日々のできごと 秋から冬へ
日記のようなものです。
11月某日
最近よく、藪に行く。原っぱとか、草ばかりのところへ、分け入ってゆく。
からすうり。
ノイバラ。
赤い実をさがす鳥さんの気持ち。
猪と遭遇しかけ、なかなかサバイバルでした。
11月某日
枝のすがた。アートみたい。
椋の木。書のよう。
11月某日
水辺で
水面のゆらぐかたちとか
水鳥の曳行する水紋とか
ほのあかい川面とか、見ている。
11月某日
さざんかが咲いている。
さくらの葉はもう、すべておちて、つぎの春の準備をしている。
こぶしの葉はレモン色に。
ななかまどの実は赤く。
私は
何色なんだろう。
11月某日
装丁に惹かれ、ひとめぼれで買った本。
塗師である著者と、ものづくりをおこなう人たちとの対話。そっと耳を澄ましながら近づいて、相手のありように、しずかに、すっと寄り添うさまに惹かれる。
いちばん印象に残ったのは、ガラス作家、荒川さんとの対話。荒川さんは、ガラスを溶かし、切れ目を入れ、挟み、引っ張り、傷つけ、そのようにガラスに長くかかわりつづける。
テクスチャーとは、素材と人が出会い、触れ合った時に生まれてくる痕跡。時間の記憶だ。
ものに時間が刻まれることによって、「佇まい」としか言いようのない何かが生まれ、その佇まいにこそ、美しさや、存在そのものの秘密を解き明かす鍵がある、と著者は言う。
文章の手ざわりも、おなじかもしれない。
文章の手ざわりは、人がことばと出会い、ふれあって生まれてくる、その痕跡。人がことばをつかうために、それに向きあい、ふれ、かたちにしてゆく、その時間、そこにとどまらず、その人自身の生きてきた時間そのものが、ことばには刻まれているのだと思う。
手ざわりを感じとるということは、その人の時間をも憶うということかもしれない。
だからこそ、ゆっくり指をそわせるように、ていねいに読みたい。
書かれたことばの意味だけでなく、そこに刻まれた相手の時間、存在そのものの美しさにふれるためにも。
ー 秋のありがとう ー
☆マガジン追加ありがとうございました
yuca.さん、おりちゃさん、しんきろうさん、せやま南天さん、かなで。さん
☆記事のおすすめありがとうございました
しんきろうさん
読んでくださるみなさま、かかわってくださるみなさま、いつも、ほんとうにありがとうございます。
この時期を、すこしでもあたたかくすごせますように。
そして長い夜、どうか良い夢を見られますように。