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「玉の緒よ」と「이슬(露)」について

090 「玉の緒よー」と「이슬(露)」について

韓国語の単語帳を読むのが楽しい。韓国語能力試験TOPIK5・6級高級単語(河仁南・南嘉英, 2017)は、コラムに使われた単語が紹介されている。それを読んで知らない単語に出会うのが面白い。辞書を読むのを趣味にしている人と感覚は似ているだろうか。読み物として単語帳を扱う。

そこで、私の好きな単語のひとつ、”이슬”を見かけた。発音がきれいで好きだ。白いスケッチブックの上に垂らした透明な水滴に浮かぶ白色、それにガラスのコップに太陽の光が入ってできた虹色の光が加わったような色をしている。日本語では、「露」という意味である。

이슬という言葉を見ると、思い出す短歌がある。小学生だった私が初めて百人一首に触れて、一番初めに好きになった歌。歌全体の色合いが美しいのだ。

玉の緒よ 絶えなば絶えね ながらへば
忍ぶることの よわりもぞする 

百人一首89番 式子内親王『新古今集』

この「玉の緒」のイメージが”이슬(=露)”と非常によく重なるのだ。実際は、首飾りなどに使われる玉を貫いた緒のことをさす。

我が命よ、絶えてしまうのなら絶えてしまえ。このまま生き長らえていると、耐え忍ぶ心が弱ってしまうと困るから。

現代語訳

なんだか、露がじっとそこにある姿と重なるような気がするのだ。じっとそこで待っている。静かに。それは、蒸発して自分が減っていくことを感じているのかもしれないし、気温の低下で凍っていくのを見つめているのかもしれない。

恋心と露を重ねるのはなかなか難しいかもしれないが、その身一つで世界にいる姿が痛々しく、美しく、強く、儚い。

2025.01.22

百人一首したいな。

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