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祝福

アパートの天井に取り付けられている立方体をずっと、"監視カメラ"だと思い込み、いつものようにそれに向かって会釈をし、踊り、深く抱きしめ、石灰石を擦り付け、様々な属性に対するヘイトスピーチを聞かせるなどしてきたが、今宵それがただの野外灯だったことが判明したその時、練馬区の空に微睡む全ての闇が取り払われ、鳥たちは玉を転がすように優しい歌を歌い(チキン君とか)、肝心の私は暫く立ちくすした後に数秒の沈黙、からおおよそ1.3.5.7.9.11粒ほどの涙を流してそっとほくそ笑み、お気に入りのトロピカルフルーツを買い足しに百均ローソンへと向かった。やがてそのこぼれ涙は大地を湿し、枯れきった草木を蘇らせ、数千年の時が経ち、そこには、1面の神々しいラフレシア・アルノルディイが咲き誇っていたのでした。

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