する作業をいう。
第3編は地図を第4編は点群データを作る作業という使い分けのようである。
ここで、数値地形図データとは第3編第2章 現地測量で作成するデータでTS又はGNSS測量機を用いて、地形・地物等を測定する。現在、測量会社が作成する平面図がこの数値地形図データである。
もう少し詳しく内容を見てみよう。
UAV写真測量の特徴として、少人数で可、立ち入り困難場所可、上空から写る地物しか計測できない等が挙げられている。また、航空写真測量との比較から使用するカメラの違いから歪曲収差が航空カメラの10倍になるとか、飛行高度が低いのでビルや樹木の高さが相対的に影響する等の課題を挙げている。
航空写真測量と同手法による数値図化を前提としているため、解析ソフトは航空写真測量のソフトを利用することとしている。
しかし、現実的にはUAVに搭載出来る写真測量用カメラは無く、解析ソフトも航空写真測量用に最適化されているため、UAV写真測量での利用は困難である。とされている。
次に三次元点群測量の解説を見てみよう。
すなわち、三次元点群測量は建設現場で行われる測量ということであるが、作業規程の準則第483条2項で、三次元点群データは応用測量に用いるものと定義されている。そして、三次元点群測量が代用できるのは縦横断測量となる。とされている。
また、同条再3項で三次元点群データは、「地形を表す三次元の座標データ及びその内容を表す属性データを、計算処理が可能な形態で表現したもの」とされ、第3編の数値地形図データと同様の測量成果に該当する。
この辺りの表現が微妙で、三次元点群データは数値地形図データを同等の機能を有しているが、数値地形図データの代用は出来ないということのようである。(その理由が次のように・・・)
解説では「精度の概念や品質管理、誤測の検出修正」という制約が無い、すなわち、それらの制約を課せられない代わりに
このように、作業規定の準則では、第3編第5章UAV写真測量は、現実的に作業出来ないとし、第4編第3章UAV写真点群測量は、工事測量を応用測量に利用する位置づけとしている。これが、従来測量からUAV測量に代わりづらいところの一つである。
今後はUAVレーザによる計測技術も追加されるだろうが、地上レーザ測量と同様の扱いとなれば、数値地形図データ作成に利用することが期待できる。