【偏食の成れの果て】カメノテの毒素を分解できる人間がいる食糞みたいなコトで
「ホノお前ウマチンがとってきたその貝の黒いトコ食べんなよ」
宮崎に帰郷して潮干狩りに行き獲ってきた貝類を塩ゆでして食べていたら、一緒に食べている姪に弟がカメノテの黒い部分を食べるなと注意していた。
「黒いトコ食べたらダメなのこのコ?何?アレルギー?」
「その黒いトコ毒ある。前にホノは食中毒起こしてるから」
「そんな強い毒あんの?!知らんかった~ヤベェやん私だいぶ食べた」
「お前は大丈夫、小さい時から喰ってるから消化できる」
「何それ?!そんなコアラみたいな人間いるんや?」
「俺らは小さい時からカメノテは丸ごと喰ってきたから問題ないけど、小さい時に喰ってない人たちはたまに中毒になんのよ」
そんなコアラの食糞みたいな習慣が人間にもあったとはね。
コアラてユーカリ食べてるけどユーカリには毒があるの。
もともとコアラはユーカリの毒に耐性は無くて、赤ちゃんの時に母親のウンチを食べることで耐性を得る、これがコアラの食糞習慣。
食べられない物が多くある偏食の私だけど、じつは皆さんが消化できない毒を消化できる人種なのです。
珍味とされているカメノテ。
宮崎では見向きもされないカメノテ。
かなりウマいんだけど獲るのも殻剥くのも面倒だから無視される食材。
この食材を獲って茹でて丸ごと食べていた私は、言わばカメノテ食糞済みの希少な人種に属しているのです、いつの間にやら。
どれくらい小さい時に食べれば自力で解毒できるかはわかんないけど、私は物心ついた時には既に食糞済みだったので3~4才てところでしょうかね。
「よだきぃ(面倒臭い)」が口癖の宮崎人は「食べるとおいしんだけどね~」とは言うんだけどカメノテを獲って喰おうとはしません。
だってウニやカキやが同じ岩場にゴロゴロあるのになぜにわざわざ「ナマよだきぃ(七面倒臭い)」カメノテやカラスグチを獲るのよ、てことなのです。
宮崎に行けばこの珍味は誰も見向きしませんので獲り放題食べ放題でございますよ。
宮崎人の中でもこの見向きされない貝に目が向いた暇人だけが有する毒素分解機能なのです。
カメノテの黒い部分。
ココ「蔓脚」つってカメノテがエサのプランクトンを食べるのにピロピロ~て伸ばすヤツなんだけど、ここに有毒のプランクトンが蓄積されちゃうのでプランクトン捕獲器官であるこの黒いワシャワシャ喰ったら中毒になる可能性があるよ、てコトを覚えておいてこの珍味をご賞味くださいませ。
味噌汁にするとテゲうめぇじ。
エビカニのアレルギーがあるひとはカメノテも避けてください、同じ甲殻類に属していますのでね。
皆さんが食糞済みではなかったとしても、有毒プランクトンが毒化していなければこの黒いワシャワシャを食べたとて中毒にはならないわけで「食べてみたいな」と思われたら自己責任でチャレンジしてみるのもひとつかな、と思います。
カメノテで中毒症状を起こしたニュースはあまり聞かないので、通常の魚介類にアタる時と同様、嘔吐や下痢くらいで済んでいると思いますが、貝毒は危険なので症状が出ていたら速やかに病院に行きましょう。
皆さんが消化できないカメノテの毒を消化できるなんて、偏食家の風上にも置けない消化器官のタフさを隠し持った私ですが、皆さんが問題なく消化している牛肉を私はちっとも消化できません。
珍味カメノテなんて数年に1回も食べない食材なんだから、毒素にアタるほうが稀です。
日常的に食べる牛肉を消化できるほうがよっぽどイイんだから。