見出し画像

繰り返し見る同じ夢の正体

黒ずくめの男に追いかけられる夢は、捕まると終わるからさっさと捕まれ。

20代前半の明け方夢の中、それまで一人だった黒ずくめの男が二人がかりで追いかけて来て必死に逃げたけど、住宅街で挟み撃ちにされとうとう私は捕まった。

悲鳴を上げてうなされてたらしく、横で眠る夫に起こされたのが男に捕まった瞬間だったんだけど「ずっと逃げ切ってたのに…」と捕まったのが残念な気持ちになった。
本気で怖い夢のひとつだったんだけど、捕まってみての感想は「鬼ごっこくらいだったんだな」と意外な発見があった。

黒ずくめの男に捕まって以降、今日まで追いかけられる夢は一度も見ていないので、このテの夢は捕まったら終わるみたい。
そうと知っていたら学生の時に早く捕まっていればよかった。
子育ての一番忙しい寝不足の日々に追いかけられてクタクタになる三夜連続追いかけ祭とかあったんだから。
初めての子育てで神経が高ぶってたんかな「捕まったら最後になるから黒ずくめの男にはとっとと捕まれ」てたまごクラブに書いといて欲しいよね。

繰り返し見る同じ夢の正体は、正夢に気付くための予行練習である。
正夢てね、起きた時に「なんか違うカンジ」で起きるのよ。
単なる夢を見た時の寝起きよりもゆ~っくり目が開いて「あ、アレだ。」みたいに思う。
それをたった1回きりの夢で察知することは非常に難しいのよ、正夢て1回しか見ないからね。
なので繰り返し同じ夢を見ることで「あ、アレだ。」の予行練習をしているのである、寝てても人間はかように忙しいのだ。
2回目に見た時はまだ「あ~なんか前にも似たような夢を見たような…」くらいでも、それが3回4回となってくると「あ、アレだ。」てなるからね。
諸君、正夢1回をちゃんと察知できるよう、何度も同じ夢を見て訓練を怠らないようにしたまえ。

正夢は本能だからね。
100%悪い事が起こるのをお知らせしてる。

ドコでダレに起こる惨事なのかはわからないので正夢を見た時に頭に浮かぶ人全員にまずは「あのね正夢を見た時の起き方ていつもと違うからわかるんだけどサ」と新興宗教の勧誘みたいなアヤシイ文句で語り始めよう。

「おまえアタマ大丈夫か?」と反応されても構わず続きを話すべし。
アタマおかしいと思われるくらいの惨事でないと正夢にはなってねぇから。
その人が耳を傾けるかどうかは本人の問題だから「今からアタマおかしいこと言うから聞くだけ聞いてみて~」とアナタは話すだけでOK、後のことは知ったこっちゃないからね。

正夢は悪い事が起こるのをお知らせする本能で、もしかすると命を落とすことになるかもしんないから見てる。
自分に起こる事じゃなくて自分に関係ある誰かに起こる事なので、その惨事に該当する本人に聞かせる必要がある。
たぶんその本人の知り合い数名が正夢を見てるはずで、その数名が本人に同じ夢の話をしたらさすがに聞いた本人も「なぬ?」てなるでしょ?何人もが同じ正夢の話をしてきたら。

子供の頃ね、夏休みによく川に泳ぎに行ってたんだけど年下のいとこたちと水着に着替えてたら、祖母がこう言うのよ。
「ウチアワセには行くなね?」
ウチアワセと呼んでる川には行くな、て。
その時は私もいとこも何も思ってなくて、ウチアワセに泳ぎに行こうとしてたから祖母の言葉は無視してウチアワセに向かう気だったんだけど、庭で出くわしたいとこの母親にも言われたの。
「ウチアワセじゃない川に行きないえ?」
叔母までもが今日はウチアワセじゃない所へ行けと言う。

小学生の私たちでもさすがにふたりに同じ事を言われたので「なぬ?」と思い、前の晩からウチアワセと決めてたけど「カレーコにしよっか」とその場で変更してカレーコと呼んでる川で遊んだ。
そしてその日の晩、裏に住んでいる違ういとこがウチアワセで毒蛇に噛まれ病院で血清を打ったと聞く。

「ばーちゃん、マムシが出るて知ってたと?今日ウチアワセ行きやんなゆーたわ?」
と確認すると祖母は「そげんゆーたか?」と記憶に無いらしく、叔母にも確認したが「じゃったかね?」と私たちにウチアワセに行くなと言った自覚が無い。
私たちはふたりに言われて場所変更までしたというのに、ふたりはまるで覚えて無いのよ。

本能は無意識下の言動て場合もあるんだよね。
夢なんてまさに自分が意識して見てるなんてことはないんだから、一番わかりやすい本能なのかも。
ふたりが同じ事を言ってきたら小学生でも「なぬ?」となって行動を変えるわけだから、正夢を見た人の役割は話すことだね。
ひとりだとチカラが弱いんだと思う、ふたり以上が要る。
だから正夢は数打って当てないといけない本能なんである。

アタマおかしい人と思われながらも正夢の話をしてきた私だけど、たった1回だけ正夢なのに話さなかった事があったの。

長男の首が車の中でポロッと取れて転がる夢だったんだけども、当時の長男は5才。
幼稚園児が正夢のハナシを理解すんのかなァ~と迷いながら朝ごはんを食べさせ、幼稚園まで送る車の中でも話そうかどうしようか迷い、結局話さないまま先生に引き渡した。

すると昼過ぎに幼稚園から、長男が階段から落ちて怪我をしたので病院まで迎えに来て欲しいと電話があった。
長男のアゴはパックリと割れ、何針か縫って命に別状は無し。
帰りの車の中で私は5才児に対等な言葉で説明をしたねぇ。

「あんな、今朝じつはアンタに話そうかどうか迷ったことがあってん。正夢つって本当に起こる悪い事を夢で見るねんけど、それで今日はチョモが車の中で首が取れて転がる夢やってん。私が見る夢で身内が身内の姿形で出て来る時てたいがい本人やねん。だからこういう夢見たから気をつけや~て言うようにしてんねんけど、アンタまだ小さいし話してもわからんかな~おもて言わんかってんな。ナメてたわ。今度から言うからさ、正夢の話を私がしたら悪い事が起こる、て頭の中で思っといてな。私が話したからって悪い事が起こらんとかはないねん。なかったことには出来ひんのよ、起こってしまう。でも正夢の話を聞いて悪い事が起こる、て頭の中に入ってると自然に受け身の態勢が取れて、それが出来たら怪我はするかもしらんけど死ぬまではいかんから」
「うん、わかった~」
「正夢、て言ったら何て思うんやった?」
「わるいことがおこる~」
「よしよし、それでいけ」

幼いからといってナメてはいけない。
本能に年齢は関係ないのだ。

#創作大賞2024 #エッセイ部門

いいなと思ったら応援しよう!

千徒馬丁
サポートをしていただいてもいただかなくても文章のクオリティは変わらない残念なお知らせをしますこと、本当に残念でなりません。 無料の記事しか公開しませんのでいつでもタダで読めます。 この世にはタダより怖いモノはないらしいので記事ジャンルはホラーてことで。