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慶應義塾大学通信教育部の志望理由書の作成ガイド②「何を学ぼうとしているのか」編

1 「何を学ぼうとしているのか」

最初のテーマは「何を学ぼうとしているのか」です。

例えば、文学部第2類を志望されている方であれば、おそらく文学に関心があるのだと思います。

その中でも、特にどんなことに関心があり、大学でどのようなことを学びたいのかを書いていきます。

(例)私は文学部第2類で日本文学を学ぼうと考えている。

(例)私は演劇が好きで、普段から観劇に行くことが多いです。大学では特に、イギリスの演劇作品について学びたいです。

(例)私は文学部第2類でアメリカの女性作家の作品について研究したいと考えている。

(例)私は古典文学を学びたいです。特に平安文学を中心に勉強したいです。

基本的には、1~2文でよいと思います。ここで詳しく説明してもいいのですが、この後の「①過去の学習体験」「②将来の展望」で説明すればよいからです。

最初に、短く、簡潔に、「何を学ぼうとしているのか」が書かれていればいいと思います。

なお、「~です・~ます」「~だ・~である」といった語尾については、全体で統一されていれば大丈夫です。

文章が長く書けなさそうなら、字数稼ぎのために「~です・~ます」にしてもいいでしょうし、逆に長くなりそうなら「~だ・~である」にしてもいいでしょう。

まずはどんどん書いてしまって、最後に整えれば大丈夫です。


2 過去の学習体験

この場合、「①過去の学習経験」では、文学に興味を持ったきっかけや、読んだ本などについて述べます。

(例)私は浅井リョウの作品が好きで、ほとんどの作品を読んでいる。浅井リョウの作品で最初に読んだのは~

(例)私が演劇を観に行くきっかけになったのは、好きなアニメ作品を演劇にしたものでした。最初に観たときは~

(例)私が好きな小説家は女性が多く、辻村深月や恩田陸を愛読している。かつては女性の小説家はそれほど多くはなかったと思う。例えば明治時代は~

(例)私は「陰陽師0」という映画が好きで、それがきっかけで平安時代や平安文学に興味を持ちました。特に当時の服装や~

「学習経験」とあるからといって、必ずしも授業で勉強したとか、この本で勉強した、といったことを中心に書く必要はありません。

その分野に関係する具体的な作品や、テレビ番組や雑誌の特集、映像作品や動画でも大丈夫です。

その学びたいことに関心を持ったきっかけや、そこからさらに触れてきたものについて、詳しく説明すればいいと思います。

学びたいことについて、「こんなふうに関わることがあった」「こんな影響を受けた」、そしてそれらから「こんなことを考えるようになった」ということを自由に書けば大丈夫です。

ただし、それだけでは詳しく説明するには中身が薄くなってしまったり、長い文章で書くことが難しくなってしまったりすることもあるでしょう。

ですので、提出までに時間があるのであれば、何かしらその分野について書かれた本に挑戦してみるのもいいと思います。

その本について十分に理解する必要はありません。理解できた範囲で「こんなことが勉強になった」「こんなことをもっと知りたいと思った」ということを書けばいいのです。

そのような本で理解が難しいからこそ、大学で学ぶ意味があります。

このように「本に挑戦すること」については、志望理由書の2つ目のテーマにも関わってきますので、後述します。


3 将来の展望

次に、「②将来の展望」では、大学でどんなことを学びたいか、そして将来それをどのように自分の人生に活かしていきたいかを述べます。

(例)私は貴学で文学を学んだら、その経験を活かして自分でも小説を執筆したいと考えている。これまでも挑戦してきたが~

(例)そして将来は、イギリスに行って本場の演劇を観劇するのが夢です。できれば、ロンドンのライシアム劇場で「ライオンキング」や、日本作品のロンドン公演などを~

(例)私は大学で学びながら、女性作家の作品について紹介するブログを公開していきたいと考えている。そして将来的には~

(例)大学で古典文学に慣れたら、将来は古文を原文ですらすら読めるようになりたいです。特に読んでみたい作品は~

「将来の展望」というと、就職や転職に活かすとか、そういった人生設計が思い浮かぶかもしれません。

もちろんそれでもいいのですが、大学での学びは、必ずしも就職や転職のためのものではないでしょう。

実際に学んでみないと、大学での学びがどんなふうに自分の将来に活かせるのか、活きていくのかはわかりません。なんなら、学んだ後でもわからないことも多いでしょう。

ですので、ぜひ自由に発想を広げて、「こんなことができたら楽しいだろうな」「こんなことをしてみたいな」ということを、自分にとっては大それたようなことでもかまいませんから、つづってみるといいと思います。


4 指定字数以内にまとめる

まずは、上記の内容を書いてみることが大事です。あまり文字数にとらわれず、どんどん書いてみます。

ある程度書いてみたら、690~720字の文章にまとめます。

多少文字数が少なくても大丈夫かとは思いますが、720字を超えてはいけません(句読点も文字数に含めます)

また、極端に文字数が少ないと、通らない可能性が出てきます。

内容の配分としては、

  • 何を学ぼうとしているのか:50字程度

  • 過去の学習経験:300~350字程度

  • 将来の展望:300~350字程度

くらいが目安になります。

手順としては、以下を参考にしてみてください。

  1. 「~です・~ます」「~だ・~である」に統一する。統一できているか確認する

  2. 文章量が多いところ、少ないところのバランスを整える

  3. 全体を通して文章が不自然ではないか読み直す

  4. 字数がなるべく720字に近づくように調整する

最後に「720字に近づくように調整する」というのは、690字や700字ではダメということはないでしょうが、なるべく指定の文字数ぎりぎりにしておいた方がベターだということです。

このような文章を評価する側からすると、「指定の文字数ぎりぎりまで書かれている」ということだけで評価が高くなることが、ままあるからです。

ただ、元の文章が不自然になるほど無理やりに文字数を増やす必要はないでしょう。


5.どんどん次のテーマへ!

大事なことの一つは、他にもテーマはありますので、どんどん書いていくことです。

志望理由書は「提出すること」が一番大事です。提出すれば合格の可能性がありますが、提出しなければ絶対に合格できません

なるべくクオリティを上げたい、納得した文章を作成したい、という気持ちもあるかもしれませんが、提出までの期間を考えながら、まずは完成させることを大事にされるといいと思います。

その上で、もし提出までに余裕があれば、ブラッシュアップしていけばいいのですから。


執筆者:古原大樹/1984年山形県生まれ。山形大学教育学部、東京福祉大学心理学部(通信)を卒業。放送大学大学院在学中。高校で国語教師を13年間務めた後、不登校専門塾や通信制高校、日本語学校、少年院などで働く。2024年に株式会社智秀館を設立。智秀館学生支援センターセンター長。吉村ジョナサンの名前で作家・マルチアーティストとして文筆や表現活動を行う。

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