アメリカ各地で抗議デモ。激化し外出禁止令が敷かれたロサンゼルスで思うこと
ミネアポリスで起きたジョージ・フロイドさん暴行死事件を受け、警察の暴力行為に対する抗議デモがアメリカ各地で起きています。これまでも何度も何度も繰り返されてきた白人警察官によるアフリカ系アメリカ人への暴力行為。ニュースで事件の動画を目にした時、私は再生ボタンを押せなかったし、「またか...」という無力感に襲われました。サムネイル画像を見るだけで胸が張り裂けそうで、不甲斐ないけどいまだに観れていません。
差別的な暴力、改善されない警察の体制、現在の政治への不満、届かない一般市民の声。そうしたフラストレーションが爆発し、ロサンゼルスでも大規模な抗議運動が起きています。
昨晩から激化した暴動、略奪、放火、警察との衝突により、今日はナショナルガードも警備に参戦し、街の中を戦車がパトロールしていました。現在、ロサンゼルスは午後6時から明日の朝6時まで外出禁止(通勤、緊急の通院などを除いて)になり、緊張状態が続いています。
メディアでは暴動や略奪行為がスキャンダラスに取り上げ、ニュースのコメンテーターの発言はそれを煽るようなもの、茶々を入れるようなものが多くて驚きます。暴動の映像を見て「暴動を起こすなんて!店のものを盗むなんて!スモールビジネスのオーナーには移民やマイノリティーもいるのにかわいそう!」と、初めてこの一件に対して怒りを表している人も多いのが悲しい事実。確かに罪のない人に被害が広がっているのはいたたまれないけど、ヒートアップする焦点がズレてはいないだろうか。
焦点は、なぜ暴動が起きたか。なぜプロテストが激化しなければならなかったのか。なぜ、権力のある場所へ声が届かないのか。
議論すべきなのは、暴動が起きていることでなく、200年もの間この国の”変われない”白人優位の社会のあり方を変えなければならないこと。警察の体制を変えなければならないこと。そのためには強い発言力を持つ警察組合のあり方を変えなければいけないこと。肌の色だけで中身を判断される人がいなくならなければならないこと。アフリカ系アメリカ人の痛みの歴史をアメリカに住むすべての人がもっと学ばなければいけないこと。次の世代に、悪習を引き継がないようにしなければならないこと。
これからこの国で生きていく娘たちに、今のこの状況、人種差別問題についてどう伝えていくか、夫と話し合っています。有色人種が入ったマルチレイシャルであり、女というマイノリティーの彼女たちがこの国で胸を張って生きていけるように勉強して伝えたい。そして、こうして声をあげたり、寄付や署名をしたり、社会を変えていくためにできることを地道にやっていきたい。
「Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)」※1
※1国際的に使われている社会活動のスローガンで、直訳すればアフリカ系アメリカ人の命を尊重しよう。アフリカ系アメリカ人に対する差別的な暴力の終焉、人種差別の撤廃を訴えるもの。
Photo courtesy of Kent Nishimura / Los Angeles Times